今は、沢山のSNSが存在しています。
まだ今のように、沢山のSNSが無かった平成17年頃。
TVのCMがバンバン流れ、会員数を増やしていたSNSがあります。
現在もであります。
無料で使えるという事で、出合い系として使う人も多かった。
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ここに、平成17年当時、このSNSに登録した人がいた。
×1で、二人の息子を育てている34歳の女性のM。
無料のゲームで遊ぶのが目的で登録した。
しかし、伝言板や専用のメールに、異性からの連絡が増えてきた。
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どのSNSにも、プロフィールというモノがあり、Mも簡単に自己紹介を含むプロフィールを公開していた。
ペンネーム、年齢、性別、居住地等を、偽りなく書いていた。
ペンネームは、名前をもじった「まゆたん」と名付けていた。
Mに、一通のメールが携帯に届く。
SNSのメールが届いた、連絡のメールだった。
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Mがメールに記載されていたURLに入ると、Uという男性からのメールだった。
何度か、伝言板にコメントを残していた男性だった。
内容は、まず自己紹介が書かれていた。
隣県に住む、Mと同世代で、一歳年上。
半導体の工場で働き、実家住まい。
Mは、まぁ、メールだけならいいか。と、軽い気持ちでメールしていた。
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するとだんだん、現実的な内容のメールになっているのにMは気付いた。
一度だけ会いたいとか…。
好きになったかもとか…。
とにかく、MはOに誘われていた。
「とにかく一度会いたい」と…。
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SNSのメールに本アドが書いてあり、Mは仕方なく本アドに「まゆたんです。メアドありがとう」とメールを書いて送信した。
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すると、間を置かずにOからのメールが届いた。
それから、メールでのやり取りを続けていた。
写メが届いたり、届けたり…。
そんなある日だった。
「まゆたんに、会ってみたい」
Oからのお誘い。
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Mには二人の息子がいて、長男は中学3年生で、次男は小学5年生。
会うのは構わないが、Mの方から出向くのは不可能。
子供を置いて、Oの住む場所へ行く事は、母親として出来なかった。
その事を理解してくれたOは、Mの住む場所へ来てくれる事になった。
会った後の馴れ初めは、こちらで書ける内容では無い為、書くのは控えます。
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お互い惹かれ合い、出会った場所はSNSだったが、そんなモノは関係ない。
SNSで知り合って、半年後に恋人同士になったMとO。
恋は盲目という言葉があるが、Mは子供を親に預けて、Oが住む場所へ遊びに行く回数が増えた。
特急を乗り継ぎ、Oと楽しい一時を過ごし、その日の内に特急で帰宅。
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こんな事を、週一、月に4回ほど繰り返し、半年ほどMからOの住む場所へ行っていた。
特急代、ホテル代、食事代、映画代等、全てMが支払っていた。
まさに、恋は盲目状態で、生活費をOとの恋愛の為に使っていた。
カツカツな生活になり、Oの住む場所へ行けなくなってしまった。
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子供達は、何も言わなかった。
母親が幸せならば、それでいい。
自分達が我慢すれば、それでいい。
そう思っていた。
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そんな中、出会って一年が経ったある日。
仕事で失敗をしたOは「ここに居たくない。Mと一緒に住みたい」と、Mに愚痴ってきた。
散々話し合った結果、OがMが住む家に転がり込む形で、同棲生活が始まった。
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同棲生活が始まったのはいいが、OはMが住む場所の地理が全く分からない。
派遣業に登録するも、すぐに仕事は紹介してもらえない…。
Oは、無職の状態が続いた。
当時Mは、パートの掛け持ちで働き、高校生になった長男は、定時制に通いながら、アルバイトをして生活をしていた。
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Mと長男の給料合わせても、15万ギリギリ。
4人で生活するには無理がある。
それに、Oと生活してる事が理由になり、母子手当も止めた。
男性が働いてなくても、男性と共に生活している場合、母子手当は止められてしまう。
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Oも派遣先で仕事が見付かっても、3ヶ月等の期間限定。
延長もできず、また職探しの日々。
同棲生活が2年半を迎えた夏、MはOに地元に帰るように頼んだ。
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2年半の間、Oは1年も働いておらず、生活はギリギリ。
これ以上同棲生活を続けても、誰も幸せになれない。
それに派遣切りという噂が巷を駆け抜け、そんな中Oは、正社員に拘っていた。
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正社員になりたいならば、地理が把握出来ない此処で暮らすより、地元に戻って職探しをした方がOのためになるとMは考えたのだ。
Mの精一杯の優しさだった。
そんな中、Mは特急で地元に戻った。
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戻った途端、OはMにこんな言葉をメールする。
持金がない。
親父はMを恨んでいる。
仕事なんて簡単に見付からない。
マイナスな事ばかりのメール。
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持金がないというから、お金を一度だけ振り込んだ。
