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この話のあらすじは、『追憶・第3夜〖通夜の夢・前編〗』をどうぞ。
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祖母と弟の話を聞いていたら、母から
母「蜜蜂はどうだった?夢に爺ちゃん出てきた?」
しかし、俺は答えることができなかった。夢を忘れていたのだ。
夢を忘れるということは、夢の内容も忘れるということだ。それは、祖父とのあの約束も忘れているということだった。
俺は、
俺「いや、出てきてない…。」
母「それは残念だったわねぇ。」
俺は悲しかった。なぜ、祖父は出てきてくれなかったのかと。しかし、それは俺があの日の夢を忘れていたせいだというのは、俺が、社会人になってからだった。
葬儀の日、火葬場へ連れて行かれる祖父。弟は泣きじゃくっていたが、自分は不思議と涙が出てこなかった。その時に弟から薄情者呼ばわりされるのだが…。
葬儀も終わり、親族はそれぞれ帰路へとついていった。
俺も家に帰ることとなった。帰る際に玄関を出る時、誰かに後押しされた気がしたため後ろを振り返った。しかし、後ろにいたのは祖母と叔父夫婦だけだった。
月日が経ち、あの日の夢を思い出すキッカケが訪れた。それは、俺が高校三年生の時に当時、受験生だった俺は、面接や勉強に追われ心が折れそうになっていた。
そんなとき、母が実家に顔をだしにいくということで、俺も同伴することとなった。
祖父が死んでからも時々、泊まりには来ていた。しかしその日は、何か雰囲気が違っていた、最初はその何かはわからなかったが…。
祖父の遺影に挨拶を済ませ、俺は玄関でぼ~っとしていた。何気なく空をみた瞬間、俺の記憶の奥底にあったあの日の記憶が呼び起こされた。
通夜の日、玄関先で死んだはずの祖父と何を話し、何を約束したのかを…。気づくと俺は一筋の涙を流していた。
(爺ちゃん…ごめんな…。)
俺は、帰ると即刻、受験勉強に励んだ。
そして数ヶ月後…俺は無事、受験を合格し社会人の仲間入りを果たした。
その日、合格したことを報告するために、母の実家へと赴くことになった。
俺は、まず先に祖父へ報告する事にした。
俺「爺ちゃん…あの日の約束思い出したよ。
ずっと忘れてて…ごめんなぁ。でも、もう大丈夫…大丈夫だから…
これからも、見守り続けてくれよ。」
作者蜜蜂-2
この話は、今は亡き祖父へと贈ります。
今の俺があるのは、祖父のおかげでもあるのですから…。