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中編7
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執着

今は、沢山のSNSが存在しています。

まだ今のように、沢山のSNSが無かった平成17年頃。

TVのCMがバンバン流れ、会員数を増やしていたSNSがあります。

現在もであります。

無料で使えるという事で、出合い系として使う人も多かった。

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ここに、平成17年当時、このSNSに登録した人がいた。

×1で、二人の息子を育てている34歳の女性のM。

無料のゲームで遊ぶのが目的で登録した。

しかし、伝言板や専用のメールに、異性からの連絡が増えてきた。

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どのSNSにも、プロフィールというモノがあり、Mも簡単に自己紹介を含むプロフィールを公開していた。

ペンネーム、年齢、性別、居住地等を、偽りなく書いていた。

ペンネームは、名前をもじった「まゆたん」と名付けていた。

Mに、一通のメールが携帯に届く。

SNSのメールが届いた、連絡のメールだった。

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Mがメールに記載されていたURLに入ると、Uという男性からのメールだった。

何度か、伝言板にコメントを残していた男性だった。

内容は、まず自己紹介が書かれていた。

隣県に住む、Mと同世代で、一歳年上。

半導体の工場で働き、実家住まい。

Mは、まぁ、メールだけならいいか。と、軽い気持ちでメールしていた。

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するとだんだん、現実的な内容のメールになっているのにMは気付いた。

一度だけ会いたいとか…。

好きになったかもとか…。

とにかく、MはOに誘われていた。

「とにかく一度会いたい」と…。

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SNSのメールに本アドが書いてあり、Mは仕方なく本アドに「まゆたんです。メアドありがとう」とメールを書いて送信した。

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すると、間を置かずにOからのメールが届いた。

それから、メールでのやり取りを続けていた。

写メが届いたり、届けたり…。

そんなある日だった。

「まゆたんに、会ってみたい」

Oからのお誘い。

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Mには二人の息子がいて、長男は中学3年生で、次男は小学5年生。

会うのは構わないが、Mの方から出向くのは不可能。

子供を置いて、Oの住む場所へ行く事は、母親として出来なかった。

その事を理解してくれたOは、Mの住む場所へ来てくれる事になった。

会った後の馴れ初めは、こちらで書ける内容では無い為、書くのは控えます。

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お互い惹かれ合い、出会った場所はSNSだったが、そんなモノは関係ない。

SNSで知り合って、半年後に恋人同士になったMとO。

恋は盲目という言葉があるが、Mは子供を親に預けて、Oが住む場所へ遊びに行く回数が増えた。

特急を乗り継ぎ、Oと楽しい一時を過ごし、その日の内に特急で帰宅。

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こんな事を、週一、月に4回ほど繰り返し、半年ほどMからOの住む場所へ行っていた。

特急代、ホテル代、食事代、映画代等、全てMが支払っていた。

まさに、恋は盲目状態で、生活費をOとの恋愛の為に使っていた。

カツカツな生活になり、Oの住む場所へ行けなくなってしまった。

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子供達は、何も言わなかった。

母親が幸せならば、それでいい。

自分達が我慢すれば、それでいい。

そう思っていた。

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そんな中、出会って一年が経ったある日。

仕事で失敗をしたOは「ここに居たくない。Mと一緒に住みたい」と、Mに愚痴ってきた。

散々話し合った結果、OがMが住む家に転がり込む形で、同棲生活が始まった。

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同棲生活が始まったのはいいが、OはMが住む場所の地理が全く分からない。

派遣業に登録するも、すぐに仕事は紹介してもらえない…。

Oは、無職の状態が続いた。

当時Mは、パートの掛け持ちで働き、高校生になった長男は、定時制に通いながら、アルバイトをして生活をしていた。

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Mと長男の給料合わせても、15万ギリギリ。

4人で生活するには無理がある。

それに、Oと生活してる事が理由になり、母子手当も止めた。

男性が働いてなくても、男性と共に生活している場合、母子手当は止められてしまう。

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Oも派遣先で仕事が見付かっても、3ヶ月等の期間限定。

延長もできず、また職探しの日々。

同棲生活が2年半を迎えた夏、MはOに地元に帰るように頼んだ。

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2年半の間、Oは1年も働いておらず、生活はギリギリ。

これ以上同棲生活を続けても、誰も幸せになれない。

それに派遣切りという噂が巷を駆け抜け、そんな中Oは、正社員に拘っていた。

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正社員になりたいならば、地理が把握出来ない此処で暮らすより、地元に戻って職探しをした方がOのためになるとMは考えたのだ。

Mの精一杯の優しさだった。

そんな中、Mは特急で地元に戻った。

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戻った途端、OはMにこんな言葉をメールする。

持金がない。

親父はMを恨んでいる。

仕事なんて簡単に見付からない。

マイナスな事ばかりのメール。

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持金がないというから、お金を一度だけ振り込んだ。

しかしこれも、増やそうとスロットをしたら30分もしないうちに消えたとか…。

親父がMを恨んでいるという事も、Oが地元に戻った時、地元に戻った本当の理由を親に正直に伝えていたのか疑問が残る。

仕事が見付からないのは、Mの責任ではない。

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そんな時、再びOから「持金がない」とメールをしてきたOにMは励ましのメールを送った。

