短編2
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危険な安全地帯。

みなさんは怖い話や怖いテレビを見るとき、どんな場所で読んだり見たりしていますか?

安全と思っている場所が、本当は一番危ないかもしれません。

そんなお話。

小学校低学年だったと思う。

私は布団の中でうつ伏せになり、学校の怪談と言う小学生向けの小説を読んでいた。

22時になり、寝るよう促され電気を消した。

あの話、怖かったなあ。等と思い出していると徐々に鮮明なイメージで浮かび上がる経験したことのない体験が頭の中を巡った。

急に怖くなり、忘れよう。と目をつむり布団を頭まですっぽりとかぶった。

静寂が耳につく。自分の心臓の音が鳴り響く。

冷や汗をかき、布団から頭を出したかったが今出すとオバケがいそう。

そんなことを考えていた時だった。

ヒタヒタ、ヒタヒタ。

私の部屋のフローリングを裸足で歩くような音が外から聞こえる。

これは顔を出したらあかん!

必死に目を閉じ、唱えることもできない念仏をデタラメに頭の中で叫んでいた。

足音は頭の上から横へ移動し、私の足元で止まった。

幼いながらに色んなことを考え、うつ伏せで一度顔を出してみよう。足元は見えないと思い顔を出し涼をとった。

後ろを振り返らずにそのまま、布団に潜り仰向けになった。

しかし足に違和感を感じ、足元を見ると

真っ白な顔の虚ろな目をした幼稚園くらいの女の子が、私の股間のあたりで四つん這いになっている。

びっくりして布団から顔を出し、気のせいじゃないかともう一度覗くとその女の子はニタァと笑った。

怖くて叫んだけど声が出ない。

動こうにも体が押さえ付けられたかのようにびくともせず、ただ泣くしかできなかった。

あまりの怖さに気を失ったのか、ただ眠りについたのかわからないが

空が白み始めた頃、目が覚めた。

真っ先に布団の中を確認したけど何もいなくて、もう少し寝れると布団から顔を出したとき目の前に女の子がいた。

うわっ!と叫ぶと隣の部屋にいた父が入ってきて、どないしたと。

女の子がと言っても、もういない。

父は落ち着いた様子で、よく見るよ小さい女の子やろ?と言った。

昔、私が生まれて家を買ったときに不動産の人から出ちゃうけど大丈夫ですか?と聞かれていたらしい。

人が亡くなったわけではないのですが、出ちゃうのです。とのこと。

怖がらせないために、黙ってたけどお前も見えんのかあ。といいながら父は仕事へ向かった。

今でも実家に帰ると、あの頃の小さい姿のまま

犬よりも先に駆け寄ってくる女の子のお話でした。

追記。

今、この話を読んでいるあなた。

布団の中、窓の端、鏡の中の部屋

大丈夫ですか?

決して安全ではないですよ。

Concrete
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父もそう思ったようで聞いたところ
裏の家で昔家族みんなで死んじゃった
とのことです

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