僕が呆然と見ていると、白い服の女は、ゆらゆらと小刻みに揺れながら此方に近付いて来た。
ズリ、ズリ、ズリ、
「・・・・・・・・・ズリズリさん。」
自分自身への確認の意味を込めて、小さく呟く。
さっきピザポが話していた化け物。
彼女が本当に其れならば、あの頭陀袋の中には・・・。
子供の死体が、入っている筈。
「・・・っ。」
背中を悪寒が這い上がった。
女性はまだ、ゆっくりと移動を続けている。
確実に僕の方へと向かって来ている。
ピザポの言葉が本当なら、彼女は僕に質問をしようとしているのだろう。
「私は、醜いか?」
と。
そして、もし、其の質問に答えてしまったら僕は・・・・・・。
絶対に嫌だ。
僕は回れ右をし、勢い良く彼女とは反対の方向へ、走り出した。
・・・・・・・・・。
作者紺野-2