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田舎の古い宿に泊まった時の事。
海が近くにあるかなり古いその宿は、飯も美味くて女将さんもとても良い人で、中々に居心地の良い所であった。
夜は波の音が聞こえ、布団で横になっていた私は気がつくとそのまま眠ってしまった。
「……きてぇ!起きてぇ!朝だよ!」
誰かが私の体に乗ってそんな事を言っている。
「ねぇ!起きて!朝、朝!遊ぼうよぉ!」
女将さんの子供が起こしにきたのかとそう思った。昨日はそんな子供見かけなかったけどなぁ、と考えながら
「わかったわかった…、起きるから暴れないで…」
体を起こして目を開けると誰もいなかった。
えっ、と思っているとお腹の上に何かあり、それを見てサーっと血の気が引いた。
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それは小さな日本人形だった。
作者一日一日一ヨ羊羽子
お人形さんの話その2