顧問の先生達はそれから1週間しても出勤してこなかった。
仕方がないので歴史繋がりの先生に見せる事になった。
歴史の先生は最初こそ興味を持っていたがページをめくる度にどんどん表情がくもっていき青ざめていった。
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最後まで見終わる前にページを閉じてしまった。
不思議に思っていると先生は唐突に「これ、なにを参考に書いたんだ?」と尋ねてきた。
生徒会長はこれまでの経緯を簡単に説明した。
それを聞いた先生は生徒会長と図書委員長をつれて校長室に向かった。
「校長、大変な事態になりました。あの50年史がまた出てきました」
それを聞いた校長先生はおもむろに電話を握りどこかへ電話をしはじめた。
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10分位話し込み静かに電話を切ると「いまから神社に行く。説明は後だ」といい玄関に向かった。
玄関脇に止めてある校長先生の車に押し込まれるように乗せられて気づいた時には神社に着いていた。
神社から神主さんらしい人物が出てきて本堂へ案内された。
「50年史が出てきたというのは本当ですか?」
と神主さんは険しい顔で聞いてきた。
こくんとうなずくと更に険しい顔でこんな話を始めた。
「50年史が発行されてから必ず1年に3人の人間が亡くなるという怪異が起きた。それを恐れた昔の校長が学校にある全ての50年史と生徒や教師が所持している50年史をそこにいる歴史の先生に焼却炉で燃やす様に指示した。私立ち会いのもと確かに燃やしたんだ。だから、君たちが50年史を見つけることができるはずがないんだ」
それを聞いた生徒会長と図書委員長は背筋にぞっとするものを感じた。
しばらくの沈黙の後校長先生が神主さんに尋ねた。「これからどうしたらいいんでしょうか?」
神主さんは懐から人形を3枚出してこう続けた。「この人形に誰でもいいので3人の名前を書いて下さい。書いたなら一枚ずつ白い封筒に入れて封筒の表に朱墨で封と書いて近くの川に流して下さい」
校長先生はまだ納得できず続けざまに質問した。
「50年史はどうしたらいいんでしょうか?人形に書いた名前の人間は死んだりしないでしょうか?」
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神主さんは校長先生の手を握り「大丈夫。人形が身代わりになりますから死人は出ません。
50年史は焚き上げますので明日こちらにお持ち下さい。いいですかこの事は決して他言しないでください。怨念がひろまったら手の施しようがなくなりますから…」
その後、皆そろってお祓いを受けてその日は解散となった。
翌日、校長先生は生徒会長と図書委員長を呼び人形に生徒会長と図書委員長、生徒会副会長の3人の名前を使いたいと持ちかけてきた。
昨日の事は他言できないので仕方なく了承した。
神主さんに教えてもらった手順通りに書き込み近くの川に流しに行った。
放課後、神社に行き50年史を焚き上げてもらった。
そうしたことが良かったのかは分からなかったが今のところ死人は出ていない。
後日、歴史の先生に話を聞くと50年史を創った年に生徒が苛めを苦にして自殺したのだという。
当時苛めをしていた生徒は50年史作成のリーダーをしていたらしい。
今となっては確かめようがないとはいえ自殺した生徒の冥福を祈らずにはいられない。
作者柚輝