これから書く話は私の友人が体験したとても不思議で少し怖い話しです
友人の話を元に、わかりやすく文章にまとめてみました
少し長い話になりますが、よろしければ読んで下さい
私の友人は、5年程前大阪のとあるマンションの一室に住んでいたんです
そのマンションの1階の角部屋が友人の部屋でして
間取りは1LDKでした
寝室は夜窓を開けると、とても涼し風が部屋を流れていったみたいなんですね
ですので、友人は毎晩窓を全開で寝ていたわけなんですよ
治安もあまり良くない地域でしたので、まぁ何事も無くて良かったなぁ、なんて思った訳なんですが
で、そのマンションの隣なんですが、部屋の窓側にあたる方ですね
高さ2m程のコンクリートブロックの塀を挟んでコインパーキングになっているそうなんです
そこはあまり使われていないコインパーキングでして、いつからか猫の溜まり場になっていたんですね
そんなある日、フッと気づくと黒猫が塀に登って友人の部屋を覗いていたんです
最初は、野良猫ですので、部屋のゴミでも荒らそうとしているのかな?と思っていたそうなんですが、何日経っても部屋に入ってくる様子が無かったみたいなんです
寝てる間にコソッと入ってきているのかな?とも、考えたそうなんですが、別に部屋の中も荒らされた様子もなく、ただただ友人の部屋を覗いてるだけのようだったんですよ
そんな状況が数週間続くものですから、友人も少し奇妙な感じがしてきたそうなんです
ちょっと黒猫が自分が寝てる間にどういう行動をとってるのか…
友人は部屋にビデオカメラを仕掛けて見てみる事にしたんですね
窓側に向かって黒猫が映る様に1台
部屋の天井の角、窓側から部屋の中を映せる様に1台、その対角の天井に1台
計3台取り付けてみたんです
本当は部屋の4つ角全てに設置して死角を全く無い様にしたかったみたいなんですが、友人もビデオカメラの持ち合わせ等なく、3台の内2台は知り合いに借りたみたいです
その録画された内容を仕事が終わって家に帰ってから、早送りで毎日見るんですが、やっぱりその黒猫全く動かないんですね
ずっと部屋の中を覗いたまま…
不思議な黒猫だなぁなんて思っていたんですが
ビデオカメラを取り付けて数日が経ったある夜
いつもの様に仕事終わり家に帰ってからビデオカメラをチェックしたんですよ
するとね、この日は様子が少し違ったんですね
猫の方向に向けたビデオカメラ
深夜3時を回った頃
早送りしていた画面に一瞬砂嵐が入ったそうなんです
早送りしていての一瞬ですので、通常再生したら数秒画面が砂嵐の状態になったんですね
まさか故障したのか!?
最初は少し焦ったそうですが、その後普通に再生出来たので、あまり気にせずまた見始めたそうです
でも、妙な違和感を覚えた友人はそこから数分通常再生で見てみる事にしたんですね
相変わらずこちらを向いたまま動かない黒猫と、それを辛抱強く見る友人
さすがに10分程見てると飽きてきまして、ちょっと休もうかなって思った矢先
ビデオカメラの時刻は3時13分13秒を指していたそうです
黒猫に異変が起きたんですね
まるで何かを威嚇している様な表情に変わったんです
部屋はオレンジ灯の光で少し明るくはなっていたんですが、ハッキリと確認出来なかったみたいです
ただ、ビデオカメラ越しに見た黒猫は、口を大きく開け、眉間にシワを寄せ、尻尾を天に向け…
ずっと可愛らしく招き猫の様にちょこんと座っていた黒猫が、腰を上げて何かを威嚇している雰囲気だったそうです
これは何か変だなと思った友人は、一度黒猫に向けていたビデオカメラを止め、他の2台のビデオカメラ見てみたんですね
すると3時13分17秒
友人のお腹の上辺りに何か白い煙の様な物がもわもわっと立ち籠めてきたそうなんです
それは2台のビデオカメラでハッキリ確認出来たみたいです
その2秒後、3時13分19秒
煙が赤色に変わり始めたそうなんですね
次は3時13分26秒
立ち込めていた煙が友人を包み始めたそうです
3時13分29秒
