......最近、幻聴に悩まされている。
...あぁ、医者がいうには、仕事の疲れと、妻を失った悲しみが原因らしい。
nextpage
俺は....先月、妻を失った。
もとから本人に、私は長くは生きられない、と言われていたが、まさか結婚三年目で失うなんて...。
妻は、今時珍しいくらいできた女性だった。
平日も休みの日も朝は俺より早く起き、なにも言わなくても、俺の食べたい料理を用意してくれた。
家事は私がしっかりやるから、あなたは心配せず、お仕事に専念してください。
生まれつき体が弱い妻に、俺も家事を手伝おうか?と言ったら、そう言われた。
芯が強く、優しい、本当にいい嫁だった。
nextpage
....あぁ、話を戻そう。
幻聴のことだ。
その....、クローゼットから、ノックが聞こえるんだ。
.......内側から、だと思う。
弱い力で、誰かが叩くんだ。
...違う!家鳴りとかじゃないんだ、弱い力で、でも確かに、コンコン、って。
聞こえるんだ。
怖くて開けてはいない。
でも、俺は妻と二人暮らしだったし、誰もいるはずないんだ。
だから幻聴なんだ...。
..........子供?息子?
妻から電話があった?
なにを言っているんだ?俺たちにはそんなのいなかった。
ははは、いるわけないだろ?
だって俺たちには.....俺は...、クローゼットに...を押し込めて......。
アイツを...泣き叫ぶアイツを.......、聞こえないふりをして....、それで、飢えて動けなくなるまで閉じ込めて..........。
死んだんだよ、二人とも。
ほらな?幻聴だろ?
あぁ...あぁぁぁ.......、また聞こえる...、
ノックの音がする.......。
作者ゆ-3
妊娠した妻をクローゼットに閉じ込めて殺した男の悩み