「何か携帯拾ったw
スマホなんだけど、こうゆうのって警察に届けるのが正解?」
友人のエリからメールがきた
私「マジでw
いや、普通に警察でしょ
落とした人困ってるだろうから早く届けてあげてw」
私とエリは小学校からの幼馴染で、よくその日の出来事をメールで話すのが日課だった
その日のエリからのメールも、またこいつ変な物拾って!くらいにしか思っていなかった
エリ「警察に届けたいけど、今から交番行ったらバイト遅刻するw」
私「じゃあ、終わってから届ければいいんじゃない?
仕方ないしねw」
エリ「了解!
じゃあバイト行ってくる(・ω・)ノ」
私「うぃー
サボんなよw」
それは、そんな私たちの何事もない日常会話のはずだった...
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22:30
私の携帯がなった
ちょうどエリのバイトが終わるくらいの時間だ
案の定エリからのメールだ
エリ「ちょっとマジでやばいんだけど...」
いつもならバイト疲れたー!とか何でもないメールのはずなのに、意外な内容に少し焦った
私「は?何がよ?
エリ「バイト終わってさ、さっき拾った携帯みたら、なんかいっぱいメール入ってて...」
私「あー、落とし主でしょ?
携帯落として焦ってるんだよ
何て言ってるの?」
まあ、携帯を落とせば誰だって慌てて着信とかメール入れまくるし、私は当然だろうと思った
でも、エリからきた返事に私は凍り付いた...
以後、エリから転送されてきたメール内容
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「17:38 携帯拾ってくれてありがとう
その携帯は私が落とした物です。
返信ください」
「17:46 メール見てたら返事くれませんか?」
「17:58 その携帯がないと凄く困るので返事くださいお願いします」
「18:10 見てますか?早く返事くださいね」
「18:24 うーん、どうしたー?」
「18:49 どうしたのかなー?
早く返事しろ」
「19:02 無視されるのって嫌いなんだけど、僕のこと嫌い?」
「19:08 もしかして写真見たのかな?」
「19:11 誰かに話したらお前殺すぞ。今ならまだ許すから返事してね」
「19:22 本当に何もしないから返事してね?もう少ししか待たないよ」
「19:38 あのさ、GPSって知ってる?」
「21:51 結構かわいいじゃん」
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そのメールを最後に来なくなったようだ
凄く嫌な予感がした...
エリにとりあえずバイト先の人に家まで送ってもらうよう伝え、暫く返事を待った
30分待っても返事が来ない
私は心配になってエリに電話をかけてみたが、繋がらない
これはさすがにやばいと思った私は、私とエリの学校の担任で、いつも相談などをしている塚っちゃんに電話した
私「もしもし!やばいんだけど!」
塚「何だよこんな時間に どうした?」
私は慌てて口ごもりながらも、事の一部始終を塚っちゃんに話した」
塚「遥、とりあえず落ち着け。今から先生がエリの両親に連絡するから、お前は何もしないで待ってろ」
私はソワソワしながらも、とりあえず塚っちゃんの言葉に従った
私とエリはいつも塚っちゃんに対して馴れ馴れしい態度で接してはいたものの、何だかんだ頼りになる塚っちゃんを信頼していた
この人ならどうにかしてくれる...
塚っちゃんと電話をしてから、さらに30分が経過した
何度も携帯を手にとっては、エリと塚っちゃんから連絡がないか確認していた
結局それから1時間が経ち、我慢の限界をむかえた私はとうとう塚っちゃんに電話掛けた
私「全然連絡ないけどどうなってるの!」
塚「ごめん、遥。俺もさ、連絡しようと思ったんだけど、全然エリの足取りが掴めなくてさ」
私「そうなんだ...塚っちゃん今どこにいるの?」
塚「えっとな、遥の電話を切った後、すぐにエリの両親に連絡して、エリのバイト先とその周辺を探索してるところ」
私「エリ、家にも帰ってないの?」
塚「エリの両親に帰ってきたらすぐに連絡するように伝えてあるから、まだ帰ってないだろう」
私「私も今からそっちに行くから、塚っちゃんはエリを探してて!」
塚「いや、お前は絶対にくるな!