「お金は貸せないけど、精神的に支えてるつもりだからね」と…。

しかしOは「励ましにもなってない。俺の事はほっといて」というメールが届いた。

酷い言葉である。

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確かにお金が無いのは不安だろう。

だけど、お金には変えられない想いというモノあるはず。

精神的な支えとは、お金ではない。

人の優しさや思い遣りは、精神的な安らぎになるとMは思っていた。

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その想いをOに伝えたかったが、しかしOには、Mのこの優しさや想いは伝わらなかった。

それと、Oにとっての精神的な支えはお金なんだと実感したMは、Oに別れを告げた。

別れを告げられたOは、すんなりとOKした。

3年半の苦しい恋から足を洗ったM。

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それから1年後。

Oから電報が届いた。

「サミシイ、アイタイ。」

ただこれだけ。

しかしMは、読んだ電報をゴミ箱へ捨てた。

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しかし、2日に1回のペースでOから電報が届く。

書かれている内容は、全て同じで「アイタイ」「サミシイ」といった言葉だけ。

これが、半年続いた後の電報に「アシタアイニイク。マッテテ」という内容で、これは完全にストーカーである。

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Mは、3通目からの電報を保管していて、この100通を越す電報を手に持ち、近くの警察署へ駆け込んだ。

すぐに取り合ってくれて、翌日、Mの自宅周辺をお巡りさんが警備してくれた。

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何も知らないOは、翌日のお昼過ぎ、Mが住む場所へ現れた。

写メで顔を知っているお巡りさんが、Oに声を掛けた。

「Oさんですよね?Mさんからストーカーの被害届けが出てます。こちらへどうぞ」

Oはそのままパトカーに乗り、警察署へ連れて行かれた。

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離れた場所で、流れを見ていたMは、婦警さんと共に、警察署に出向き、取り調べをされているOを小窓で見ていた。

Mは、Oとの同棲生活からの話をしていて、お巡りさんは全ての流れを知っている。

Oは今でもMの事を愛しているとか、Mには自分が必要だとか、一生懸命に説明しているが、お巡りさんには通じなかった。

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そしてOは、Mが住む県への出入りを禁止した…。

Oは納得していない様子だったが、渋々承知して地元に戻った。

それからMは、平和な生活をしていた。

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すると、ある日曜日。

Mの自宅に、ある女性が訪ねてきた。

その女性は、Oの母親だった。

突然の訪問に、驚いたM。

と同時に、怖さを感じた。

自分は行けないから、母親をよこすとは、どこまで執着してるのか!と…。

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自宅には上げたくなかったので、近くの喫茶店へ行き話しを聞くことにした。

「貴女の事ばかり考えてノイローゼになってる」

Oの母親から聞いた時、絶句した。

Mは、同棲生活中のOの事を説明した。

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しかし、あの子は優しい。

あの子は弱い。

貴女が居ないとダメになる。

Mの話を無視した言葉の数々。

それに、父親はMの事を恨んでいる。

その事を言えば…。

大丈夫しか言わない。

何がどう大丈夫なのか。

肝心な事を話さない。

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それに、Mの子供達は、Oの事を恨んでいる。

働かず、生活費に渡したお金は、スロットで使う。

それを子供達に「Mには話すな」と脅し、Mの親からお金を落としたと借りに行く。

そのOの姿を、子供達は見ている。

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それに、子供達の事を愛せないOと、また恋人同士になる事は出来ない。

ノイローゼになるのは、Oではなく自分だ!と付け加えた。

それでも、一度だけ会って欲しいと懇願する母親を前にして、携帯で婦警さんに電話をした。

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Oの母親が来ている事と、此方に来た理由も話した。

Oに会う事は出来ない。

だから、Oに関わる人とも会いたくない。

事情を話したら、婦警さんが来てくれた。

Oの母親は、婦警さんの説得に、応じてくれて、地元へ戻ってくれた。

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それから、何度かOやOの母親から手紙や電報が届いていたが、読まずに捨てていて、やがてそれもなくなった。

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39歳の時に、Mはある男性と出会った。

恋愛は止めていたMだったが、子供達の父親になりたいと言われ、お付き合いする事になった。

その男性は、自営業で生計を立ててる×1の43歳のS。

1年のお付き合いの末、目出度く結婚。

現在、幸せに暮らしている。

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Concrete
コメント怖い
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仲間さん。こんばんは。
コメントありがとうございます。

半分実話で半分作り話でして、警察の件は実話です。
同じ言葉の電報を2日に1回の割合で届くなんて、本当に怖いですよ?
犯罪を未然に防ぐのも警察の仕事ですからね。

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あんみつ姫さん。こんばんは。
コメントありがとうございます。

半分実話で半分作り話です。
どこが実話でどこが作り話かはヒミツてす。

今のSNSは厳しいですし、メアドなんて書いた時点でアウトですよ。

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陳腐な内容ですが、用意に想像できますね。

正しく、この親にしてこの子ありですね
親が過保護にして子どもをダメにしていると感じました。
んー、SNSが怖いというよりも、それを使う人間次第でどうとでも変わると思います。
私としては、幸せであれば結果オーライで過去のアレな事は、良い勉強代になるのでは思います。

それにしても、警察の方のイメージが…ストーカー被害でも実際に殺人等にならないと、動かないものだと思ってました。

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人が怖い話ですね。
ありがちな話ですが、実話なのでしょうか。
SNS怖いです。

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