僕の最近の趣味は、怖い話を読むこと。
それも、ネットで。
最近見つけた、登録不要の怖い話投稿サイトに入り浸るのが、僕の一日になってきていた。
毎日、新しい話が増えていく。
プロかと思うほどの文章もあった。
僕はそのサイトにのめり込むようになり、朝起きてすぐそのサイトの更新をチェックし、新着の話があったらすぐ読んで、学校でも休み時間のたびにそれを繰り返した。
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ある日のことだった。
いつも帰りの電車でもサイトを見ているのだが、その日はめずらしく人が少なくて椅子に座れたので、いつもより落ち着いて新着を読むことができていた。
ガタンゴトンと電車が揺れる。
駅につくと、ぞろぞろと人が降りて、
だんだん周りの気配は消えていった。
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しかし僕は画面の文字を追うのに必死で、やっと数話読み終えて顔をあげたときには、一人になっていた。
(さすがに、怖い話を読んだあとに、電車で一人は心細いな...)
と、怖さをまぎらわす為に、僕は某アプリを起動して、友達にメッセージを送った。
「怖い話読んでたらいつの間にか電車一人なうw」
しかし、赤いエクスクラメーションマークが表示され、送信出来ない。
再送。またエクスクラメーションマーク。
(おいおい、本格的に怖いぞ....電波悪いだけ...だよな?)
ピコン。
メッセージが届いた音が鳴った。
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(え?誰?)
『うしろ』
開いてみると、追加していない人からのメッセージだった。
一言、うしろ。
(.......う、うしろ?)
サーッと血の気が引くのを感じた。
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『うしろ。』
またきた。
うしろうしろと言われると、なんだか後から視線を感じるような気もしてくる...。
こういうのって、振り替えったらいなくて、
向きなおしたら目の前に.....ってパターンかな。
乾いた笑いをこぼしながら、体はガチガチにかたまっていた。
(あー...どうしよ。てか誰だよコイツ!)
誰?と送信しようとしたとき、アナウンスが流れた。
「次はー◯◯ー◯◯ー」
助かった!と、心のなかでガッツポーズした。
次の駅は僕の最寄り駅で、運良く僕の座っている椅子の正面側のドアが開く駅だった。
(これで振り返らずに降りれる!)
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プシュー、という音と共に、電車が動きを止める。
駅のホームには人がチラホラいた。
僕はそれにすっかり安心して、開いたドアからスキップ気味に降りた。
でも、そのとき、うっかり振り返ってしまったんだ。
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ピコン。
『やっとみてくれた』
作者ゆ-3
怖い話にのめり込んでしまうと、彼らを呼んでしまうという話を聞きました。
私もこの主人公のような生活なので、気を付けなくては....。