此れは、ウタバコ・1の続きだ。
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・・・・・・・・・。
《歌う小箱》とやらに付いて色々とヒートアップしていた斉藤が、唐突にポン、と手を打った。
「あ、何なら明日持って来る!」
そうして、さも名案を思い付いたかの様に、数回頷く。
あ、どうしよう。本格的に巻き込まれる。片足処か全身どっぷり引き摺り込まれる。
「い、いや、別にいいよそんな事しなくて。壊したりしちゃったら大変だし・・・。」
僕は慌てて、手と首を横に振った。
今なら、まだ引き返せるかも知れない。
其れならば、早く冷静になって貰わないと・・・!!
「面白い話だけどさ、やっぱりオルゴールみたいな物じゃないかな。機械は何処かに隠されてるとか。」
「いや、そう思うだろうけど本当、全然違うんだって!!見れば分かるから!!」
あ、火に油を注いだ。
直ちに消火せねば。
「でも、そんなに凄い物なら凄い物で、僕に見せる為に持って来て、万が一、壊れたりしたら、申し訳無いし・・・。」
「んー・・・。そうかー・・・。」
斉藤が考え込む。
消火成功か・・・?
僕がそう思い、安堵の溜め息を漏らしかけた・・・次の瞬間。
「なら、紺野が見に来れば良い!!」
頭の上に電球でも浮かべそうな表情で、斉藤はそう言い、更に、こう続けた。
「なぁ、紺野!今日、空いてるか?!」
「え、あ、その・・・・・・!!」
予想を遥かに越えた、最低の展開だ。
自分の頬が音を立てながら強張るのを感じた。
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・・・・・・・・・。
「う、あ、ちょ、きょ、今日は・・・・・・。」
舌を噛みまくりながら、後退りをする。
斉藤は机の前から移動し、ジリジリと距離を詰めて来た。
「昔の友達呼ぶの、騒がれたら迷惑掛けそうで、未だに出来てねーんだよ。紺野なら色々ちゃんとしてそうだから安心だし。あ、あと新しい家も紹介したいしな!」
正にマシンガントーク。此方の話を一切聞いていない。押しの強さもマシンガン並だ。
そして此の笑顔。
爽やかさの押し売りとは此の事である。
幾ら何でも横暴が過ぎる。あんまりだ。此処は、絶対にキッパリと断ろう。
僕がそう決意し、口を開こうとすると、駄目押しの様に斉藤が言って来た。
「頼むよ。お袋も、俺が昔の奴等と遊ばなくなって寂しがってるんだ。」
「うっ・・・・・・。」
元々、僕は押しに弱い性格だ。
こういう事を言われると断り辛い。
あと、断った場合の事を考えるのが怖い。
斉藤が、パシン、と手を顔の前で合わせた。
「本当、頼む!!」
遂に拝まれてしまった。
あの、Tに。
もう断れない。此処までされたら絶対に断れない。
断ったら偉い事になる・・・気がする。
僕は渋々と・・・・・・
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・・・・・・・・・。
ガシッ
頷く前に誰かが、僕の服の襟の部分を、後ろから掴んだ。
「何やってんの、コンちゃん。」
ピザポだった。
「よっ。」
薄塩も居た。
斉藤は、目をパチクリと瞬かせながら、不思議そうな顔をした。
「薄塩じゃん。どうした。」
薄塩は少し考え来んでから、答えた。
「コンソメは、今日は用事が有るからお前とは遊べない。また今度誘ってやって。あと、帰るのも今日は無理。姉貴から直行で来る様に命令が来てるから。」
「ん、ん?おお・・・。分かった。」
有無を言わせぬ口調に圧されたのか、斉藤が不思議そうな顔のままで頷いた。
薄塩も其れを聞き、大きく頷いた。
「じゃ、俺等は、帰るから。」
薄塩が僕の鞄を持ち上げ、教室のドアの方へと向かう。
「じゃあね。」
ピザポもそう言って、僕をズルズルと引き摺りながら歩き始めた。
「じゃ、また今度な。」
斉藤が笑いながら言った。
僕は引き摺られながら、斉藤に小さく手を振った。
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・・・・・・・・・。
帰り道、薄塩とピザポはずっと黙っていた。
僕が話し掛けても、二人とも全く反応してくれない。
もしや、また面倒事に足を突っ込もうとしたから、怒っているのだろうか。うんざりしているのだろうか。
と、したら、僕はもう愛想を尽かされてしまったのだろうか。
僕は若干不安になりがら、延々と二人に呼び掛けながら、道路を引き摺られて行った。
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・・・・・・・・・。
薄塩の家に着いた。
ドアを潜ると、二人が一斉に玄関に崩れ落ちる。
荷物や僕自身を運んだから、疲れたのだろう。
僕は申し訳無く思い、軽く頭をさげたた。
ピザポが眉を潜め、口を開いた。
「さっきまでの蛇みたいな女の人、何あれ。」
「女・・・?斉藤じゃなくて?」
「其れはそうなんだけど・・・・・・。」
言い淀んでゴニョゴニョと言葉を濁らせる。
引き継ぐ様に薄塩が言った。
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「其の斉藤に、巻き付いてたんだよ。蛇みたいな女が。序でに言うと、さっきまで俺達に付いて来てた、」
あくまでも淡々とした口調。
僕の背中を、冷たい汗が滑り落ちて行った。
作者紺野-2
どうも。紺野です。
ウタバコ・1の続きです。
休みが続いている内にどんどん書いてしまおうと思っています。
1を未読の方は、御手数をお掛けしますが、タグの《ウタバコ》から1に飛ぶ事が可能ですので、目を通して頂きたく思っています。
1では、沢山のコメントありがとうございました。返事は明日、書かせて頂きます。
次回も宜しければ、お付き合いください。