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短編1
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着歴

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麻実谷さんは深夜、携帯の着信音で目が覚めた。

「普通はある程度出ないと留守録になるじゃないですか」

隣室に置いてある携帯の呼び出し音は予想以上に長く続いた。

《……明日にしてぇ》。

鉛のように重い頭の中でそう呟いた。

やがて音が止まった。

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《良かった……》。

ほーっと溜め息をついて寝直そうとしたところで変な感じがした。

代わりに音がしていた。

話し声だった。

留守録になった相手が大声で吹き込んでるのかしらと思ったが、冷静に考えればありえない事だった。

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彼女は灯りを点けずに立ち上がると、隣室を覗きに行った。

ぼそぼそと人の声がした。

充電器にセットした携帯が無くなっていた。

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《うん………うん》

声は続いていた。

《あぁ……よ。すぐに………》

麻実谷さんは無人の部屋の中に入ると、声のするほうを探した。

八畳間では隠れる場所もない。

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声は遠くからも、近くからも聞こえてくる様だった。

部屋の真ん中に来たとき、声に聞き覚えがある事に気づいた。

自分の声だった。

《死ぬよ……すぐ……》

ぞくりとした。

振り返ると、角の姿見の中から携帯を手に四つん這いになった自分が睨みつけていた。

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翌日、彼女は携帯を解約し、姿見を捨てた。

着歴には自分の番号があったという。

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そう言われてみたら、そうですよね(笑)
大丈夫…だったと願いたいですよね(汗)

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