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ーじゃあね、また明日。
彼女はそう言うと手を振りながら
笑顔で歩いて行った。
彼女のくれたクッキーを食べながら
私はその後ろ姿を見送った。
夕日ももうすぐ沈む、
夕暮れのいつもの通学路での出来事だった。
でもいつもとは少し違かった。
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彼女は私の見ている前で宙を舞った。
後方から車に吹っ飛ばされたのだ。
やがて硬いアスファルトに叩きつけられ
鮮血を流しぐったりと倒れる彼女は
今まで見たどんな彼女よりも
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果てしなく美しかった。
車から降りた男は慌てた様子で
どこかに電話をかけていた。
私はただ。
それを見ていたんだ。
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猫である私には何もできなかったんだ。
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汚い私に唯一食べ物を与えてくれた彼女は
その日からいなくなった。
自分が痩せ細って行くのがわかる。
何回朝が来たかもわからない。
何回夜が来たかもわからない。
彼女に会いたい。
その思いからあの時彼女が倒れた
その場所を歩いた時。
彼女の声が聞こえたんだ。
次の瞬間。
私は宙を舞っていた。
作者もやし
一部流血表現。
でも怖い話じゃないです。