此れは、ウタバコ・10の続きだ。
ごめんなさい今回も台詞祭りです。
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・・・・・・・・・。
身体を這う赤い湿疹。
喉を焼かれる様な息苦しさ。
「此れは・・・・・・烏瓜さん!!」
「手負蛇だよ。」
兄が口元を歪め、僕を見ている。
「いやぁ、其処まで騒ぐ事も無いじゃないか。他の御客も・・・居るのかどうかは知らないけど、まぁ、例え居なくとも、マナーって奴が有るだろう?そんな大声を出すもんじゃないよ。」
「でも、此れ・・・・・・!」
「うん。話で出て来た斎藤君と、同じ物だろうね。手負蛇の障りだ。・・・大丈夫。そんな直ぐに面倒な事にはならないよ。」
何処か楽しんでいる様な口調。兄は一体何を考えているのだろう。
不安と共に怒りが沸き上がって来た。
「直ぐにって・・・・・・。其れって、何時かはなるって事ですか?」
「さぁどうだかね。其れこそ君次第だよ。」
「どう言う事ですか?!」
「私に脅かされた時より怯えてるね。やはり蛇は強いなぁ。」
「烏瓜さん!!」
思わず立ち上がると、兄は僕を見上げ、驚いた様に口を丸くした。
「君も・・・そんな顔をするのか。意外だね。」
「話を聞いてください!!」
「聞かずとも分かるよ。分かるなら聞く事は無い。・・・ほら、此れを。」
烏瓜さんが懐から紙包みを取り出した。
「え?」
「飲みなさい。障りを消す・・・かは、君次第だがね。」
余りに唐突だ。まるで、こうなる事を端から予想していた様なーーーーー
「ほら。」
手の中に包みを押し込まれる。
開くと、中身は白い粉。
一瞬、一瞬だけ、不安が過った。
「味も苦いとかじゃないから、安心したまえ。一応、其の玄米茶と飲む事をお勧めするがね。成分的にも平気だろう。何より、噎せてはいけない。」
「でも・・・・・・。」
烏瓜さんがニヤリと笑う。
「おや、私が信用出来ないかい。」
「御自分に信用が有ると・・・・・・?」
「傷付く事を言うね。やはり第一印象は覆せないのかな?」
「・・・・・・。分かりましたよ。飲みますよ。」
もはや、自棄だ。
口に茶を含み、包みの中身を一気に流し入れる。
余り味の分からない内に急いで飲み込む。
粉は甘く、匂いはしなかった。
喉がスッと楽になった気がした。
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・・・・・・・・・。
腕を見ると、湿疹が引いていた。
喉の痛みと息苦しさも消えた。
「・・・治った・・・・・・?」
「そりゃ治るさ。君は治ると思って飲んだんだろう?」
烏瓜さんが肩を竦める。
「じゃ、治ると思って無かったら・・・?」
「どうだかね。まぁ、もしそうだとして、どうにかして治していたさ。」
「あの薬は・・・・・・。」
僕の問いに、兄はニヤリと口の端を上げながら答えた。
「薄荷糖だよ。ミント風味の粉砂糖。」
「・・・・・・ええ?!」
驚きで空いた口が塞がらない僕を見て、烏瓜さんがカラカラと笑う。
「いやー、散々脅かしてしまったね。いやはや、中々に面白・・・いや、何でも無い。狐目以上の逸材だよ。君は。」
「・・・あの痕や喉の痛みも、烏瓜さんが?」
僕がつくづく呆れ果てながら言うと、烏瓜さんは笑いながらブンブンと首を横に振った。
「アレはちゃんと霊障。」
「じゃあ、どうして薄荷糖何かで・・・。」
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・・・・・・・・・。
「だから、君が治ると思っていたからさ。手負蛇の場合、其れで治るんだよ。」
兄はそう言って、さも当然と言う様に、もう一度大きくカラカラと笑った。
作者紺野-2
どうも。紺野です。
意識が朧気な状態で書いたので、書き間違えをしてしまいました。
訂正
×木葉さん→◯烏瓜さん
です。
修正させて頂きました事を、お知らせします。