初投稿させていただく龍悟と申します。
まず簡単な自己紹介から。
僕はアルビノと呼ばれる先天的な病気です。
体毛が白金であり、肌が白く目は淡い赤色です。
それ以外は普通の人と何も変わりません。
アルビノだからという訳ではないと思いますが、物心つく頃から霊的なものを見ることや感じることができ、また簡単な除霊や霊的なものを落とすことができます。
主に体験した中で怖かったことを載せていきたいと思いますが、文章力が低いのでご容赦ください。
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あれは僕が中学2年生で、夏休みに入る少し前の話。
僕はこの容姿のせいでまわりから気持ち悪がられていた。(僕の思い違いではないと思います)
ただ幼なじみである二人(同い年の活発で底抜けに明るい性格の愛美と、家がお寺で霊感がある少し不思議ちゃんな七海)がよく一緒にいてくれたため、あまり孤独を感じずに生活することができた。
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お昼休みに七海と話していると、教室のドアが勢いよく開いたと思ったらそこには愛美がいて、僕たちに満面の笑みで近づいて来た。
愛美「ねぇねぇ、二人にお願いがあるんだけど!」
その後、物凄い勢いでしゃべり続けたんだが、要点をまとめるとこうだ。
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愛美の仲の良い一個上のタキタ先輩が友達数人で肝試しをしたらしい。
その場所は地元で結構有名な心霊スポットで、僕たちの通う学校から歩いて20分くらいのところにある公園だ。
そこの公園を夜中に通りかかると、公園のトイレの辺りから女性の変なうめき声が聞こえてくるとのこと。
タキタ先輩達が夜中にその噂となっている公園のトイレに行ったが、何も起こらず。
何度も公園のまわりを回ったが聞こえてくるのは虫の鳴き声だけであった。
一時間経ち、先輩達は諦めて帰ろうとしたとき、ワタルという先輩が持っていたマジックでトイレの壁に『クソババア』と書き込んで、みんなで笑いながら帰ったとのこと。
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七海「それでその後どうなったの?」
興味津々な様子で七海が愛美に質問した。
愛美「それがね、そのワタル先輩って人が夜中になると体中が痛くて目が覚めちゃうらしいの。それが毎日続いてて、痛みも日に日に増してるみたい。」
七海「公園のトイレの霊に取り憑かれたってことね。」
愛美「たぶんね!」
愛美は少し半笑いで頷いた。
愛美「学校にも最近来てないみたい。」
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僕「それで僕たちにお願いって何?」
愛美「二人にワタル先輩の除霊をお願いできないかなーてっ」
僕と七海が困った顔をすると、
愛美「お願い!除霊しなくてもワタル先輩に会うだけでいいの!」
愛美は僕たちに向かって何度も頭を下げてきた。
僕も七海もやれやれといった感じでワタル先輩に会うのを了承した。
すると愛美は教室のドアに向かって
愛美「タキタせんぱーい!オッケーでましたぁー!」
と大声で叫んだと同時に、教室の外で待ち構えていたタキタ先輩が教室に入ってきて、僕と七海に向かい
タキタ先輩「たすかるわー!ほんじゃ今日にでもワタルんとこ行くからよろしく!」
早口で言い終わると僕の肩を叩き、すぐに教室の外に出て行った。
愛美「ということで集合時間は後で連絡するからー!」
と言い、タキタ先輩の後を追っかけて行った。
僕と七海はぽかんと口をあけて、二人が出て行くのを見るしかなかった。
七海「愛美にはかなわないね」
七海はクスクスと笑っていた。
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その後愛美から『学校の門の前に17時に集合!』とメールが来ていたため、七海と一度一緒に家に帰った。
予定時間に学校に着くと、僕以外はすでに到着済みで、僕が着くなり
タキタ先輩「よし!これでそろったな!とにかく俺に着いてきてくれ!」
と、勢い良く自転車をこぎだした。
タキタ先輩の後に僕たちはついて行き、途中愛美は何度も「なんかドキドキするね!」やら「わくわくするよね!」と満面の笑みで話していた。
当然僕も七海も苦笑いであった。
