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短編2
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テンシの男 Ⅴ 救済

テンシの男 Ⅴ 救済

不思議な力に気付いたのは重病の患者に触れた時だった。私の手は光だし、次の瞬間には昏睡状態だった筈の患者は回復したのがきっかけで不思議な力に気付いた。

しかし、患者は素直に喜んでは居なかった。患者には家族はおらず両親も他界して苦しんでいたという。

その時にこの不思議な力は誰彼構わず助けては行けないと悟った。

少年を助けた時には、少年の叔父が少年を助けるように頼まれた。

自分が死ぬことで、少年に命の儚さを教えたいという想い。

様々な命を救っている時に、あの大事故が大都会で起きた。私が気付くと新幹線に乗っている。それは私が居るこの場所で人が死ぬという予兆だった。

レールの音が妙な音を立てている。

「まさか!」私が立ち上がると新幹線がレールから脱線。大勢の命が失われた。私は一人一人に駆け寄って救いを施し続けた。が…全員の命は救えなかった…。

すると、後ろから私に向かって一人の男が話しかけてきた。

「飯島なぐさ、だな?」

その男は私の名前を口にした。

「飯島…全員は救えないぞ…彼らは死ぬ運命だったんだ。」

私は死ぬ運命という言葉にムキになった。「死ぬ運命?知るか!こんなまだ幼い子供が死ぬ運命だと!?ふざけるな!!彼らには未来があっていいはずだ!」

血だらけの子供を抱え救いを施すが子供は回復しない。

「やめろ!虚しくなるだけだ…いいか?飯島…救えない命もある」

男は私の腕を掴む「私は可能性を信じたい!」私は男の手を振りほどき泣きながら子供に両手を当てて救いを施し続けた。「彼には、まだこの美しい世界で生きていて欲しい!」

男は冷たい目で私を睨んでいた。

「どけ…そこをどくんだ!」

男は私を吹き飛ばし子供を抱え光に包まれて行く「この子は天にいる両親に会わせる…邪魔はしないでくれ。これは魂の救済なんだよ、飯島」すると、血だらけだった子供の身体は綺麗になり目を覚ます「パパ、ママに会えるの?」

男は子供に微笑みかけ「そうだよ、一緒に行こう」子供は涙を流し

「うん!」子供は私の方を向いて

「ありがとう…」そう言って男と消えた。

私はその後も救える命を救い続けた。

救えない命もある…

私は桜の木の下で「あってたまるか!」と叫んでいた。

そして遂にあの大物に出会ってしまう。

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