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短編2
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赤い車のオモチャ

赤ん坊は無邪気で好奇心旺盛だ。

だからオモチャなんて目の前にしたら興味を持たずにはいられない。ぬいぐるみの腕を掴んで振り回し、積み木を組み立てては崩し、キャラクターが描かれた大きいボールをぽんぽん叩いて投げ飛ばしたりと、それはとても愛おしく、知らず知らず笑顔になってしまうほどに癒される光景だろう。

そんな赤ん坊があるオモチャに興味を持った。木で造られた赤い車のオモチャだ。赤ん坊はそれを手に取ろうと近づく。が、車はその子から逃げるようにすーっと独りでに動き出した。

それはあり得ない現象で普通ならその車のオモチャを不気味に思うだろう。しかし、赤ん坊にそんな事はわからない。勝手に動いたその車のオモチャに更に興味を持ってしまった。赤ん坊が車のオモチャを追いかけると、車はゆっくりと赤ん坊を誘導するようにカタカタと音を立てながら前進する。

やがて車は玄関までやって来た。するとガチャッと独りでに扉が開き、車はそのまま外へ出ると赤ん坊も諦めることなくペタペタと手足を動かして必死に車を追い掛け外に出る。車はカタンと小さな段差を乗り越え道路に侵入した。赤ん坊も同じ様に小さな段差を乗り越え道路に侵入する。

遠くからエンジン音が聞こえる。大きな大きなトラックが車のオモチャと赤ん坊の方に向かってくる。道路の真ん中で車のオモチャが止まり、赤ん坊はガシッとそれを掴む。やっとオモチャを手にして赤ん坊は満足だった。しかし、もう一つの車は止まることなく赤ん坊に近づいている。

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ーーー外から車のブレーキ音が聞こえた。

何かしらと外へ出ようとする時にリビングで遊ぶ赤ん坊の様子を確認した。…居ない。子供が居ない。まさか、そんな筈ない。玄関へ向かうと扉が開いていた。嘘、嘘よ。慌てて外へ駆け出す。母親の目に飛び込んできたのはあまりにも残酷な光景。それは道路に無残な姿で横たわる赤ん坊の姿だった。

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ところで、木で造られた赤い車のオモチャがどこにも見当たらないのだが、どこへ行ったのだろう…。

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