此れは、ウタバコ・13の続きだ。
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・・・・・・・・・。
僕が斎藤の家でウタバコを見てから、五日が経過した日。詰まり、金曜日。
僕は薄塩からの連絡を受け、彼の家へと向かった。
「姉貴の説得、八割は行ったから後の二割手伝ってくれ。」
其の声からは、おおよそ生気と言う物が感じられず、安否を問うと、彼は
「肉体の崩壊のみが死に非ず・・・。」
とだけをボソリと呟いた。
此れは愈、薄塩の精神と命が危ないらしい。
僕は荷物を纏め、急いで家を飛び出したのだ。
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・・・・・・・・・。
「・・・其れは。」
「・・・・・・ああ。そうだよ。笑ってくれよ。」
玄関を開けると、薄塩が立っていた。
彼は、セーラー服を身に纏い、死んだ目をして僕の方を見ていた。
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・・・・・・・・・。
セーラー服。色は紺と白。胸元に大きなリボン付き。
スカートの丈が短いので、ある意味で女子より見えたら行けない汚物がチラリしそうで怖い。
足は黒いニーソックスで被われていた。
僕は其の痛々しさん直視出来ず、
「・・・似合ってるよ。」
「うるせえ。」
「・・・うん。ごめん。」
チョコレートムースだけで此処までさせてしまったのが、心苦しい。
僕は心の底から謝った。
「本当にごめん。」
僕が頭を下げると、薄塩は気不味そうに顔を背けた。
「謝るなよ・・・。気にしてないから。」
こんな辱しめを受けたのに・・・。僕だったら絶対堪えられないだろう。
其れなのに、薄塩は僕を気遣って・・・。
僕が感動している、薄塩が顔を上げ、ニヤリと笑った。
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ガシッ!
薄塩が腕を伸ばし、僕の手を掴む。
「只、お前にも少しばかり、恥ずかしい目に遭って貰うけどな・・・・・・。」
作者紺野-2