お前まで巻き込まれたら洒落にならん
絶対に家から出るな!」
私「でも!」
塚「ダメだ!」
私は塚っちゃんの普段見せない勢いに驚いて、そのまま黙ってしまった
それから時間は悪戯に流れ続け、とうとう午前3時を回った
当然寝付ける訳が無い私は、ベッドの上に座りずっと泣き続けた
小学生からずっと仲が良かった友人に何かあったのかもしれない...
考えれば考えるほど悪い方にばかり考えてしまう自分が許せなかった
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暫くして、2階にある私の部屋の窓に何かが「ペキッ」て当たる音がした
訳がわからず、慌ててカーテンを開けると、そこには窓にへばり付く赤い血の塊の様な物...
そして、その傍のベランダには見知らぬ携帯が落ちていた
一体なに?
まさか...まさか...
恐る恐る携帯を手に取った私は、ゆっくりとメールを確認した
間違いない、エリから転送されてきた内容と全く同じメールが入っている
エリが拾った携帯だ!
なんで今これがウチのベランダにあるの?
それにこの血みたいのって...
もう訳がわからず、私の頭はパニック寸前だった
そして、エリが私に転送してきた内容のメールの後に、もう一つ新しいメールが入っていることに気付く
「1:13 まだ気がつかないかな?
写真を見てね」
写真?写真って確か、見たら殺すとか言ってた...
私は今すぐにでもこの携帯を窓から投げ捨てたかったけど、その写真からエリの情報がわかるかもしれないと思い、恐る恐る、写真を開いてみた
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その写真を見たとき、私は今まで味わった事のない恐怖に襲われた
そしてその場に立っていることも出来ず、膝から床に崩れおちた
そこには、裸にされ、目隠しをされ、乳房や局部に無数の針の様なものが突き刺さったエリの姿があった
そんな...なんで?誰がこんなこと...
涙が止まらなかった
もちろん友人を思う気持ちからでもある。
でもそれ以上に、ただ恐怖の虜だった
どうしよう?わからない...
怖い...助けて
完全にパニックに陥り、混乱する私は無意識のうちに塚っちゃんに電話をかけていた
とにかく誰かに助けて欲しい
この恐怖から抜け出したい一心だった
...........................................................
でも、そんな私を更にパニックに陥れる事態が起きた
突然、あの携帯が鳴ったのだ...
恐怖のあまり無意識に携帯を部屋の角に投げる
「塚っちゃん!お願い早く電話に出
て!」
電話をかける手が震える
そのあとも、あの携帯はいつまでも鳴り止まず、私は携帯を残したまま部屋を飛び出し、一階のリビングに駆け下りた
「早く!早く電話に出てよ!」
暫くして、やっと塚っちゃんが電話に出た
塚「どうした?まだ起きてたのか?」
塚っちゃんの声を聞いた私は、一気に緊張の糸が切れたのか、もう泣き過ぎて自分でも何を言ってるのかわからないくらいの状態だった
私「塚っちゃん、今ね、グスン...窓にね...ヒック、なんか当たってね...
塚「どうした?落ち着け遥。大丈夫か?」
私「もう、ヒック...わけわかんないよ...エリも、大変なことになってるし、、なんか、うちに携帯もあるし...ヒック...」
塚「大丈夫だよ、遥俺が付いてる」
私「でも、私はどうしたらいいの?ヒック...エリがね、大変なの...私も、同じ目にあうのかな...ヒック」
塚「大丈夫、俺は遥にそんなことしないよ...」
私「え?なに言ってるの?塚っちゃん?お願い、助けて...」
塚「俺がついてるから大丈夫だ
遥のその泣きじゃくった可愛いい顔を見れるなら、僕は何だってする」
私「塚、っちゃん?」
塚「怖がる遥は最高に可愛いよ
泣きじゃくる君を抱きしめたいってずっと思ってたんだ遥...
例え君の親友を使ってでも...」
私「いったい...何を言ってるの?」
微かに2回の自室のドアの開く音がした
そして、ゆっくりな足取りで階段を下る音が近づいてくる
私はその場から動く事が出来なかった
まるで金縛りにでもあったかのように、目だけが2階から現れる者を見つめていた
そして、現れたそれは、あの携帯を耳にあて、ニタニタと微笑む塚田の姿だった
塚田はゆっくりと携帯を耳から離す
塚「遥、僕はここにいるよ。もう大丈夫だよ」
作者遥-2
久しぶりの投稿です。
またちょくちょく更新していくのでよろしくお願いします。