・・・・・・・・・。
ピザポが元に戻ったのは、一瞬だけだった。
直ぐに初期化状態に戻って笑う。
「大丈夫なんだけど、やっぱ怖かったりする?」
当たり前である。
友人が突然にロボットのような初期化を起こしたのだ。大丈夫なものか。怖くない筈が無い。
けど、此所で怖いと言う奴も居ないと思う。
僕は質問を無視して尋ねた。
「・・・話したいことって何だ。」
すると、ピザポは大袈裟に首を傾げて見せた。
「あれ、スルー?」
「・・・・・・。」
「・・・今度は黙りか。ま、警戒されんのも無理無いわな。」
「・・・・・・。」
何も言わない僕を見て、ピザポはまた大袈裟な仕草で肩を竦めた。
「それにしてもさ、コンちゃんの其の警戒心、どっから来てんの?俺は俺じゃん。」
「・・・・・・。」
「・・・仕方無いなぁ。」
ピザポはそう言って、何処か呆れたような顔で携帯電話を取り出す。
「普段が信用されてるからかも知れねーけど。てか、そうでも思わないとやってらんねーわ。」
話しながらも、指が細かく動かされる。どうやら、文字を打ってるらしい。
「・・・っと。ほい、コンちゃん。此れ読んで。」
差し出された液晶を覗くと、並ぶ文字列。
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・・・・・・・・・。
《ごめん、俺はちゃんと正気だから、言うこと聞いて。此れは演技。後で事情は話す。》
画面に写し出された文と、其れを差し出しているピザポを交互に見る。
「そういうこと。何も言わなかったのは悪かったけど、結構面白かったわ。」
目の前のピザポが、ニヤリと笑った。
僕は仏頂面で、一つ溜め息を吐いた。
「・・・雨、降ってきた。」
「んー?じゃ、そろそろ行くか。」
今度は真面目な顔になったピザポが、小さく頷いた。
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・・・・・・・・・。
「何が居ても、見えないフリしろよ。害は無いし、本当にヤバかったらちゃんと伝えるから。」
昇降口の前で、ピザポはそう言った。
「・・・で、あれはヤバくないんだな?」
「うん。大丈夫。」
目の前に居るのは袋を持った女。
彼女は確かに、じっと此方を見詰めていた。
作者紺野-2
どうも。紺野です。
遅くなってしまい、すみません。
GWなのに、何故か全く休めている気がしないのです。
のり姉が酷いです。
宜しければ、次回もお付き合いください。