中編3
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今3人入って来たよね?…

これは、私が働いていた時の事です。

今から10年くらい前、ダイニングバーの店長をしていました。

そのダイニングバーは、ソコソコ忙しい店で「よし!今日も忙しくなるのか?」と期待を膨らませながら準備をしていました。

もう、その頃には「霊感」、「霊」とかもう気にはしていませんでした。正確に言うと、仕事ばかりでそれどころでは無かった、が正解かな?

そんな毎日で今日は金曜日。予約はソコソコ埋まってるし、満席にはなるだろうね。とバイトの子とも話していました。

開店して間もない頃、「ご予約の⚪︎⚪︎様、ご来店でーす!」とバイトの子がはち切れんばかりの元気な声で言い、お客様3名を引率して予約席に案内した。

あれ?⚪︎⚪︎様は2名のご予約になってるけどな、と思いもう一度見直すとセットも2名分、お客様も2名しかない…。

「あれ?⚪︎美ちゃん、3人来てない?」

と言うとバイトの子が「何言ってんですか!もう、私を怖がらせようしてからーー!」

確かに3人みたんだけど…。まあ、見間違いか。位にしか思ってませんでした。

暫くすると⚪︎⚪︎様が注文をする為チャイムを鳴らした。

「ピンポーン!」

スタッフ全員で「はーい!」と元気良く返事を返した。

私も返事と共に、お客様の方を向いた時…

やはり3人座っている。

「⚪︎⚪︎様、3名になったんだ?」とバイトの子に言うと、「はいはい!もう騙されませんよーだ!」と言って再度確認すると…2名…。

そこでピンと来た。「もしや、あの⚪︎⚪︎様のどちらかが 何処からか拾ってきたな。」と。

ドリンクを作り、バイトの子が持って行く。その間、私は下がって来たグラスをカウンターの前のシンクで洗う。グラスを洗う時は必ず「下」向きますよね?

あらかた洗い終わり、ふと見上げると

さっきの「3人目」の人が目の前に座っていて、「うわっ!」。

その人はメガネを掛けた少し細めの男性。物凄く「残念」と「悲壮感」に覆われている。そこだけ暗かったのが印象的。

これまでの色んな経験から言うと「悪意」は無いように見える…。どうしたらいいものか…。と考えていると、スゥーと消えていった。

みんなが業務をこなしてる最中に、俺は霊現象か?と思い、気持ちを切り替えて仕事に戻った。

しかし、なんか私に言いたかったのかな?と考えていると、いてもたってもいられず

確かめに行く事にした。

店が少し落ち着き、いざ鎌倉へ!

「⚪︎⚪︎様、大変失礼かと思いますがお伺いしたい事が御座いまして…。入ってきた時と先程なんですが、変な言い方ですけど3名に見えたんです。」と言うと、

「はぁ…。どんな人ですか?」と尋ねられたので「メガネを掛けた少し細めの男性でチェックのシャツを着ていました。」

と言うと、もう一人の男性が泣き出しました。

「それはですね、多分連れの弟です。」と言う。

その泣き出した方の「弟」さんは、今回の飲み会を凄く楽しみにしてたそうです。

しかし、1週間前に急な事故で亡くなったとか。飲み会は止めにしようかと思ってたけど、元気付ける為にやはり続行しようここにきたそうで。

やっぱり、なんか言いたげだったもんなー。と思ったのでもう一杯を差し上げました。

「弟さんの分は、私からの奢りです!」

と言うと泣いていた方が「ありがとうございます!」と言葉にならない言葉を掛けて頂き、握手をしました。

「なんで3杯あるんすか?」とバイトの子が尋ねたので「まあ、事情は色々有るから気にすんなよ!」といっておいた。

⚪︎⚪︎様が帰る時に、「また、必ず来ます!」と言って一礼をされて帰られました。

「霊」は、みんながみんな、悪いとは限らないなと思った出来事でした。

Concrete
コメント怖い
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良いお話ですねぇ。。。
マコ様の、お人柄が判る様な体験談をありがとうございます。

返信

泣ける怪談ですね。
恐いのにかなしいこれは、私のパターンでもあります。
大賞を取るには、まだまだ、ですね。
私がいくら載せても、はるかかなた。
めげずに載せますが、マコさんのように見てくれてる人のために
おたがい、がんばりましょう。

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