とうとう友人の体全体を包み隠そうとした瞬間、甲高い猫の鳴き声がビデオカメラに流れてきたそうなんですね
その瞬間、友人を包み隠そうとしていた赤い煙はビデオカメラの中から全て一瞬で消え去ったみたいなんです
今の猫の鳴き声はもしかして…
友人はスグ3時13分13秒から、この一連のシーンを黒猫を映したビデオカメラで見てみたそうなんですね
すると3時13分29秒
ちょうど黒猫が叫んだ瞬間黒猫の後ろに何か映っているんですね
よく見ると、それ人っぽく見えたそうなんです
でもね、生きてる雰囲気じゃ無かったみたいなんですね
右腕が無く、後ろの景色も所々透けていて…
この映像を見た時、友人は恐怖心もありましたが、それ以上に不思議な気持ちの方が強かったそうなんです
この一連の動画はなんなんだろう?何を意味しているのだろう?色々と考え込んでいると、実家から電話がかかってきたそうなんですね
夜の22時を回っていたそうです
こんな時間になんだろう?と思い電話に出ると、ついさっき母方の叔父が亡くなったという電話だったみたいです
86歳
そろそろだとは思っていたそうなんですがね
急な話しに驚いたそうですが、それ以上に驚くべき事に気づいたんです
母方の叔父…13年前に右腕無くしてたそうなんですね
このカメラに映っている「何か」それは祖父と関係があるのかな?なんて考えたみたいです
そしてふと塀の方見るといつもの様に黒猫がいたんですね
でも、今日は一言にゃーと鳴くと、そのままどっかいっちゃったみたいです
あれ?今日は残らないんだ…
するとね急に物凄い不安に襲われたそうなんですね
友人は今まで霊を信じていなかったのですが、元々怖いのはあまり得意じゃなかったみたいで、言い知れぬ不安が心に湧き上がってきたそうなんです
でも、こんな事で外泊する訳にもいかず、恐怖心を抑えながらいつも通り寝る事にしたんですね
眠りについてから、どれ位経ったのか…
友人は生まれて始めて金縛りにあったんです
その金縛りで目が覚めたそうなんですが、金縛りって本当に体動かないそうですよ
でもね、目蓋の裏では眼球動かせるんですって
まぁ、目の前に映っているのは目蓋の裏ですので、右に動かせど左に動かせど真っ暗なそうなんですがね
時間の感覚も無く、どれ位経ったか、目の前に急に祖父が現れたそうなんです
勿論、声を上げる位驚いたそうなんですが
実際は声を上げていたのか、上げていないのか、わからないみたいで
でも、驚きの後は特に恐怖も感じず、何故か嬉しかったそうなんです
何を言われた訳でもないんですが、全く恐怖を感じず、自然と涙が出てきたらしくて
すると祖父は友人の方へ近づいてきてそっと呟いたそうなんです
「いつでも守ってやるからの」
その瞬間金縛りが解けまして、友人泣いていたみたいなんですね
そして、無我夢中であの黒猫を一晩中探したそうなんです
明日の仕事の事など気にせず
でもね、結局見つからず朝になっちゃったらしいんですね
これはあくまで私の推測なんですがね
友人はもしかしたら何か良からぬモノに取り憑かれていたんじゃないのかなって思うんですよ
それを祖父が最後の力を振り絞り守ってくれた
私はそう思うんです
後日、祖父の葬式がありまして、お坊さんがお経を読んでるとどこからともなく黒猫が現れたそうです
友人が暮らしていた所から、この葬式会場までは軽く50kmはあると思うんですがね
まさかとは思いましたし、何か特徴があった訳じゃないんですが、友人はその黒猫があの時の黒猫だと確信をもってたそうなんですよ
するとその黒猫は辺りを見渡すと、てくてくとゆっくり祖父の入った棺桶に近づき、上に飛び乗ると横になったんですね
母親が立ち上がりその黒猫をどけようとすると、その黒猫なんとその棺桶の上で死んでいたんですね
祖父と同じく安らかな顔で
まるで眠っているかの様に…
あれから5年経ったんですがね、友人は事故も、大きな病気も無くとても元気に暮らしているそうです
今でも忘れる事の出来ない、不思議な体験
未熟ながら友人に代わり書かせて頂きました
作者@ko