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10分程度でワタル先輩の家に着いた。
三階建ての大きな家で、庭には犬もいた。
玄関のチャイムを押すと、中からワタル先輩の母親が出迎えてくれた。
挨拶も簡単にぞろぞろとワタル先輩がいる三階の部屋へと向かった。
部屋の前に来ると七海が僕の洋服の裾を引っ張った。
七海「なんか嫌な感じがする」
小声で僕にだけ聞こえるように話してきた七海は少し震えているように感じた。
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部屋のドアをタキタ先輩がノックすると、中から
「どうぞ」
と力ない声が聞こえた。
ドアを開け、中にはいるとワタル先輩はベッドに横になっていた。頬は酷く痩けていて、両目の下にはくまがあった。そして顔中に引っ掻いたような赤い線が何カ所もあった。
タキタ先輩「よぉワタル。具合どうだ?」
ワタル先輩「いやぁー、まいったよ。体は重いし痛いし、何もやる気が出ないんだよ。そんで除霊してくれるのはこいつらか?」
そう言うとワタル先輩は僕と七海をじろじろ見てきた。
そして僕を見て
ワタル先輩「お前目が真っ赤だな。そんな目で見るんじゃねぇよ。」
と睨みつけてきた。
七海がワタル先輩に文句を言おうと前のめりになった瞬間に、
愛美「まぁまぁ!とにかく本当に幽霊に取り憑かれてるかまだわからないし、二人に簡単に見てもらおっ!ねっ!」
愛美が言い終わると同時にタキタ先輩にウインクした。
タキタ先輩「そうだよ!とにかく見てもらおうぜ!」
そう言い、ワタル先輩の肩を叩いた。
ワタル先輩は物凄く不機嫌であったが、納得したようで静かになった。
ただ、ワタル先輩を見ても部屋を見渡しても何も感じられない。霊的なオーラはまったくないのだ。
七海を見るとショルダーバッグから数珠を取り出し握りしめていた。
僕「七海、何か見える?」
七海「ううん」首を横に振った。
七海「ただ、ワタル先輩って人の奥に何か感じるけど、すごく薄いの」
僕「ワタルさん、体が痛くなるのは何時頃ですか?」
そう聞くとワタル先輩はかったるそうに
ワタル先輩「あ?そんなのよくわかんねぇよ。時間はバラバラだな」と答えた。
愛美「とりあえずワタルくんに何か変化があるまで待ってみよぉ!」
愛美の笑顔にワタル先輩は少しニヤツいていた。
愛美の言うとおり僕たちはワタル先輩に変化が起こるまで待つことにした。
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くだらない会話をしていて、気が付いたら夜の九時になっていた。
ワタル先輩は常に僕のことを警戒している様に見えた。
僕がテーブルの上にあるお菓子を取ろうとして、少しワタル先輩に近付いた時だった。
ワタル先輩「やめろ!俺に近づくな!」
叫びのような声を上げたかと思うとワタル先輩は急に震えだした。
タキタ先輩「おい!ワタル!どうした!」
タキタ先輩がワタル先輩の肩を掴むと、ワタル先輩は激しくその手を払った。
ワタル先輩の顔中にあった赤い線の赤みが強くなりだした。
ワタル先輩「あぁぁぁああ゛!体が痛い!」
ワタル先輩が頭を抱えて激しく体を揺らし始めた。そして腕や足に赤い線が無数に現れた。
七海を見ると数珠を片手にお経を唱えていた。
ワタル先輩の方を見ると、ワタル先輩の体のまわりに黒いオーラが少しずつ出ているのがわかった。
ワタル先輩「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
狂ったように叫び、僕を睨みつけてきた。その目は怨みが物凄く籠もっていて、正直怖くてたまらなかったがその目を見返した。
僕はワタル先輩と睨み合いながら近付き、ワタル先輩の左腕を掴んだ。
僕「姿を見せろ!」
僕が叫ぶと同時に、ワタル先輩は体の力が一気に抜けたように下へ崩れた。
ワタル先輩の体を支えた瞬間に耳鳴りがした。そして物凄い寒気に襲われ、自然と体が震えだした。
まわりを見ると時間が止まったように僕以外の全員は金縛りにあっていた。そして三人とも目線は僕の頭の上の方を見ていた。
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僕の目の前には女性が立っていた。その女性の顔を見ると血走った目で僕を睨みつけていた。
服はボロボロで体中に刃物で刺された様な傷や、切りつけられたら様な傷が無数にあった。そして体中をどす黒いオーラが包んでいた。