しかしこれも、増やそうとスロットをしたら30分もしないうちに消えたとか…。
親父がMを恨んでいるという事も、Oが地元に戻った時、地元に戻った本当の理由を親に正直に伝えていたのか疑問が残る。
仕事が見付からないのは、Mの責任ではない。
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そんな時、再びOから「持金がない」とメールをしてきたOにMは励ましのメールを送った。
「お金は貸せないけど、精神的に支えてるつもりだからね」と…。
しかしOは「励ましにもなってない。俺の事はほっといて」というメールが届いた。
酷い言葉である。
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確かにお金が無いのは不安だろう。
だけど、お金には変えられない想いというモノあるはず。
精神的な支えとは、お金ではない。
人の優しさや思い遣りは、精神的な安らぎになるとMは思っていた。
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その想いをOに伝えたかったが、しかしOには、Mのこの優しさや想いは伝わらなかった。
それと、Oにとっての精神的な支えはお金なんだと実感したMは、Oに別れを告げた。
別れを告げられたOは、すんなりとOKした。
3年半の苦しい恋から足を洗ったM。
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それから1年後。
Oから電報が届いた。
「サミシイ、アイタイ。」
ただこれだけ。
しかしMは、読んだ電報をゴミ箱へ捨てた。
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しかし、2日に1回のペースでOから電報が届く。
書かれている内容は、全て同じで「アイタイ」「サミシイ」といった言葉だけ。
これが、半年続いた後の電報に「アシタアイニイク。マッテテ」という内容で、これは完全にストーカーである。
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Mは、3通目からの電報を保管していて、この100通を越す電報を手に持ち、近くの警察署へ駆け込んだ。
すぐに取り合ってくれて、翌日、Mの自宅周辺をお巡りさんが警備してくれた。
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何も知らないOは、翌日のお昼過ぎ、Mが住む場所へ現れた。
写メで顔を知っているお巡りさんが、Oに声を掛けた。
「Oさんですよね?Mさんからストーカーの被害届けが出てます。こちらへどうぞ」
Oはそのままパトカーに乗り、警察署へ連れて行かれた。
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離れた場所で、流れを見ていたMは、婦警さんと共に、警察署に出向き、取り調べをされているOを小窓で見ていた。
Mは、Oとの同棲生活からの話をしていて、お巡りさんは全ての流れを知っている。
Oは今でもMの事を愛しているとか、Mには自分が必要だとか、一生懸命に説明しているが、お巡りさんには通じなかった。
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そしてOは、Mが住む県への出入りを禁止した…。
Oは納得していない様子だったが、渋々承知して地元に戻った。
それからMは、平和な生活をしていた。
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すると、ある日曜日。
Mの自宅に、ある女性が訪ねてきた。
その女性は、Oの母親だった。
突然の訪問に、驚いたM。
と同時に、怖さを感じた。
自分は行けないから、母親をよこすとは、どこまで執着してるのか!と…。
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自宅には上げたくなかったので、近くの喫茶店へ行き話しを聞くことにした。
「貴女の事ばかり考えてノイローゼになってる」
Oの母親から聞いた時、絶句した。
Mは、同棲生活中のOの事を説明した。
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しかし、あの子は優しい。
あの子は弱い。
貴女が居ないとダメになる。
Mの話を無視した言葉の数々。
それに、父親はMの事を恨んでいる。
その事を言えば…。
大丈夫しか言わない。
何がどう大丈夫なのか。
肝心な事を話さない。
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それに、Mの子供達は、Oの事を恨んでいる。
働かず、生活費に渡したお金は、スロットで使う。
それを子供達に「Mには話すな」と脅し、Mの親からお金を落としたと借りに行く。
そのOの姿を、子供達は見ている。
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それに、子供達の事を愛せないOと、また恋人同士になる事は出来ない。
ノイローゼになるのは、Oではなく自分だ!と付け加えた。
それでも、一度だけ会って欲しいと懇願する母親を前にして、携帯で婦警さんに電話をした。
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Oの母親が来ている事と、此方に来た理由も話した。
Oに会う事は出来ない。
だから、Oに関わる人とも会いたくない。
事情を話したら、婦警さんが来てくれた。
Oの母親は、婦警さんの説得に、応じてくれて、地元へ戻ってくれた。
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それから、何度かOやOの母親から手紙や電報が届いていたが、読まずに捨てていて、やがてそれもなくなった。
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39歳の時に、Mはある男性と出会った。
恋愛は止めていたMだったが、子供達の父親になりたいと言われ、お付き合いする事になった。
その男性は、自営業で生計を立ててる×1の43歳のS。
1年のお付き合いの末、目出度く結婚。
現在、幸せに暮らしている。
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作者真砂鈴(まさりん)
今は出会いを禁止しているSNSで起きた事です。
半分実話で半分作り話です。