此れは、ウタバコ・14の続きだ。
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・・・・・・・・・。
「おい、ちょ、止め、止めろ!」
「俺がどんな目に遭わされたと思ってんだコノヤロウ!!」
「知るかよ!!離せ馬鹿!!」
「嗚呼そうだよ!!俺は!!馬鹿だよ!!!」
「落ち着け!僕はのり姉じゃ・・・。おい待て。何だ其れ!何だ其れ?!」
「お前も同じ苦しみを味わえ!!」
「チョコレートムースあげたじゃん!!」
「足りる訳ねーだろ!!」
「だって其れ、下手したら、いや確実にお前の服より恥ずかしいだろ!!だったら僕もセーラー着るよ!!」
「俺が受けた辱しめが此れだけだと思ったか!!」
「いや知らんよ!!其の苦情はのり姉に言えよ!」
「問答無用!!!」
「いや本当待て待て待て止めろおい本気で止めうわぁぁぁぁぁ!!!」
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・・・・・・・・・。
のり姉はドアを開けると、部屋の前で待っていた僕を見て、少し驚いた様な顔をした。
「コンソメ君、何その格好。」
「僕も心底そう思いますよ。」
僕そう言って肩を竦め、薄塩は何も言わずに、拗ねた様にそっぽを向いた。
のり姉はそんな僕等を交互に見ていたが、軈て、何か納得した様子で頷くと、自室のドアを開けた。
僕は軽く鼻を鳴らし、中が見えてしまわない様、スカートを押さえながら立ち上がった。
のり姉が僕の方を向いて尋ねる。
「・・・それ、薄塩の趣味?」
「さあ。・・・最も、着せたのは彼ですけどね。」
「そう。悪くはない。でも、それじゃ足が寒いでしょ。まぁ、取り敢えず入りなよ。話は中で聞く。」
どうやら、着替えさせて貰えるらしい。僕はホッと胸を撫で下ろした。
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・・・・・・・・・。
どうやら、着替えさせてくれる訳では無いらしい・・・そう気付いたのは、のり姉が其れをクローゼットから取り出した後だった。
「はい、これ。」
「え、あの、此れは・・・・・・。」
「履いて。多分少しはマシになるから。」
「えええ・・・・・・。」
のり姉が取り出したのは、レースが付いた靴下。そして、其の靴下がずり落ちてしまわぬ様にする為の器具・・・通称《ガーターベルト》と言う物だった。
「黒も良いかなと思ったんだけど、此方のが色的に合ってるしね。」
「・・・・・・・・・はぁ。」
「後ろ向いててあげるから、コンソメ君、履きなよ。」
一見、親切そうな言葉である。だが、此れは《私が後ろを向いてる間にとっとと履けよ》と言う意味に他ならない。脅迫である。怖い。
そんな事を考えていると、のり姉はクルリと後ろを向いた。
・・・どうやら、身に付けざるを得ない様だ。
僕は特大の溜め息を一つ、吐いた。
・・・・・・仕方無い。
そうして僕は、薄い桃色のナース服に白い靴下、濃い桃色のガーターベルトを身に付けた男子高校生と言う、我ながらよく解らない格好になってしまった。此の姉弟、変な所で頭が可笑しいと思った。
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・・・・・・・・・。
「で、何の用?」
紅茶を優雅に啜りながら、のり姉は首を傾げた。
「協力援助要請と、今までの報告です。」
「どうしてそんな格好してるのか、っていう?」
のり姉の問いに、僕は苦笑いをしながら頭を振る。
「其れも話しますが、メインは兄に教えて貰った事です。」
「兄って・・・。」
「烏瓜さんの方です。」
「あー。○○君ね。」
「ええ。」
「で、何が分かったの?」
のり姉はそう言って、残りの少なくなったカップを此方に差し出した。
紅茶を継ぎ足す。甘い湯気がカップから上がった。
「あの蛇と女性、基、蛇女の正体です。」
「正体・・・ね。」
僕は大きく頷く。
ゆっくりと深呼吸をして、改めて口を開いた。
「《手負蛇》と言う化け物なのだそうです。」
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・・・・・・・・・。
「待って。手負蛇?」
のり姉の目が大きく見開かれた。
「あれは、清姫じゃなかったの?」
「キヨヒメ?」
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コトン
部屋の隅、僕の荷物の中から
微かに音がした。
作者紺野-2
どうも。紺野です。
此れまた中途半端な所で終わってしまい、申し訳御座いません。
次回にはもう少し話を進めたいと考えています。
宜しければ、お付き合いください。
誤植
×橋姫→◯清姫
でした。
盛大なネタバレを申し訳御座いませんでした。