俺には友人がいる。人見知りな俺。だが、唯一1人だけ、親友がいた。でも、彼は俺より人見知りで、学校にもそうそう来ない始末。他の生徒にも無視される。いじめられてる。否-。構われないと言う表現が正しい。空気みたいな感じだ。先生にも指されたことはないし、出席確認も呼ばれたこともない。彼は影が薄い。だが、彼と話すと夢中になってしまう。彼とはかなり話が合う。そして、今日。彼の家に初めて行く。母にはちゃんと告げ、返事も聞かずに飛び出してきた。楽しみで仕方なかった。彼のことを考えると、彼と会話する姿、トランプなどで遊ぶ姿を想像したら、ウキウキが体中を回る。
━━そんなことを考えていたら、彼の家についた。俺の家とはさほど変わらないだろう。インターホンを押す。ピンポーンという音が家の中を響き。間もない内に彼が降りてきた。
「入って。今日はお父さん、母さんがいないから」
「じゃあ、お言葉に甘えて。おじゃまします」
俺は愛想笑いを顔に浮かべながら、家のなかに入る。靴をキチンと並べ、階段を上がっていった。
「そこに座って。じゃあ、何からしようか」
彼の部屋は清楚だった。本棚には何もなく、何もかもがすっからかんだったが、ホコリは見た限りなく、ゴミはキチンとゴミ袋に収められていた。俺はいろいろなことを話した。アニメやゲームの話、時間はあっと言うまに過ぎた。俺のポケットの携帯から音が鳴る。母からだった。
『アナタ。今どこ?』
「え?友達の家だけど?」
『その友達って・・・・』
「前にも話さなかった?」
『アナタ。忘れたの?そんな友達はいないのよ?』
俺は母の頭がおかしくなったのかと思った。
『どうやら、また忘れたみたいね。あなたは自分が友人が少ないことに絶望して、空想の友達を作りあげたの』
状況の理解ができない。母は何を言っているんだ?
『発作的に起こるのよ。あなたの妄想が、いもしない人間と今日は沢山話したとか、今日に至っては遊びにいく、だとか』
「はは。何言ってんだよ母さん。俺の親友はここに・・・・」
後ろを振り返る。何もなかった。誰も居なかった。
『分かった?アナタは今まで自分の妄想が作りだした友人と話していたのよ。お願いだから帰ってきて。・・・・お願い』
俺は携帯を投げ捨てていた。誰の声も入ってこない。
「おい!どこにいるんだ?隠れてんだろ?また、冗談なんだろ?」
俺の妄想?そんなわけがない。俺の親友は!!!!!・・・・・・・・いないのか??
頬を伝って、床に熱い液体が落ちていった・・・。
作者なりそこない