短編2
  • 表示切替
  • 使い方

『携帯ストラップ』

wallpaper:119

俺が高校の頃の話なんだけどさ、

スナフキンが大好きで、中学の頃に友達から貰ったスナフキンのストラップを、携帯電話につけてたんよ。

携帯電話に付けているとどんどん塗装が剥げていって、帽子のつばがもう白くなっちゃったんよ。

それでも俺は大事にしておきたかったから、携帯電話から外して、机の引き出しに閉まっておいたんだけど、

ある日、そのスナフキンのストラップが、引き出しからなくなっていることに気づいたんだわ。

俺の記憶の中では、ずっと引き出しに閉まったまんまなはずなんよ。

人から貰ったものはみんな引き出しに入れていて、

スナフキン以外のキーホルダーだのなんだのは、しっかり引き出しに入っている。

部屋中探し回ったら結局見つけたんだけど、なぜか俺の小学生の頃の宝物入れに入ってたんよ。

俺なりのタイムカプセル。埋めるの面倒だったから、開けないって誓っただけの箱。

小学3年生位から一度も開けてないはずで、

高校に入ったら、タイムカプセル代わりだって事すら忘れていたんだけれど。

なんでこんな所に・・・って疑問に感じたんだけど、

思い出してみたら、そこに入っていること自体は不思議じゃなかったんだわ。

小学生の頃、公園でよく遊んでいたんだけど、そうなんよ。

その頃に公園で拾ったんよ。スナフキンのストラップ。

帽子のつばが真っ白な塗装のハゲ具合といい、俺が貰ったストラップとまったく同じもので、

スナフキンは不敵ないつもの微笑みで、唯一無二の俺のストラップだったんだわ。

いやぁ、流石スナフキンさん。時空も旅できるんだなぁ。不思議なこともあるもんだってね。

nextpage

まぁ嘘だけど

Concrete
コメント怖い
1
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