こんにちは、はじめましての方ははじめまして。
前作を読んで下さった方は、二度目まして。
ゆ と申します。
今回は、前作、小学校のトイレ の続きとなります。
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先生じゃない。
声はすぐ、ボソボソと喋る声に戻った。
出なくてよかった...と、ホッとしたのもつかの間。
いる、いる。
ドアの向こうから聞こえる声は、次第にハッキリ喋るようになった。
その声は、年齢がなんとなくわからないが、私より年上の女性の声だった。
もちろん、先生の声ではない。
ドアが叩かれる。
バンバン!と激しく叩かれるドアの音と、いる!いる!という声と、私の心臓の音だけが聞こえていた。
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私は震えたまま、ドアの下の隙間から見える靴を凝視していた。
ぶるぶる震える手で自分を抱き締めて、ぽたぽたと膝に涙を落としていた。
視界のはしに、私の膝に落ちる涙がうつって、ズボンをじわりと濡らす。
ぽた...。
涙に混ざって、なにか赤いものが膝に垂れた。
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え?
私は咄嗟に、上を見そうになった。
しかし、すぐそれをやめた。
これは、血だ。
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.......上に、なにかいる?
足が目の前にあるのに?
ドア一枚を越す身長の何かが?
声はドアの向こうからするのに?
何がいる?
何がうえにある?
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自分の息が止まった。
冷や汗が、たれる。
歯がガチガチと鳴って、言葉にならない声をもらす。
我慢の限界だった。
「きゃあああああああああああ!!!!」
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わぁー!とか、いやぁー!とか、とにかく叫んだ。
誰か気づいて!その一心で叫んだ。
トイレの外から誰かのバタバタ走る音がした。
私はハッとして、これで最後とばかりに目を閉じて声を張り上げた。
「どうしたの!?」
知っている先生の声がして、トイレに誰か駆け込んできた。
ドアの向こうの嫌な気配は消えていた。
靴ももうない。
私は鍵を開けて恐る恐る個室から出た。
そこにいたのが本物の先生だったことに安心して、私は意識を失った。
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目をさましたとき、私は保健室のベッドに寝ていた。
保健室の先生と、部活の先生がそばに座っていて、目をさましたことに気づくと、
「今担任の先生がお家に連絡してるからね~、大丈夫よ」
と優しく言った。
何があったの?と、電話を終えた担任に聞かれたが、正直に答えることができず、「とっても大きな虫に驚いて叫んだ」としか言えなかった。
ズボンの膝に垂れたあの血は、拭き取った跡もなく、完全になくなっていた。
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その日は迎えに来た母と家に帰り、
お風呂や就寝が怖くて、一緒に入り、久しぶりに母と同じ布団で寝た。
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この事件のあとから、私はこの世のものではないものに多く遭遇するようになった。
そして、嫌なことに、
私は今でも、
あの、コツン...コツン、という足音につきまとわれている。
作者ゆ-3
期待してくださる方々が、予想より多くて、本当に嬉しい限りです。
期待に添えるものになっていれば...とは思うのですが、自信がないです......すいません。
これからもっと力をつけて、もっともっと怖い作品を書いていきたいです。
コメントはとても力になります。
読んだ、とか、怖い、とか、一言でも嬉しいです。
コメントしてくださった皆さま、ありがとうございました。