ついに完成した。
完璧な彼女は、自動学習型アンドロイド。
目にするもの、手に触れるもの、音、匂い、味、五感の全てを駆使して、自ら学習進化を遂げていくのだ。
言語はもちろん、難解な数式も、音楽、料理、全てを再現できるのだ。
もちろん、僕の好みも全て学習済みで、容姿も、服装も、性格も、スタイルも全て僕好みに進化を遂げた。全てが完璧。
ただ一つ、彼女の欠点をあげるとすれば、彼女は勤勉すぎるということだ。
学ばなくても良い物の区別がつかない。だから、僕はなるべく悪い影響を受ける外の世界には出さなかったのだ。僕だけが彼女に、英才教育を与える。
だから、どうして、今彼女が、口から糸を吐き続けているのかわからない。
彼女の体は徐々に、繭に篭って行き、とうとう見えなくなってしまった。
でも僕は信じている。
きっと君は、もっと驚くべき変貌を遂げて、完全体になることを。
そして彼女が羽化した。
美しい羽が、日差しにキラキラと輝いていた。
そして、彼女は大きく飛び出した目を輝かせながら、ぜんまいのような口をしゅるしゅると伸ばし、僕の首に突き刺した。
彼女は何に進化したのだろう。
作者よもつひらさか