これわ去年の夏頃の話し。
「アイス食いてぇ。」
ふとそんな事を思うのわ俺だけでわないはず。
時刻わ午前1時。
「どーしよう、夜中1人で出歩きたくないんだよな~、てかめんどくさいな」
とか考えてたら二時になってしまった。
でも無性にアイスが食べたい。
「あー…丑三つ時になったやん…」
丑三つ時、一般にわ夜中二時から三時までの間を示す言葉。
丑三つ時に出歩いて良くない事が起こらない可能性が約8割ぐらい。
俺わ基本的に見えない。
なら心配する事ないじゃん
何心配してんの?
そー思うかもしれないが
「基本」であって絶対でわない。
そしてタチの悪い事に見えなくても感じてしまうのだ。
朝、昼、晩、関係なしに何処にいても急に総毛立つ、尋常じゃない鳥肌、背筋の寒気。
そーなったら周りをキョロキョロしだすものだが
だいたい見えない
キョロキョロしだして目の端に何か捉えても何も見えてないフリ。
何がしたいのか自分でもわからない
最初からキョロキョロしなければいいのだけど
反射的に周りを詮索してしまう。
「あーもー我慢出来ね、近道の病院の裏を通らずに彼女に電話しながら行こう」
家の近くにわ病院がある。
夜なら絶対に近道になる病院の裏わ通らない。
「よし、電話しよう。」
外に出た瞬間に掛けた。
…プルプッ
彼女「んー?」
「出んのはやっ」
定「なにしてんの?」
彼女「眠たいなと思いながらゴロンゴロン」
定「まじか、眠たいなら悪かったな、切るわ。」
もちろん切る気などサラサラない
ただの強がりだ。
彼女「大丈夫!なにしてんのかなーって思ってたし!」
定「そっか、よかった」
彼女「うん!どーしたの?」
定「コンビニのアイスが俺を呼んでるから」
彼女「え?アイスが食べたいの?」
定「うん、それで暇だから掛けた」
言えるはずがない
何か出るかもしれないから怖くて掛けたなんて
恥ずかし過ぎる。
そもそも彼女わ俺が見えたり感じたりするなんて知らない、特に言うことでもない。
「俺見えたり感じたりするんだよね」
他の人がそんな事を聞いたら間違いなく
「は?」
「何嘘言ってんの」
「頭おかしい」
そー思うと思う
実際にあの「初体験」前の俺わそー思ってた。
彼女「何処のコンビニ行くの?」
定「スパー!」
彼女「ドコソコ」
衝撃的だった。
確かに彼女が来たときわだいたい近くのセブンイレブンにしか行かないからって比較的近くに住んでるのに知らないなんて。
彼女「何でセブンじゃないの?」
定「あそこチョコミントない!」
そんなくだらない会話をしながら歩いてたら
問題の病院の近くを歩いていた。
なぜかって?
あんだけ近道しないって思ってたのにって
答えわね…
わからない。
気付けば近道を歩いていた
多分ただのクセなのだろう。
「あーやっちまった、戻ろうか…
でもここ曲がって真っ直ぐ行けば着くし我慢しよう。」
そして角を曲がった瞬間
総毛立つ
尋常じゃない鳥肌
背筋の寒気
三拍子揃った
だが、これわきっと恐怖から来るものだろ
そー思って歩く事に決めた。
実際に恐怖から来る場合もある。
喋りながら歩く。
病院が見えた、裏に駐車場がある。
駐車場に何かいる。
え?
何かいる?
駐車場の真ん中。
暗闇より更に黒いもの。
一瞬立ち止まった
戻らなかった事を後悔した。
だけど引き返すと言う選択肢がなかった。
突き進む。
俺わ何も見えてない何も気付いてない。
でも何故か目が離せない…
「何…これ…」
言い表すなら
軽く腰からお辞儀をしている人。
本当に人なんじゃないかなって
何か探してるんじゃないかなって
思うかもしれないが
異様だった。
街灯1つなく、自分の手元を光で照らしてるはずもなく微動だにしない。
そしてなぜか車が一台も停まってない。
俺わその時点で何も考えられなくなっていた。
耳元でわ彼女の声が聞こえる
彼女「定?どーしたの?大丈夫?」
定「うっ…あっ…やばっ…」
うまく喋れない。
息もしずらい。
首筋から後頭部にかけての痺れ。
歩き方を忘れてしまったのかって思う程ギクシャク歩いたのを覚えている。
彼女「え?なに!どうしたの!」
定「ちょ…やばっ…」
それしか言えなかった。
多分その「何か」の横を通り過ぎるのわ
一分とかそこらだろう。
だが、ありきたりな表現だけど
時間が長く感じた、一分が五分も十分も長かった気がした。
彼女「もしもーし!定!聞こえるー?」
「あと少し歩けば…コンビニ…」
彼女をよそにそんな事しか考えられなかった。
だが歩いていると
フッと全てが軽くなった
「あれ?治った」
後ろを振り向くと「何か」わ見えてるよーな気がした。
「あれか?射程範囲外か?」
そんなくだらない事を考えながら
定「すまん」
彼女「どーしたの?」
定「すねぶつけてもがいてた」
彼女「バカ!だからいつも気を付けて歩いてって言ってるでしょ!」
定「あんな所に車停めてる奴が悪い!」
嘘をついた。
わざわざ夜中に彼女を怖がらせる事もない
何より口でわ信じてるとか言っても
どーせ内心わ信じてもらえないと思うから言わない。
コンビニに着きお目当てのチョコミントを買う。
はずだったがなかった。
この時わ相当へこんだ。
適当なアイスを3つ買って別の道を歩いて帰宅しようとした。
だが、疑念が生まれた。
「本当わただの置物なんじゃないか」
普通に考えたら駐車場の真ん中に置物があるはずがない。
「確認するべきか…」
コンビニの中アイスが入った袋を片手に葛藤していた。
「ふっ。答えわ決まった。」
そう、答えなどきっと最初から決まっていたのだ。
「明るいうちに見に行こう。」
そして数時間後の朝7時過ぎ。
「めんどくさい…でも気になる。」
見に行った。
そこにわ当然夜中に俺に恐怖を与えた「何か」わなかった。
「あっ、やっぱりないか。」
そー思って帰り道を歩いていたら
一本の木が生えていた。
木なんて何処にでも生えているから
さほど気になる事わないのだけれど
気になった理由わ夜中に見た「何か」と同じ形をしていた。
根元からでわなく、中途半端な所で切り取られ
大きさなど酷似していた。
「うわっ」
そー思うと軽く鳥肌が立つ。
でもお辞儀の形だけど太さが全然違うような…
「まー、なんでもいっか」
そー思って帰宅した。
実際のところわ何もわからない。
作者定