ホームレス、未成年の家出人、指名手配犯・・
そういった
著しく生産性の低く
かつまた、
犯罪や悪臭の温床ともなっている国民を
疎ましく思っていた政府が
ついに
対策を打ち出した。
「殺処分、法案。」
殺処分法案とは、
殺処分対象と認定されたものは
あらゆる人権を剥奪され
野良犬などと同様の扱い方で
死刑と裁かれなくとも
人が人を殺処分すること。
「借金大国として何とかやってきたが
今や限界です。
・・国として、破産するよりは・・」
涙ながらに最もらしい言い訳を重ね
過半数の国民から票を得ていた。
少数派に追いやられた家出人家族など
反対派は
「臭いものに蓋をするやり方に~」
等と非難したが
国の破産を怖れる保身者が法案賛成に投じ
賛成過半数により法案は可決された。
・・と同時に、国のそこかしこから
悲鳴と罵声が飛び交った。。
殺処分、という名目で
政府が対象者と思われる国民を
かたっぱしから誘拐し始めたのだ。
指名手配犯はしかるべき裁判にかけられ、
ホームレスや家出人と認定されたものは
数日中に引き取り手が現れなければ
殺処分される・・
非道だが可決された法律を
覆すことなど出来ない。
---3ヶ月後
街にはホームレスや家出人とおぼしき国民は
姿を消した。
そして国民の生産率は僅ながらも向上した。
法案は見事成功した
・・かのように思えたが
政府は派生した新たな問題に
また頭を抱えていた。
街では
元、殺処分対象者の
ペット化が横行していたのだ。
殺処分対象者と認定を受けた者は
例え引き取られたとしても
人と認めない・・のだから。
作者わたみん