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短編2
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窓の外

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 スクランブル交差点が見下ろせる大きな窓の二階席。窓際にぐるりと張り巡らされたカウンターは、大概お一人様で占められている。

 本を読む人、ずっとスマホをいじってる人、黙々とサンドイッチを頬張る人、パソコンを広げて仕事をしている人、さまざまだ。その中に、頬杖をついて窓の外をボーッと眺めている女の子がいた。

やっぱりここは多いなぁ。人が集まるところだからしょうがないか。

どうでもいいけど、くっつかれてる人も多いわ〜。

重そうなのに、気づかないのが不思議。あの高校生なんて、腰に3人もしがみつかれてるのに。まだ若いのに何やったんだろね。

あっ、白い杖の人、つまづいてる。

うわ、あの人気をつけないと……あ〜あ、ぶつかった。追いかけられてるよ、かわいそうに。

あっちの人はすごい! 周りをはねのけて歩いてる!

勢いあまってこっちまで飛んできたし! ちょっ! こっち見んな!

……見えないって大変だなあ。

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「なんてことを考えてるかもしれんぜ」

 2人掛けのテーブル席で、とっとと先に食事を終えた浩平がにやにやしながら言った。そんな勝手なアテレコをつけていた女の子を、見てみろと言わんばかりにそっと指差すので、智史は半分振り返る形でその子を見た。高校生か大学生くらい。人待ちなのか時間潰しなのか、退屈そうな横顔だ。少し距離があるためか、2人の視線には気づいてないらしい。

 智史は食べ終わったサンドイッチの包み紙をくしゃっと丸めて、アイスコーヒーに口をつけた。一気に半分近くを飲み干すと、再度彼女の方を向く。

「そうだなぁ。ここって昔は10階建ての有名なホテルがあったんだけど、火事で大勢亡くなってるからな。たくさん見えてもおかしくはない」

「マジか!」

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 そのとき、智史の視線が窓の上から下へ流れたことに、浩平は気づいた。ほぼ同時に女の子の顔も上下する。彼女は顔を手で覆い、そのまま動かない。

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「ここから交差点は見えないけど……お前の言うこと、まんざら嘘でもなさそうだぞ」

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