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夢見る君は夢にいる(中編)

中編3
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夢見る君は夢にいる(中編)

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ファラオ(愛犬)は、御主人様が頭を強打して、苦痛で目覚めたと言うのに、気持ちよさそうに、俺の股の間にピッタリと収まり、スースーと寝息をたてている。

 

 

何だか、ドッと疲れたのに、心臓がバクバク鳴るのを止めず、その朝はもう眠りにつくことができなかった。

 

それでも、気持ちよさそうに眠るファラオを見ていてると可愛いな~と癒されたのだが…

 

ものの数分で、

『なぜ、主人の俺が眠れなくて苦しんでいるのに、こいつは気持ちよさそうに寝ているんだ?』

という、どう転んでも八つ当たりとしか思えない感情をいだき、布団をはいで、飛び起きてやった。

 

もちろん、ファラオも強制的に飛び起きることになったのは言うまでもない。

 

それにしても、腹が減った。

寝る前に食べたのに、物凄く耐えがたい空腹に襲われ…

 

『ファラオ、コンビニ行くぞ!!』

と、眠るのを諦めたのだった。

 

 

日の出間もない街は、寒々しく、まだ人は少ない。

 

買い物を済ませ、コンビニの帰り道。

 

 

リードを付けた黒猫が日向ぼっこをしている場面にでくわし、リードを握ったまま座り、日向ぼっこをしている人に話しかけた。

 

『おはようございます、Cさん。寒くないのですか?』

 

キラキラした朝日を集めてその人は答える。

 

『おはよう、A君。朝日って気持ちいいね、冷たかった体がドンドン温まっていくみたい。』

 

この人と話していると、いつも胸の奥の方でズキズキと小さな痛みを感じる。

 

そして、いつも、兄貴とこの人に何があったのだろうと考える。

 

コンビニへのこの道でCさんとちょくちょく会ううちに、世間話をするくらいの間柄にはなっていた。

少しのおしゃべりの後、空腹に背中を押され、帰ることにした。

 

帰り際、Cさんに呼び止められ…

 

『君、つかれてない?』

 

と、心配をされたのには少し親近感を感じた。

『元気ですよ♪ありがとうございます♪』

と、できないウィンクをしようとして、両目をパチクリしていると、

『可愛いね君は』

と、笑われたのだった。

 

 

年上の女性に可愛いと子供扱いされるのは、あまり好まないが、内心むずがゆさに早々と立ち去ることにした。

 

ダルいまま1日を過ごし、ひたすら長い1日を終えた。

そしてその日も夢を見た。

 

雰囲気のいいBARで、綺麗に丸くカットされた氷を指2本分入れられたアルコールで溶かしながら飲んでいた。

 

ギィ…パタン…

 

ドアを開き、そして閉じる、小さな音と、俺の隣に腰掛ける女の子…

 

グラスの氷が少し溶けて、カランと耳障りのいい音を鳴らし、俺はバーテンダーに、

『彼女に似合うカクテルを…』

と、注文をする。

 

洗練された大人の時間を2人で堪能し、彼女が、『お手洗いに…』と席を立つのを合図に、会計を済ませることにした。

 

そして固まる。

 

ゼロの数が伝票をはみ出てカウンターにまで表示されている。

 

『ちょっ!?これは高すぎませんか!?』

 

苦情をつけようと顔を上げると、バーテンダーは、まさに鬼の形相で包丁を振りかざしてきた。

 

後ろにのけぞってよけたが、体勢を崩して転けそうになる。

 

『うわぁ~』と情けない声をあげ、倒れそうな俺の手を引き

 

女の子が言う。

 

『こっちよ!!』

 

2人して扉を蹴破り、店の外へ転げ落ち…

 

 

目が覚めた。

 

ベッドから転げ落ち

『いってぇ…』

と、うめく俺を、ベッドの上から、うんざりそうに眺めているファラオがいた。

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