私のおばあさんは昔から霊感が鋭く研ぎ澄まされていて
多くの人が私の家に噂を聞いておばあさんを訪ねて来た。
おばあさんは、その人たちの悩みや体の異常、家族の相談を受けて
無償で答えてやっていた。
そんなある日。
近所の大学の先生が訪れた。
私はこの町内のはずれに居て友達の家の近所であることを知っていた。
家は石の階段が20段ほどある高台にポツンと一軒だけあり、夜,家の前を通ると
明かりが寂しく点いていて、周りの景色からも阻害されて不気味ささえ感じられた。
大学の先生と奥さん二人の生活で子供が無く寂しい生活をしていることは
近所でも噂があった。
おばあさんのところにどうして、たずねてきたのか、不思議だった。
おばあさんは、「どうして一人で来たのか?。悩みは何かと訪ねた。」
すると、先生は「私の妻を捜して欲しい」と言い出した。
「妻は一週間ほど前に喧嘩して、家を出たっきり帰らないと言うことで,
身よりも無く親戚も無い妻が、一週間も家を空けている。どこにいるか探して欲しい」との
以来だった。
私はその話をおばあさんが聞いているそばで遊びながら聞いていた。
おばあさんは、先生の話を真剣に聞いていた。
おばあさんは先生に次の日、また来てくれるように頼み
その場は引き取ってもらった。
そして夜の10時。
おばあさんは一人で、仏壇に向かい拝んでいた。
私は一旦は寝たのだが、変な夢を見てしまい眠れなくなった。
おばあさんの部屋に来て夢の事を話した。
「今日来た先生の家に行くと、階段を上り家の玄関を開けるとそこに奥さんが座っていて
何か話しかけると、後ろから先生が現れて私を追い払い、石段から私を突き落とし
転げ落ちた所を先生が見て笑っていた。そこで目が覚めた」と話すと
おばあさんは神妙な顔になり「このことは、決して先生や周りの人に話してはいけない。
話せばお前に災難が来る」そういうと、仏壇に向かい拝み始めた。
世来る朝、9時ごろおばあさんのところに、昨日の先生が訪ねて来た。
おばあさんは先生に向かい何か聴いたことも無い呪文を言い出して、
先生の肩に手を触れて1分ほど、呪文を拝み続けた。
それが終わると先生に向かい「私の力では奥さんを見つけ出せない。」そういうと
先生は何か気が抜けたようになりうなだれて引き上げていった。
しかし、おばあさんは先生が引き上げて家の門を出てゆくところを確かめると、
私に「早く警察を呼びなさい。」と言うと、今まで見たことも無い怖い顔で私を見た。
ただならぬおばあさんの伝言を私は父に伝へた。
父はそれを聞くと友達の派出所の巡査に伝えた。
おばあさんは、巡査が来ると部屋に呼び話し始めた。
「高台の大学の先生の奥さんは死んでいる。何とか成仏させてやりたいが,旦那さんが
邪魔をしている、奥さんの遺体を隠している。」と私と父と警察の居る前で
話し始めた。私は「どうして先ほど先生が着たとき話さなかった」か聞いた。
おばあさんは「昨日も今日も、あの先生は、私を試す為に来たのじゃ。もしあの場で
お前の夢や私が奥さんが死んでることを話したら、お前や私がどんな目にあうか
わからない。今日のあの先生の目つきは、只者ではなかった。」と言うと
「今から奥さんはどこに隠されているか探る」と言うとまた仏壇に向かい拝み始めた。
警察は「本当なら殺人事件だ」と言うと少し考え
「相手は大学の先生なので確かな証拠が無い限りうかつに動けない」と言い出した。
おばあさんは10分ほど拝むと、私たちを見て話し始めた。
「先生の奥さんは、台所の床下に寝ているように横になっている。もう腐敗が始まり
色々な所が腐り始めている。早く警察の力で成仏させなさい」と言うと警察官を指差した。
巡査は「もしこの話が本当ならこの町がひっくり返るほどの騒ぎになる。
慎重にかからないと」と言うと引き上げて行った。
おばあさんは再び「あの巡査は私の言ってることを半分も信じていない」
そういうと、おばあさんはどこかに出て行った。
次の日。
私は学校に行くといい嘘をつき、途中から道をそれると
いつもの仲間の健二にもあの家のことを話すと一緒に行くと言い出し
二人は大学の先生の家に向かった。
家の前に行くと留守であることを確かめるように健二が家の玄関のベルを鳴らした。
家は留守で玄関には鍵がかかっていた。
裏に回ると便所の通気窓が開いていてそこから何なくふたりは中に入った。
おばあさんが言っていた台所に向かった。台所はトイレの廊下を3mほど進んだ
裏にあった。
「おい進。本当に死体があるのか?」健二は心配そうに聞いた。
私は「おばあさんはうそは言わない。あると言ったら有る。」そういうと
台所の床の上を見て歩いた。すると、床下に通じるであろう取っ手が見つかった。
私は一気に開けようとして取っ手をつかむと引いた。しかしびくともしない。
今度は、健二と二人で取っ手をつかみ開けた。ギーとすごい音がして、開き始めた。
「おいもう少しだ」と私は健二をけし掛けた。
戸は垂直に開くところまでこぎ着けた。健二が支えて「おい中が見えるか?」と
私に言うと健二が中を覗こうと身を浮かせてきた。
私は中に足を踏み入れようとした時、玄関が開く音がした。
二人は顔を見合わせてそっと戸を下に下ろすと、また便所に戻り、隠れて
様子を伺った。しかし心配することは無かった。
巡査が先生を連れて、家に入ってきたのだ。
私たち二人は便所の戸の隙間から台所を見た。先生の両腕には手錠が掛けられていた。
巡査が何か話し、「台所の床の取っ手を持ち開けると、先生が泣き出した。
少しすると、仲間であろう警察官が二人私たちの前を通り過ぎた。
3人が床の戸を外して、中にある奥さんの死体を発見した。
救急車のサイレンがして、家の前は大騒ぎになった。警察も何人も着ていた。
私たち二人は、逃げ出せなくなっていた。
私と健二は「正直に出よう」と言いあわせると、トイレの戸をあけて玄関に向かった。
別の警官が私たち二人を見つけて捕まえられた。
巡査は「何だ進か。また、確かめに着たのか?」と言うと、
もう一人の警官に事情を話し階段下まで送ってきてくれた。
そこには、内の両親とおばあさん、おじいさんが怖い顔をして待ち構えていた。
健二の親も着ていた。二人は両親に怒られたのは言うまでもない。
それから1ヶ月
あの先生がどうして自首したのか?そのことをおばあさんにたずねると
おばあさんは、「警察に伝えても信用しないので、滝不動に行き
先生に、死ぬことの恐ろしさを夢で見せたのさ」と言うと
また仏壇に向かい拝み始めた。
作者退会会員
私の祖母のすごい霊感です。
色々言い当てたりしてました。
その話です。
お婆さんシリーズ始まり始まり。