私が子供のころの話し
ある日、母が古いお守りを全部だすように言ってきた。
何年もたってるお守りをいっきにお寺に持っていこうと思ったらしい。
うちの両親は離婚していたが、母は近くに住んでいたため毎日うちに来ていて、この日もうちにきていた。
そして家中のお守りを持って、1人で暮らすアパートへかえっていった。
そして翌日。
母は「昨日は1日中寝れなかった」といって話しはじめた。
母が住んでいたのは、6畳の部屋と台所を4枚の襖で仕切っただけのアパートだった。
玄関を入るとすぐ右手に台所、そのおくにお風呂とトイレ。
そして母は玄関にお守りを置いていた。
お守りは、ビニール袋にまとめていれられていた。
夜になり、さて寝ようと電気を消してベッドに入った母。
眠りについて、ちょっとたった頃、寒くて目が覚めた。
見てみると、かけていた布団がベッドの下に
落ちている。
あれ?と思いつつもまた布団をかけてねる。
しかし少したつとまた寒くて目が覚める。
そしてまた布団が下に落ちている。
おかしいなーと思いつつもまた布団をかけてねる母。
しかし少したつとまた寒くて目が覚め、見てみるとまた布団が下に落ちている。
そして、何回かそんなことを繰り返したとき、閉めたはずの襖が少し開いていることに気づいた。
でもこの時は、たいして気にもせず襖を閉めて寝た。
、、、、、しかし、しばらくしてまた寒くて目が覚めた。
また布団が下に落ちている。
そしてまた襖が開いている。
閉めたのに、と思いながら襖を閉めようとそこへ向かって、襖に手を伸ばしたその時、開いた襖の間を白い服の誰かが通った。
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!?!?!?!?!?!?!?!?!?
母は1人暮らしで、しかも通りすぎた人が向かった先は1m位先にトイレとお風呂があるだけの行き止まりだ。
ヤバいと思った母は急いで襖を閉め、布団に入った。
閉めた襖からちょっと目をそらし再び襖をみるとまた開いている。
いま閉めたはずの襖。なんで??と思っていると、
その開いた襖のすき間をまた誰かが通った。
それも、1人ではなく、ちょっとの間隔をおいて何人もの人が行き止まりの方へ向かう、、、
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こわくなった母は電気をつけ、襖を閉め、今度は布団が落ちないように、両手を布団の上に出し、ぎゅっと押さえてた。
そして、うとうとした頃、布団が引っ張られる感覚がして、出していた両手で布団をぐっと掴んだ。
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と同時に目をあけると無数の腕が、布団をコの字に囲むように引っ張っていた。
shake
肘から先の腕だけがびっしり並んで布団を引っ張っていたのだ。
体や顔はみえない。とにかく、肘から先の腕だけ。
うわっーっと思った母が次に気づいたときには、もう朝。
玄関に置いてあるお守りのせいだと思った母は急いで、そのたくさんのお守りをお寺に持っていった。
お守りのせいかどうかは、分からない。
神様同士は別にケンカしないと聞くし。
ただ、古いお守りは供養してもらった方がいいときくし、もしかしたらお守りの力に何かが引き寄せられてきたのかなぁ、とか思う。
たいして怖くないかもしれないけど、子供の私にこんな話しをするなんて、母はよほど怖くて誰かに聞いてもらってちょっとでも楽になりたかったのかな、と思う。
作者野沢