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追憶・第3夜〖通夜の夢・前編〗

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追憶・第3夜〖通夜の夢・前編〗

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この追憶シリーズも3話目だ。俺の語る話は、他の方々に比べるとさほど怖くは無いだろう…。しかし、理解してほしい…霊感皆無な俺でも見てしまうほど、この話に出てくる人ならざる者の思念の強さを…。

 

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俺には、今の今まで思い出せなかった夢がある。それは、とても大切で、悲しくて、でも俺が家族を大事にするキッカケとなった夢だ。今宵、それを話そうと思う…。

 

俺には、小学校に上がる前に亡くなってしまった祖父がいる。と、言っても母方の祖父なのだが…。

しかし、幼稚園の頃から世話になったのは、今でも懐かしい思い出だった。

家にあった角材などで玩具を作ってくれたり、一緒に遊んでもくれた。時には、俺等が間違った事をしたら実の父親のように叱ってくれたし、良いことをしたら褒めたりもしてくれた。今の俺が間違った道に行かずにいられるのも半分はこの祖父のお陰かもしれない。

俺も弟もこの祖父のことが大好きだったし、多分祖父も俺等のことが、とても好きだったろう。

そんな祖父の笑顔を俺は今でも覚えている。

そんな祖父がある日、入院したと知らせが入ったのは、俺らが小学生の頃だった。

何でも体調が優れなかったので、病院に行ったところ、入院を進められたらしい…。

診断結果は肺ガンとのことだ。かなりの重度の肺ガンだったらしい。

俺らが病院に着いた時には、既に祖父は昏睡状態だった…。

母や祖母が、声を掛けても反応しない祖父の姿を見て、俺らは祖父がこのまま目が覚めないのでは?と、不安になった。

俺「爺ちゃん…」

祖母「大丈夫だ。爺ちゃんは絶対目を覚ま    す。ほれ、そんな不安な顔をするな。   爺ちゃんも心配すっぞ?」

あの時、まだ小学生だった俺は、祖母の言葉にとても励まされた。しかし、祖母はわかっていたのだろう…祖父が、もう永くないことを…とても危険な状態だと言うことを…。

しかし、小学生の俺がそんなこと、わかるはずもなく。泣いてる弟に、

俺「行こう。何時までも泣いてないで、爺ちゃんが目を覚ますのを信じて待ってよう。」

そう言い聞かせ、両親と共に家へと帰った。絶対目を覚ます…そう信じて…。

 

しかし、その日の夜、不幸な知らせが届く。

寝ていた俺と弟は、父方の祖父に起こされこう告げられた、

祖父「○○の爺ちゃんが、亡くなったと、知らせがきたぞ…。」

俺「亡くなった…って?」

祖父「死んだということだ…。今から爺ちゃん家に行くから準備しなさい。」

俺は、頭の中が真っ白になった。

(えっ?死んだ?なんで?どうして?絶対、目ぇ覚ますって、大丈夫だって言ってたのに…。)

俺は頭が真っ白のまま、車で母方の実家へ向かった。

家に入ると、そこには祖父の親族が集まっていた。その中には、叔父と叔母もいて、叔父夫婦に案内され、祖父の遺体と対面した。

祖父はとても安らかな顔で横たわっていた。とても優しかった祖父、年老いても威厳があった祖父、何でも教えてくれた祖父、そんな祖父が今、俺の目の前で亡くなっていると認識したときには、俺の目からは大量の涙が流れていた…。

「爺ちゃん…爺ちゃん…」

姉も、弟も、両親も、そして親族達も皆、涙を流していた。

それを見た俺は、いかに祖父が皆から慕われていたかを知った。

まだまだ一緒に遊びたかった…。いろいろ教えて貰いたかった…。いろんな物を作って貰いたかった…。

そんな俺の思いが、涙となって流れていった…。

もう夜も遅く、その日は母の実家で寝ることになった。その日の夜、俺は尿意を催しトイレへと、向かった。トイレから出ると、玄関に誰かが立っているのに気がついた、よく見てみるとそれは死んだはずの祖父だった。

俺「爺ちゃん!?」

祖父「しーっ。」

祖父は、指で静かにの合図をすると、ニッコリ笑って手招きをした。

俺は招かれるまま祖父の近くに寄ると、祖父は寝ている親族を見ると、穏やかな声で言った。

祖父「儂は、こんなにも慕われておったのだなぁ。」

俺「僕も爺ちゃんのこと好きだよ。」

祖父「知っておるよ。ごめんなぁ、もう遊んでやれなくて…。」

よく見ると、祖父は泣いているようだった。

祖父もまだまだ俺達と遊んでやりたかったに違いないと思った。

祖父「爺ちゃんはもう行かなきゃならん。だから、最後に話しておこうと思う。聞いてくれるか?」

俺(コクン…)

祖父「蜜蜂、お前は長男だ。長男たる者、将来家族を守らなくてはいかん。しかし、お前はまだ小学生だからわからないかもしれんが…。」

祖父「しかし…しかしな…」

祖父は俺の肩に手を置くと、俺を見つめこう言った、

祖父「お前も男の子だ。これから先、辛いことや、嫌になることがあるだろう。でも、絶対に泣くな!弱音も吐くな!いつか、家族を守れるくらい強い男になれ。…約束だ。」

俺「約…束…?」

祖父「あぁ、爺ちゃんとお前の最後の約束だ…できるか?」

俺「うん!約束する!」

俺は祖父に指切りのポーズを取った。祖父は少し驚いていたが、涙を流し指切りをしてくれた。

祖父「じゃあ、爺ちゃん行くかんな?」

俺「うん。…バイバイ。」

 

 

  

そこで、俺は目が覚めた。周りを見れば、自分が寝ていた、母方の実家の部屋。俺は、あれは夢だったのだと知った。しかし、祖父が最後に夢の中で会いに来てくれたと思うと、嬉しかった。

しかし、まだ夜中だったせいか、俺はまた眠りに落ちていった。

再び目が覚めると、俺は夢の大半を忘れてしまっていた。

朝食時、弟が泣きながら祖母と、

弟「昨日、爺ちゃんが夢に出てきた。」

祖母「そうか、爺ちゃん夢の中で会いに来てくれたんだなぁ。」

と、話ていた。

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