毎日毎日、"仲間"が消えてゆき、鎖を引っ張られて無理やり連れ出される
鳴き叫ぶ"仲間"を見て喉がつっかえる程に胸が軋む、そして恐怖する
いつか、自分もこの日が訪れるのかと思うと
***
いつも決まった時刻にマズイ食事を持ってくる
ここにいる全員の"仲間"たちが奴らを嫌っている
まるで自分たちを見下すようなこの目が嫌いだ、大キライだ
_____まさか、こんなにも早く死が訪れるとは思っても見なかった
***
ここに来て一度も安らかな眠りについたときなどない
寒さ、不安と恐怖で浅い眠りを繰り返していた早朝に、狭い檻が開いた
もしかして出してくれるのか、と思った自分は馬鹿だった
檻を出た瞬間、昨日と同様に鳴き叫ぶ声が聞こえた
まわりを見回すと大勢の"仲間"が外に出ていた
そこで私はハッと気づいた、[逃げなきゃ]と咄嗟に思い抵抗した
私を檻から出したヤツは、キッと私を睨んで鎖を強く引いた
それだけで恐怖した私は鳴く事も出来ず、ただ震える足でヤツに従った
長い行列が一列と並ぶ
殺される?私は殺される?イヤだ
ドクドクと心臓が騒がしくなる、全身に汗が吹き出る
他の"仲間"たちの鳴き声が、これから起こる事を物語っているように思えた
外に出るとあの日、私が運ばれて来た時と同じ乗り物がそこにあった
暴れ抵抗するもの
諦めたような表情のもの
私はどちらでも無い、ただ絶望にうちしがれて泣いた
やがて光は全て遮断され、エンジン音だけが響いた
***
私たちは再び一列に並ばさせられた
まさに死への行列
怖くて怖くてカタカタと足が震えていうことをきかない
もう何をしても死からは逃げられない、そう私は悟った
白い服を着たヤツらが私に電気を当て、意識が遠のいた
***
自分はもう死んだのか?
神様は残酷だ、助けてくれとあれだけ頼んだのに
この身は数日すれば、大嫌いなヤツらの生きる糧になるのなんて考えたくもない
短い人生だったな、もっと生きたかったな
一度だけみたお母さんの姿、もう一度会いたかったな
最後でいいから
生きたいよ、あの生活でもいいからもっと生きたいな
イキタイ、誰かタスケテ
重いまぶたを開けると白い服を着たヤツが立っていた
どうしてこんな近くにいる?自分はまだ生きてる?
考える暇もなく、全身に激痛が走った
イタイイタイイタイ!!!
大量に赤い血が冷たいコンクリートにしみる
首を半分、ちょん切られた
骨まで届いてないから、意識はハッキリしている
止めどなく、涙と血が次々とつたう
……ここまでするのか、ヤツらは
[私が何をしたと言うんだ!!私達が!"仲間"が!]
[ただ生きたかった!!どんなに辛くてもいい生きたかった!]
[死ぬためだけの命なんて最初から存在しない方が良かった!]
怒りで煮えたぎるようだった
気づけば片方の足だけに縄を巻かれていた
次は何をする?これ以上の苦痛を味わうのならば死んだ方がマシだ!
そう思った次の瞬間に、機械が作動して足が釣り上げられた
これが私の【死へのクライマックス】だった
***
お気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが
私、"仲間"の正体は、家畜の牛です
ヤツらとは、人間です
まいにちに何千何万の動物たちが私達、人間のために命を捧げてくれています
これは実際に起こっているものです
どうして題名を〈頂きます〉としたかと言うのは、本来頂きますの意味はご存知でしょうか?
「私の命の為に、動植物の命を頂きます」という意味が込められています
私は作ってくれた人、動植物の感謝の気持ちを言葉にするのをいつしか忘れていました
あるサイトをみて、平然と当たり前のようにご飯を食べていた自分が恥ずかしくなりました
どうか皆様の頭の隅に、動植物の気持ちを少しでも考えてくだされば幸いです
作者マァー
久しぶりの投稿です、目を通していただきありがとうございました
突然ですが、「頂きます」「ご馳走様」という感謝の言葉を言える人は何人いるでしょうか?
「牛は人間に食べられるのが幸せ」だなんて今まで思っていた自分は本当に最低で、愚かで牛さんに申し訳ないと思いました。
それだけ私にはあの記事は衝撃的でした
かといって、生きる為にお肉を食べないわけにはいきません。
動植物にとっては嬉しくないと思います。
けれども、毎日私は「頂きます」を食事の際に口にすることを心がけます。
重く、オチがなくてすいません。
安眠死などじゃありません。
ただ現実を一人でも多くの皆様に知ってもらえればと、この場をお借りして書きました