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《キャラクター》
①人格・性格・其の人の持ち味。
使用例:「得難い―の持ち主」
②小説・映画・漫画などの登場人物。
使用例:「人気アニメの―」「―商品」
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僕の友人に、ピザポという奴が居る。
今更と思う人が居るかも知れないが、まぁ、聞いて欲しい。説明をしておかないと、ややこしい話なのだ。
暫し、お付き合い頂きたい。
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彼と出逢ったのは、僕が高校一年生の時である。
新しい学校、新しいクラスに馴染めず、ぽつねんとしていた僕に、ピザポが突然話し掛けて来たのだ。
そして、其の日を境に、僕達は何となく行動を共にするようになった。
此の時点で、彼・・・ピザポの性格を、僕は
《軽い・五月蝿い・ハイテンション》
と認識していた。いや、認識と言うか、実際そうだった。
よくいる五月蝿い生徒の代表格、とでも言えば、解り易いだろうか。
少なくとも、今とは全くと言って良い程に、別人な性格だったのである。
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ならば、彼の性格は何時変わったのかと言うと、其れはつるんでいた僕にも分からなかったりする。
強いて言うならば、一年の秋から冬に掛けて辺りだ。
言葉が柔らかくなり、表情が穏やかになり、笑顔が優しくなり、キレた時の恐ろしさが大幅にアップし・・・
そして、何時の間か今のキャラクターを確立していた、としか言いようが無い。
そんなピザポが・・・・・・。
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「もう、どうしたんだよコンちゃん!そんなボケっとしてー!あ、もしかして、ねみーの?」
どうしてこうなった。
何かバグでも起きたのだろうか、ピザポが完全に初期化してしまった。
原因は恐らく、昨日の帰りに遭遇した《ズリズリさん》のことを、ピザポに話したからだ。
・・・だが然し、本当に其れが原因だったとして、僕を襲った怪奇現象と彼の初期化、此れに、何の繋がりが有ると言うのだろうか。
少なくとも僕には、全く分からない。
薄塩に助けを求めようとも思ったが、相談しようにも、僕が移動すると御本人が付いて来るので、身動きが取れない。
思わず頭を抱える。
すると、ピザポは何処か心配そうに僕の顔を覗き込み、こう言ったのだ。
「腹痛いとか?トイレ行ってこいよ。待っててやるから。」
・・・腹じゃなく、頭が痛くなりそうだ。
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もう、こうなったら早く帰ろう。のり姉に相談したいし、今のピザポと一緒に居るのは中々に疲れる。
僕は急いで荷物を纏めようとした。
「あ。」
ピザポが窓の外を指差したのは、正に僕が荷物の整理を終えたのと同じタイミングだった。
「ごめん、帰るのやっぱ、ちょい待って。」
「さっきまで早く帰ろうって・・・。」
「うん、ごめん。前言撤回。」
僕の言葉に返事をしながらも、彼の目は変わらず窓の外を見ている。
何か居るのかと思って指の先を見てみたが、何も無い。
「話したいこと・・・つーか、話さなきゃなんないこと、思い出したんだわ。其れに・・・」
ピザポは其処で一旦言葉を切り、ゆっくりと微笑んだ。
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「もう少しで、雨が降りだしそうだから 。それまで待とうよ。コンちゃん。」
其の声は一瞬だけ何時ものピザポに戻っていて、何故だろう。僕には少し怖かった。
作者紺野-2