【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

ニューマイホーム

今から四年前のこと、

高校受験を控えた夏のことです。

music:7

wallpaper:228

nextpage

市街地から40分弱、

お店もなく、周囲は

森と田んぼばかり

というような場所に暮らしていた

私たち家族でしたが、

わたしの通学(高校になってから)

母の通勤、祖母の通院を考えて、

市街地に引越すことになりました。

nextpage

引越しの話が出て程なくして

祖母は亡くなってしまい、

結局、マンションが決まり、

もとの家を売るときには、

わたしたちは2人家族になっていました。

nextpage

マンションは新築で、

天井も高く、眺めもよく、

わたしも母もとても気に入っていました。

しかし、

引越しの前日。

nextpage

わたしは悪夢をみたのです。

-----------------------------------------

まだ家具の揃わない新居へ、

うきうきしながら足を踏み入れる

わたしと母。

時刻は22時ごろでした。

母は「やっぱりいいね、ここ!」

と、嬉しそうなのに対し、

わたしは廊下で立ち止まっています。

白いワンピースに、長い黒髪を垂らした女性が目の前にたたずんでいたのです。

その女性はわたしをずっと睨みつけていて、

母には見えていないようでした。

そして一瞬、

その女性が くすっと笑ったかと思うと、女性は母に背中から抱きついて、母もろとも消えてしまったのです。

------------------

nextpage

この悪夢から目覚めたわたしは、

途端に引越しが嫌になりました。

しかし、引越しは決まったこと。

今更子供のように駄々をこねるわけにもいかず、引越しは完了してしまいました。

nextpage

wallpaper:4

そして一日目の夜、

息苦しさをおぼえ目を覚まします。

足も手も動かず、胸が押しつぶされるように苦しい.......金縛りです。

わたしのベッドは部屋の角にあったのですが、その対角となる角から視線を感じました。

nextpage

じわじわ冷たい汗が

吹き出し、金縛りを解こうと

必死になるものの、

体はぴくりとも動きません。

恐怖故か、対角から目を離す事さえも

できません。

nextpage

どうしよう、何かいる...!

叫ぼうにも声が出ず

ほとんどパニックになっていました。

すると、対角の辺りにぼんやりと

徐々に影が集まり、人の形を成します。

ああ、あの人だ...

nextpage

昨晩の夢を思い出しました。

見えるのは影だけなのに、

何故か確信を持って、

夢の中の女性がそこにいたと

言えました。

女性はただこちらを

見ています。

見ている事が見えるわけでは無いけれど、睨まれている感覚が何故かあったのです。

nextpage

気がついたら朝になっていました。

母に心配をかけたく無かったので、

この事は誰にも言わずにいましたが、

そんな夜が一週間続きました。

わたしは受験生でもあったので、

流石に若干のノイローゼ気味に

なっていました。

nextpage

もう限界だ...

明日はお母さんに相談しよう。

そう思って布団に入った夜、

わたしは対角に背を向けた状態で

金縛りにあい、目を覚ましました。

nextpage

あれ、いつもと違う...

金縛りが一瞬解け、

対角をみてみたものの、女性はいません。

わたしは再び対角に背を向け

眠りにつこうとしました。

nextpage

sound:33

あ...あ....あ

すぐ背後からしわがれた声が

聞こえてきました。

そして首元に冷たい冷気を

感じ、わたしは恐る恐る

後ろを振り返ります.....

nextpage

shake

ああああああああああ!

あの女性でした。

ベッドの淵に両手を置き、

顔をのぞかせ、

ものすごい形相でこちらを睨みながら

かすれた声で叫ぶ女性。

わたしはすぐに

気を失ってしまいました。

nextpage

翌日、わたしが

部屋で怖い事があった。

とだけ母に告げると、

母はわたしの部屋の隅に

塩を持って置きました。

その日から、あの女性の姿や気配を

見る事はありませんでした。

nextpage

あの女性が何をしたかったのか

誰だったのか、

それは全くわからないままです。

Normal
コメント怖い
1
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

祖母の死、悪夢とが何かの伏線かと思いきや、まさかの実話ですか!
無難に考えて前にその部屋に住んでいた人の霊ですかね〜

返信