俺がまだ20代前半だった夏の夜とだったと記憶するが。
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仕事帰り 車に付けている無線機で 何時もの周波数で何時も道理仲間を呼んでみた
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すると M君とO君から返事が返って来た
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2人とも車で移動中だった
俺が「これから3人で茶でも行こかぁ」と誘った M君もO君もOKと言うことで3人が集まり始めた その様子を聞いていたH君が、俺も参加したいと声をかけてきた
そんな感じで4人集まり くだらない話で盛り上がった しばらくした時 よほど暇だったんだろう H君が「ちょっと琵琶湖まで走りに行かへんか」と言い出した
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3人ともこの後予定が無いのでOKした
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4台の車で無線しゃべりながらのドライブ というより走りや状態だった
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国道24号から宇治の平等院を抜け 宇治川ラインに突入 各車スピードを上げた タイヤがキュッキュいいながらカーブを曲がる
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間もなく天瀬ダムって所で先頭を走っていたH君が急にスピードを下げ左にハンドルを切った
丁度ダムの下へと続く道へ「何処行くねぇ?」とM君もO君もマイク片手に叫んでいる 俺もそう思った
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H君が「ちょっと涼もかぁ」と 言いながら細い下り道を降りて行く 各車H君の車に続いた
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やがて ダムの下の橋を渡った所で車を止めた「うわぁ真っ暗やんけぇ」と言いながら4人が車から降りた だらだら歩きながらさっき渡った橋の所まで行き ダムから落ちる水の音と微妙にかかる水しぶきを感じていた
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そこでまた男4人のくだらない話が勃発 いつの間にか 怖い話へとなっていった 時間はもう夜10時をまわっていた
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3人ともお化けは信じない奴ら しかし 場所が場所だけに俺が体験した奇妙な話に たばこを吹かしながら耳をかたむけていた
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話をしながら みんなに感想を聞いている時だった
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この橋の下の川を誰かが歩いている音がして来た よ~く聞いて見ると ザブウン ザブウン と川の中を歩く音
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まさか そう思いながら 下を見た 暗くて何も見えない 当然の事だ
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どんよりとした月明かりだけが周いを照らしているだけ
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俺は、音の正体を突き止め様と車から クワガタ虫捕りに使っている強力な光を放つ懐中電灯を持ってきた
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その時O君が「あそこ誰か居ないかぁ ほらっ 何か釣りしてる見たい」と下流を指さした
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ぼやぁっとした月明かりの中、川の中央付近に何か見える 人が立っている様にも見える
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懐中電灯でその人影らしきものを照らした んぅ? 何も見えない
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で、川の下を歩く音がする方へ照らしていると 3人とも 「やっぱり誰か川の真ん中に立ってる」と言うのでそっちを照らすが何も見えない
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違うのだ 月明かりだと見えているのが懐中電灯の光で照らすと見えなくなるのだ
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3人とも「あれ もしかして幽霊?初めて見た!怖ぁ」とか言っている
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俺も錯覚や幻覚じゃ無い事を確認の為 何回も光をその人影らしきものをセンターにし左右にライトをゆっくり動かした
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ある地点を堺に光りの光量が多くなると奴は見えなくなるところまで確認した
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奴は俺たちに気付いているのか 俺は至って冷静だった
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何を思ったかM君が車より何か持って来た
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パリペリィとセロファンの様なフイルムを破る音と共に両手で何かもぞもぞしている
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それに懐中電灯を照らした 彼が手にしているのは 何とロケット花火!
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まさかっと思ったが そのまさかであった
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それも その橋の欄干にくくり付けてあった竹筒を引きちぎり
そう その竹筒を花火の発射台にし あの人影にぶち込もうと言うのだ
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他の2人は「辞めとけ」と言ったが 俺は止めなかった
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花火で奴がどう反応するのか興味があったから 又、俺がやるんじゃ無いから別に祟られ無いからと思っていた
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花火を2本差し込みいよいよセット完了 もう誰もM君を止めなかった
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ライターの火を導火線に近づけた
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みんな固唾をのんだ
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点火した しゅうるるうぅ~ぅぅと導火線の火が音を立ててロケット花火本体に吸い込まれた
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一瞬オレンジ色の明るい色とピュ~ゥという音と共に花火が川の中央に向かって水平に飛んだ
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それと同時にM君が 何とも言えない声と言うより悲鳴みたいな声で叫んだ
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そして急ぐ様に自分の車に乗り込みエンジンをかけた
みんな どないしたん??て感じ
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M君の車に駆け寄り「どうしたんやぁ!」の連発
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彼両手でハンドルをかたく握り震えていた
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とりあえず明るい所へ行こうと言うことになり 京阪宇治駅まで車を走らせた
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みんなで、震えるM君を落ち着かせ どうしたのかと聞き出した
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M君が言うには ロケット花火が発射した瞬間オレンジ色の火花と煙の中に一瞬ぶよぶよして歪んだおにぎりの様な人の顔が自分の目の前に現れたと言うのだ
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やはり奴は俺たちに気付いていたのか!それとも怒って居るのか と同時にM君の罰当たりめと思った
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M君あの竹筒どこから持って来たのだろう
多分ダム若しくは橋から身投げした人に対しての花束を供えるものだったのだろう
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M君今頃どうしているんだろう ふと思い出して書いてみました。
作者渋谷泰志