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中編4
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黒いモヤ

つい最近のこと。

友達の家でスイカを食べていた時の話。

その日は少しじめっとした日で、午後には雨が降ると天気予報のお姉さんが言っていた。

5人で集まっていたのだが、どうにも沈黙になりがちだったため

「外には出たくないねえ。午後から雨らしいし」

と話題を降ると、一人が「え…」と声を漏らした。

彼女はA。その時集まっていた家の主だ。

「マジで?Mちゃん午後から来るって言ってたけど大丈夫かな」

「…Mくるの?」

Mとは、Aの幼なじみで、私も一応友達ではある女の子。

しかし私は彼女には会いたくなかった。

数週間前、私は彼女から相談を受けていた

「肝試しに行ってから変なことが起こるようになった」と。

私は幼い頃からこの世のものではないものが見えてしまう体質で

実害はないもののおぞましいものを見て精神的に軽く病んでしまった時期もあった。

なので普段は天狗で有名な大雄山で買った、般若心経が彫ってある白檀のお数珠をつけている。

彼女が肝試しに行ったのは、茨城だかなんだかの心霊スポットらしく

そこでMは窓ガラスを割ってしまったとのこと。

そしてその話を電話で聞いていたのだが

電話の向こうで、友達ではない、女の人の声がしていたのだ。

確認したところ、今は家に自分一人だという。

普通ならば外の声だろうと思うのだが、Mの家は林の中。

しかもMはバイオリンを習っているため、Mの部屋は防音がきっちりされている

外の声など聞こえるはずがないのだ

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それから私はMとの接触を避けていた。

だがMがこれから来る…そう聞いて帰りたい気持ちでいっぱいだったが、Mが来るから帰るだなんて感じの悪いことも言えず

午後になりMがAの家に到着した。

ドアが開いた瞬間めまいがした。

Mの左肩に、タバコの煙のような黒いモヤがかかっていたのだ。

それがこの世のものでないことはすぐにわかった。

でもそんなこと言えるはずも無く、Mと軽い挨拶を交わして気を紛らわせるためにゲーム機を立ち上げた。

しかしそのゲーム機が拒絶反応を起こした。

普段なら凄まじい起動音と共に美しい映像を映し出してくれるはずなのだが、真っ暗な画面のまま動かない

マズイな…と思いながらMを見ると、モヤが少し大きくなっていた。

やばい帰りたい…と思いすぐ隣のBを見ると、彼女は何も映っていないテレビ画面を見つめて動かない。

嫌な予感がしてテレビ画面を見ると、Mの左肩のモヤがはっきり、くっきり写っていたのだった。

私とBは顔を見合わせ、ちょっとコンビニ行ってくる、と言ってAの家を飛び出した

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「なにあれ…!」

Aの家を出たBは私の腕を強く掴んで揺さぶった。

とりあえずBを落ち着かせ、私たちは一旦Aの家から離れることにした。

近くの公園のベンチに座り、Bの背中を撫でていると、Bが震えながら話しだした。

「Mの後ろの、K(私)も見えたよね?」

あまり思い出したくはないが、この状況では仕方ないので素直に首を縦に振った

Bが若干半泣きなので、もう帰ろう、と言って私がAの家へ荷物を取りに行くことになった。

正直戻りたくなかったが、カバンもゲームも置きっぱなしだったので、そのまま帰るわけにも行かず

重い足取りでAの家へ戻った。

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Aの家へ戻ると、Mがいなかった。

「あれ…Mは?」

そう聞くと、Aがトイレにいると教えてくれた。

会わずに帰るチャンスだと思い、急いで帰り支度をしていた。

しかし間に合わず、もうすぐ玄関というところでトイレから出てきたMと鉢合わせてしまった。

「あれ?K帰るの?」

不思議そうに首を傾げるMだが、私の目線はMの左肩だった

さっきはタバコの煙のようだったモヤが、くっきりと人の形をしていたのだ。

これはまずい。早く離れなくては。

そう思ってMの横を通り過ぎようとした時、左腕に痛みが走った

慌てて玄関まで走り、靴を履かずに抱えて外に飛び出した。

公園へ向かって走る途中、携帯が鳴っていたが出る余裕はなかった。

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公園に着き、やっと落ち着きを取り戻した私は携帯を確認した。

Mからの着信だった。

Mにはかけたくなかったので、Aに電話するとAは少し怒っていて。

でも当然のことなので素直に謝ってからMになんの用事だったのか聞いてくれと頼むと、Mから返ってきた答えに凍りついた

「私電話なんかしてないよ?てかプリペイドで今月もう使い切っちゃって携帯使えないし」

嘘だと信じたかった。しかし後に確認したところ、本当にMは携帯が使えない状態だった。

ではあの着信はなんだったのか

あの黒いモヤは?

もう関わりたくない思いと恐怖から、それから私はMと連絡を取っていない

そしてこうして書き込んでいる今も、私の左腕は痛むままだ。

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リアリティーがあるから怖い!

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