「その目で私を見るな!見るな見るな見るな見るなぁぁぁあ!」
女性は僕の首をすごい力で絞めてきた。
一気に頭に血が上り、僕の意識は遠のきつつあったその時
七海「えいっ!」
先程まで金縛りにあっていた七海が小瓶から塩を出し、女性に必死に投げていた。
僕の首を締めていた力が弱まったため、僕はその隙をつき勢い良く女性を両手で突き飛ばした。
女性がそのまま部屋の壁にぶつかったと思ったら、女性の姿が一瞬にして煙のように消えた。
僕「七海ありがとう。本気で死ぬかと思った。」
七海「危なかったね!でも持ってきた塩が効いて良かった!」塩の入った小瓶を振りながら続けて
七海「まだ完全に除霊できたわけじゃないね。あれ見て」
七海の指差す方を見ると、倒れたワタル先輩の体から黒い細いオーラが部屋の窓の方に伸びていた。
七海「行くしかないね公園」
七海は好奇心たっぷりの目で僕を見てきた。
愛美とタキタ先輩を見ると、二人とも腰が抜けて口が開きっぱなしになっていた。
僕「二人とも大丈夫?二人にも見えた?」
タキタ先輩「見えた!やばかった!完全に見えた!」タキタ先輩は興奮していたが、愛美は下を向いて震えていた。
急に勢い良く部屋のドアが空き、ワタル先輩の母親が入ってきた。
ワタル母「何してるのあんたたち!部屋のドアもずっと開かなかったじゃない!ワタルになにかしたの?!」と、怒りを全開にぶつけてきた。
タキタ先輩が必死に説明をしていたが、なかなか分かってもらえそうになかったので、僕と七海は静かに外に出た。
時計を見ると10時をまわっていた。
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自転車で公園に到着すると、公園は怖いくらい静かだった。
トイレに向かうとすぐにトイレの壁に書かれた落書きが見えた。
『クソババア』マジックで書いたはずなのに血みたいな赤黒いドロっとした液体で文字をなぞったようになっていた。
僕は両腕につけている数珠のリングを外した。
七海「それ外したらお父さんにまた怒られちゃうよ」
この数珠のリングは七海の父親(お寺の住職)が僕の霊的な力を抑えるために作ってくれたものだ。
僕「大丈夫だよ」
そう言って僕はトイレの方に目を向けた。そこにはあの女性の霊がいて僕たちに気が付かないのか、俯いたままだった。
数珠を外すとよくわかる。女性の霊のまわりを覆っている黒いオーラはただのオーラではない。何十個いや何百個もの顔から成るものであった。
その顔は苦しそうな、恨めしそうなとにかく見ているこっちが苦しくなるような禍々しいオーラだった。
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僕「七海!僕のそばから離れないでね!」
そう言うと七海は僕の服の裾をギュッと握って、僕の後ろに隠れた。
僕と七海は少しずつ女性の霊に近付いていく。近付くにつれ、変な汗が体から沸き出してくる。でも怖いという感情に好奇心が完全に勝ってしまっていたため、僕も七海も足を止めることはなかった。
女性の霊まであと一メートルくらいになったところで女性の霊は顔を上げて僕たちを見た。
その顔はさっきワタル先輩の家で見た顔ではなかった。
顔の輪郭はボコボコに崩れており、皮膚は黒く、歯がない口で笑っている。
そして目がないのだ。ないというか、目があるべき場所は真っ黒で、何もかも吸い込んでしまいそうな暗黒の闇のように見えた。
そして、女性の霊の黒いオーラが呻き声を上げている。確実に先程僕たちが見たのより何倍も強い霊気であった。
七海は足を止め下を向きガクガク震えていた。今にも崩れ落ちてしまいそうなほどだった。
「何がしたい?」
女性の霊は僕たちに向かって静かに言った。その声を聞いた途端に心臓の鼓動が早くなった。
僕「友達を助けたいだけだ。あの人から離れてくれ」
僕は冷静にゆっくりとしゃべった。
すると女性の霊は急に笑い出した。
「ヒャハハハハハハハハ!そうかそうか友達を助けたいかぁ!」
そう言って女性の霊は七海を指差した。
「じゃあその子をもらってくよ」
その言葉を聞いた途端に僕は怒りで頭がいっぱいになった。
怒りの感情が心の底から溢れて僕の体を支配した。
僕は感情に身を任せて女性の霊の左腕を力いっぱい掴んだ。
掴んだ瞬間に女性の霊の黒かったオーラが赤に変わった。
オーラがの色が変わったというより、赤い炎の様なオーラが女性の霊を覆った。
女性の霊は苦しみの表情に変わり、バタバタと体を叩きだした。
「熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」
苦しみながら女性の霊の腕は僕の後ろにいる七海の方へ伸びた。
その時僕の頭の中で誰か、いや何かが囁いた。
『おとせ。おとしてしまえ』
その声が聞こえと思ったら僕の口から自然と言葉が発せられた。
僕「おちろ!」
僕の言葉が発せられたと同時に女性の霊の足下から赤い何本もの腕が伸びてきて、女性の霊を掴んだ。
「ヒィィィィィィィィ」
その言葉と共に女性の霊は地面に消えていった。
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七海を見ると僕の方を真っすぐ見ていた。
七海「終わったね」
その言葉を聞いた途端に僕の目から大量の涙が出た。涙は止まらず全身の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
目の前にふわっとした感触。七海が僕を抱きしめてくれた。そして耳元で
「大丈夫。わたしはずっと龍くんの味方だから」
僕は今の時点ではまだその言葉の意味がわからなかったが、とても癒された。
立ち上がり、二人で公園を出ると、公園の入り口に愛美が立っていた。
愛美も泣いていて
「ごめんなさい」
と呟いた。
僕は愛美の頭をくしゃくしゃに撫でて
「帰ろう」と言った。
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親に電話し、今日は七海の家で三人で泊まることにした。親は七海の家ならとすぐに了解してくれた。
七海の家に着くと、七海の父親が仁王立ちで立っていた。
七海父「とりあえず風呂に入って今日はすぐ寝ろ」
と言って僕たちの頭をポンポンと叩いて、家に入れてくれた。
お風呂に入り、七海の部屋で僕を真ん中にして三人で川の字になって寝た。疲れで意識が朦朧としていたため、寝る前に何をしゃべったか覚えていない。また三人でお風呂に入りたいという愛美の明るい声以外は。
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朝起きると朝ご飯が用意されていた。朝ご飯を食べてすぐに愛美は
愛美「また遊んでね!」
と言い、笑顔で家に帰って行った。
僕は七海の父親に呼ばれてお寺の本堂に行った。
本堂に入ると七海の父親はお経を読んでいた。僕に気が付くと手招きしてきたので、近付いた。
七海父「昨日のことを聞かせなさい」
僕は昨日の出来事をなるべくそのまま話した。
七海父「そうかそうか」と深く頷いた。
七海父「落ちたな」
僕「えっ?」
七海父「地獄に落ちたんだよ。お前が最後に落ちろって言ったんだろ?」
僕「あれは僕に何かが囁いて・・・」
七海父「いいか、よく聞け。その声はお前自身だ。お前の心の声だ。」
ズキンと胸に何かが刺さったような気がした。
七海父「お前の霊力はすごく強い。俺の何倍も強いと思う。それ故、間違った使い方をすると大変なことになる。その力は霊を成仏させることも地獄に落とすこともできる。それはお前が持っている力をしっかり制御できればの話だが・・・」
七海父「今回はお前の感情に任せて霊を地獄に落としたが、これがまだ誰かに取り憑いている状態で落としたらどうなると思う?」
僕はゴクリと唾を飲み込む。
僕「その人ごと地獄に?」
七海父「そうだ。俺は霊と人間が一緒に地獄に落ちるところを一度見たことがあるが、あれはやばかった。今度ゆっくり聞かせてやる」
僕は静かに頷いた。
七海父「ちゃんと修行して力を操れるまではこれを常に付けていろよ。外したら大丈夫なんかじゃないからな!七海から聞いたぞ」
笑いながらコツンと僕の頭を小突いて、数珠のリングを二つ渡してくれた。
七海父「まあ、俺の下で修行するのが一番なんだがな。気が向いたら声かけてくれ」
そう言うと僕の背中を強く叩き、笑いながら本堂から出て行った。
僕はその背中を見て、「その道に行く気はまったくないけどね」とつぶやき、本堂を出た。
本堂を出たところで七海は心配そうな顔をして待ってくれていた。
僕「大丈夫だよ!」
七海の頭を撫でると七海は嬉しそうに笑い、僕の腕にくっついてきた。
そういえば僕と七海っていったいどんな関係なんだろうな
そう思いながら二人で学校へ向かった。
今日もいい天気で僕の目には太陽がいつも以上に眩しく見えた。
作者龍悟
これは僕の中学生の時の体験談です。
頭が悪いので文章力がないですが、少しでも楽しんでもらえたらと思います。
今まで体験した中で印象に残っていることを投稿していきたいと思います。