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中編3
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50年史 前編

皆さんの身の回りにも色々な記念史があることだろう。

今回の話はそんな記念史にまつわる怖い話である。

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某県にある私立の高校でこの度、創立100年の記念史を作成する事になった。

早速、生徒会と顧問の先生達が会議を開いた。

どんな内容にするのか?誰に話を聞くのかなど綿密に話し合っているうちに外は真っ暗になっていた。

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しかし、ここで問題が発生した。

生徒会も顧問の先生達も誰一人として記念史を創った事がないのだ。

学校に記念品になる記念史だけに手を抜く訳にはいかない。

そこで、図書委員長がこんな提案をした。

「学校の重要図書は地下の宝物庫に保管してあるからそこにいけばある程度の歴史は分かると思うんだ。たぶんそこにいけば前に創られた記念史もあると思う。」

それを聞いた皆の反応は2つに別れた。

生徒会のメンバーはおおいに賛成した。なにせ、地下に宝物庫があるなんて初耳だったからだ。

しかし、顧問の先生達の様子がおかしい。

先生は3人いたのだが1人は目が泳いでいて1人はなにかブツブツ言っていて残る1人は脂汗をだらだらかきながらオロオロしている。

言い出しっぺの図書委員長が顧問の先生の元へ駆け寄り声をかけた。

すると、先生達は一斉にに叫び声をあげたり奇声を発して逃げ出していってしまった。

生徒会のメンバーは怖くなり話し合い

を切り上げて帰る事にした。

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記念史作成に行き詰まった生徒会メンバーは意を決して地下の宝物庫に行くことにした。

職員室で地下の宝物庫のカギを借りて恐る恐る地下へ降りた。

皆はじめてくるところで怖くもあり興味もあった。

分厚い鉄の扉を開けた先には小さな明かり取りの窓と裸電球がぶら下がっていた。

さすがに掃除はされていないようで辺り一面埃だらけだった。

奥の方にいくと沢山の本が置いてあった。

そこには学校の歴史や移り変わりが書いてある物もあり興味を引かれた。

しかし、怖さもあって数冊の本を手に取ると急いで部屋を出た。

結局、以前の記念史は見つけることができなかった。

昔からいる先生ならなにか知っているのではないかとカギを返しにいくついでに職員室を覗いた。

すると、1人の年配の先生が目に入った。

それは歴史の先生だった。

「先生、この学校の記念史って見たことありませんか?」

先生は一瞬怪訝そうな顔をしたのち言った。

「悪いことはいわん。そんなもん探すな…」

「でも、今度創立100年記念の記念史を作りたいんです。その参考にしたいと思って…」

「いいからそんなもん探さんでいいから」

生徒会のメンバーは腑に落ちない気持ちで生徒会室に戻った。

とりあえず、持ってきた本でわかる範囲の歴史をまとめようということになった。

何冊か見てみたがこれといって変わった事は書いていない。

そしてとうとう残り1冊となった。

表紙の埃をはらうとなんとその本は50年史だった。

創立50年の記念史で中には学校に関する歴史が沢山書いてある。

なんだあるではないか。それからは早かった。

50年史を参考にどんどん出来上がっていく記念史。

そうして出来上がった記念史の内容を顧問の先生に見てもらうことにした。

しかし、ここではたと気づいた。

そういえば顧問の先生達はあの日以来学校に姿を見せていない。

そこで、職員室に行き別の先生に聞いてみることにした。

「すいません。生徒会顧問の先生達はいらっしゃいますか?」

しかし、誰一人として知らなかった。

みな体調を崩し休んでいるのではというばかり。

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