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誰も、いるはずのない廃病院

短編2
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誰も、いるはずのない廃病院

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3人の男たちが肝試しの為に、近所の「出る」と噂の廃病院にやってきた。

1人はビデオカメラを構え、他の2人はカメラに前に立ってテレビのリポーターのように実況しながら病院の中へと入っていく。

「オラ、ワクワクすんぞ!」、「K!出しゃばるんじゃない。」

そんなことを言いながら奥へと向かった3人は、かつては手術室だった場所で古いカルテを見つけた。

3人は戦利品としてそのカルテを鞄の中にしまうと病院の出口へと向かう。

「おじゃましましたー」

shake

さっそく撮影したビデオを見たいと思った3人は、ビデオの持ち主の部屋に集まった。

ビデオがかけられ、テレビ画面にあの病院が映る。

「おじゃましまーす」

挨拶とともにカメラが病院の中に入っていった、まさにその時だった。

「で......て....けェ....」

3人は顔を見合わせる。

確かに聞こえた、女の声だ!

カメラはさらに病院の奥へと進んでいく。

「オラ、ワクワクすんぞ!」「で....て.けェ....」

「やっぱりこんなところに何もでないよ」「出てけェ!」

3人の顔はみるみる青ざめていった。

空耳などではない、女の声は間違いなく録音されている。

やがて画面は明るくなり、カメラが病院の外へ出たのがわかった。

「おじゃましましたー」

「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ!」

今度の声は今までと違い低く、陰気で、攻撃的な声であった。

するとその時、突然部屋の電話が鳴り出した。

3人は顔を見合わせ、おそるおそる電話に出る。

聞こえてきたのはあのビデオに録音さていた女の声・・・

「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」

Concrete
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