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結婚したい男の子の為に… 前田くんのノートより抜粋

短編2
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結婚したい男の子の為に… 前田くんのノートより抜粋

ある日、有名なテーマパークがこの地区にもオープンする事になった。

なんといっても話題は、新技術を使ったアトラクションらしい。

オープニングイベントは抽選となり、そのアトラクションが全くの謎に包まれている為か来週が抽選会だと言うのにすでに長蛇の列が出来ているらしい。

男はどうしても彼女を連れてアトラクションへ行き、プロポーズがしたかった。

仕事を同僚に無理を言って代わってもらい、何日も眠らず列に並びにチケットを手に入れた。

そして、そのオープニングイベントの日、男は彼女とそのテーマパークを訪れていた。

どこかで見たような司会者がマイクで呼びかけた。

「お待たせしました‼いよいよ、当テーマパーク一のメイン会場へと皆様をご案内いたします。

では、オープン‼」

すると運河だった場所から大きくパールに光る橋が現れ、気がつくと皆、その橋に吸い込まれる様に渡っている。

男は彼女の手を握り、慌てて橋を渡った。

皆、興奮してソワソワしている。

やがて、とても大きな建物が現れてきた。

男の興奮は最高潮に達した。

その建物に入ると大きな何か動物のようなモノに赤黒いジュルジュルとしたモノや黄色の軟体のモノなどが映し出されている。

男は彼女に言った。

「ほら、見てご覧‼君は本当に美しい‼この緑の10本の足と、なんといってもこの四つの瞳‼僕が夢中になるのも分かるだろう?

僕と結婚してくれ」

「ありがとう。とても嬉しいわ。初めて自分の姿を見たから。

あなたの赤黒い6本の足と顔部のほとんどを占める大きな口も素敵よ」

先ほどの司会者だろうか、アトラクションの説明アナウンスが流れている。

「この度、我が社がロストテクノロジーとされていた技術とリラックス効果の高いウランを贅沢に使い、開発した鏡の間はいかがでしょうか?自分の姿を見る事が出来るという最高の贅沢をお届けします。そして、この巨大な鏡の像のモチーフとなったのは新しく発掘された前世紀に“大仏“と呼ばれていた………」

そして、僕は彼女の沢山ある口の一つに僕の口を重ね合わせた。

Concrete
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