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とある国にとても幸せな国王夫妻とその娘ミレーナが居ました・・・・・・
いつでも明るく、笑顔の絶えないミレーナや国王夫妻をを中心にお城の中は
とても活気に満ちていましたが、そんなある日、国王夫妻にとってたった一人の跡継ぎである
娘ミレーナがある日突然亡くなってしまいました・・・・・・
国王夫妻はあまりにも突然な娘の死を嘆き、娘の部屋の中へと二人で閉じこもり、
部屋の外へ出てこなくなってしまいました・・・・・・
お城の家来たちは、国王達の行いに戸惑いましたが、王女の死を嘆く為、
葬儀を行う為の準備に取り掛かりました・・・・・・
それから一ヶ月後、葬儀の準備を整えた家来達は王女の遺体を棺に納めるため、
ミレーナの遺体を探しましたがどこにも王女の遺体は見つかりませんでした・・・・・・
戸惑った家来達は仕方なく、娘の死以来、
娘の部屋に閉じこもったままの国王夫妻の元へと向かいました。
亡きミレーナの部屋へと入った家来達は言葉を失いました。
主の死以来、ずっとそのままにされていたはずのミレーナの部屋にいつの間にか
ミレーナが生前の姿のまま、ベッドに横たえられていたからです・・・・・・
そしてその傍らには静かに眠る娘の姿を、愛おしそうに見つめる国王夫妻の姿がありました。
家来達は国王夫妻に娘の葬儀を伝え、ミレーナの遺体を運び出そうとしましたが
国王夫妻は頑なにそれを拒否しました。家来達はなんとか国王達を正気に戻そうとしましたが
結局何も出来ずにミレーナの部屋を後にするしかありませんでした・・・・・・
その後も国王達はミレーナの部屋から一歩も出ようとせず、
唯々眠り続ける娘を静かに見守り続けました・・・・・・
それに答えるかのように国王達の見守るミレーナの死体はどれ程月日が立っても
何故か全く腐らず、国王夫妻の国王夫妻の心の支えと成り続けました・・・・・・
その内にミレーナの体に突然変化が起きてくるようになりました・・・・・・
ベッドに横たわるミレーナのは髪が伸び、背も高くなり、
顔つきも大人のものへと変化していくようになりました・・・・・・
それを知ったお城の兵士や給仕はミレーナを気味悪がり、少しづつお城を去っていき
お食事を作るものがいなくなってもそれでも娘の部屋を出ることなく
ミレーナを見守り続けた国王夫妻はどんどんとやつれていきました・・・・・・
最終的に国王夫妻は家来の言葉を聞く耳も、家来の運ぶお食事にも見る目も持たず、
やがて愛しい娘の眠るベッドの脇で眠るように静かに息を引き取りました・・・・・・
国王夫妻の遺体は愛娘ミレーナと同じように全く腐らず、
生前そのままのお姿のままで娘の傍らへと在り続けました・・・・・・
最後までお城に残った家来達は仲睦まじい親子の部屋に鍵をかけ、
そっとお城を後にしました・・・・・・
ミレーナの遺体は、国王夫妻の死をまるで待っていたかのようにそこで成長を止め、
三人はとても安らかで、とても仲睦まじい時間を過ごし続けました・・・・・・
~fin~
作者碧いウサギ