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これはつい最近、私が体験した話です。
私は神奈川県のとあるホームセンターのペットショップで働いています。
休憩時間が1時間あるので、私はホームセンターのすぐ隣にあるスーパー内の
お気に入りのパン屋さんで休憩時間の殆どを過ごすのが日課になっていました。
50分くらいパン屋さんにいて、残りの10分でトイレを済ませて仕事に戻る…それが私の休憩時間の過ごし方です。
いつもトイレはホームセンターのトイレに入るのですが
その日はホームセンターのトイレの出入り口が一つしか開いてなくて(トイレは店内側と外側両方に出入り口がある)
しかも開いていたのが店内側だったので、そのトイレに入るとなるとかなり遠回りになります。
ので、いつもは使わない、スーパーのトイレに入りました。
薄暗くて古くて湿っぽくて、ほとんどだれも使わないため掃除も適当になってしまっているトイレでしたが
めんどくさがりの私なので、さっさと済ませて出ればいいくらいに考えていました。
個室はすべて開いていたのですが、なんとなく出入り口から向って右側の個室に入って用を足し、出ようと思って立ち上がろうとしたとき
隣の個室から、親子の声がしました。
「このあとどこいこっかー」
「ほらちゃんと前見て」
おかしいな、個室は開いていたし、ドアの音もしなかった
そう考えた瞬間、ぞっと寒気がしました
これまでの体験上、ここは早く退散したほうがいい と、思ったのですが
怖かったのか、足が震えて力が入りません
ああいった場面だとどうして足が震えるとか、力が入らないとか
そういった風になってしまうのでしょうね。
その聞こえていた声が人間のものでないことはわかっていたので、耳をふさいであちらがいなくなるのを待っていました。
寒気がしていたのもおさまり、そっと顔を上げて耳をすませてももう声は聞こえません。
私はあわてて個室から出ると、手も洗わずに外に出ました。
トイレの外に出たとき、中からまた
「このあとどこいこっかー」
「ほらちゃんと前見て」
という声が聞こえてきました。
事務所に飛び込み、仕事の先輩であるHさんに先ほどのことを話すと
7.8年前に、親子が交通事故で死ぬという事故があったらしく
当時近所に住んでいたHさんはその現場を見ていたという。
小さな女の子が道路に飛び出し、そこに自動車が。
女の子をかばおうと飛び出したお母さんは車にはねられ、その衝撃で女の子は突き飛ばされて歩道の段差の部分に頭を強打し、搬送された病院で死亡。
新聞の端にも載ったという。
私はその事故があったという場所に行ってみたのですが
確かに、コーラの缶(未開封)とお菓子がありました
あの
「このあとどこいこっかー」
「ほらちゃんと前見て」
という声は、親子が死ぬ直前に交わしていた会話だったのでしょうか。
私はもう二度とそのトイレを使うことはありませんが、死んだことに気づけていないのかと考えると、少しかわいそうに思ってしまいます。
作者れいちゃん@クジャマジ愛してる
後日7.8年前の新聞を図書館に行って調べてみようと思ったのですが
仕事の疲れもあってまだ見つけられていません
神奈川のホームセンターの前の道路にお供え物があったら、そこが親子の死んだ場所かもしれません