山形県の上山温泉には有名な心霊スポットがある。
そこは山元村と言う所に通じる幹線道路の脇に在る滝不動である。
山元村には、その滝不動を通り抜けていかないと行けない行けないようになっていた。
昼でも山林に囲まれたあまり日の当たらない道路で
車1台がすれ違うのがやっとと言う箇所もある。
その道の近くには市の火葬場もあり霊が出てもおかしくないスポットだった。
その道路やその先にある山本トンネルは
良く親子の幽霊が出ると地元でもうわさの場所でした。
50年ほど前。
私は、まだ舗装されてない細い間道を
おばあさんと一緒に滝不動に御参りに行っていた。
滝不動は道路の下に面しており、そこに誰が祭ったかわからない
不動明王の剣を持ったご本尊が飾られていて周りには
刀の形をした木が一杯飾ってあった。
その後ろには小さな滝のように流れる山水もありました。
おばあさんはその水を汲んでは、病気に効くと飲んでいました。
その滝不動は、幽霊や怨霊が良く現れて悪いことをするものを祟ったり、
呪いをかけたりしたと伝えられた。
不動明王の剣に触ると必ず事故にあうとか
その場所を荒らしたものには必ず、病死や事故死が
起きるとかのうわさがありました。
お婆さんも時々「不動様の祟りは怖い」と言ってました。
私とおばさんはよく水を汲んで家に持ち帰り仏様に上げたり
花や庭の木に一部の水をかけたりしてました。
そんなある日、山元村に向かう途中の山元トンネルで父が事故にあった。
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村長の家に引き出物を届けると言い、それっきり半日帰らず探しに行くと
トンネルの手前のカーブで、上から来たトラックが接触してきて避ける為に
脇によけましたがよけきれず、脇の土手に車を突っ込み
気を失っていたと言うものでした。
トラックはそのまま立ち去り、父と車だけが残されていました。
父はハンドルに頭をぶつけ頭から血を流してました。
おばあさんと私と母が道路の脇に在る車を見つけ車の中から運び出し
父を病院に運びました。
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父は病院に運ぶ車の中、うなされて相手の車のことをしきりに言ってました。
お婆さんは、「立ち去ったトラックにきっとお不動様の祟りがある」と言うと
父の血の出てる頭に手ぬぐいを当てて、母の運転する車の中で、
お経を唱えてました。
病院に担ぎ込まれた父は打撲傷と頭に5針の傷が残り
立ち去ったトラックのことを警察に話してました。
しかし警察も「見つけ出すのは難しい」と言ってました。
「トラックは色々なところで傷をつけてくるので
特定するのは困難だ」と言ってました。
それに対して、おばあさんは「あのトラックは必ず同じ場所を通る。
そこを捕まえればいい」と言ってました。
警察は、おばあさんの言ってることに耳を貸しませんでした。
おばあさんは家に帰ると仏壇に向かい拝み始めました。
そして1週間。
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私とお婆さんは、また歩いて滝不動に御参りに行きました。
滝不動に着くとお堂の周りや、お供え物の古いものや腐ったものを袋に詰めて
綺麗に掃除して、花やお供えを新しいものに取り替えて、お祈りを始めました。
おばあさんの祈りは、2時間に及びました。
私はおばあさんに何時帰るか聞いてますが、一心に拝むおばあさんには
聞こえませんでした。
拝み終わると、おばあさんは私に
「お父さんに傷を負わせたトラックの運転手にお父さんと同じ目に遭わせる様にお祈りをした」
とつぶやきました。
そして、1ヶ月。。。。。。。。。。。。。。
山元村に向かう山元トンネルで事故のニュースが流れました。
滝不動から向かう方のトンネル入り口で
トラックがトンネルの入り口の壁に衝突して乗っていた
運転手が死亡したニュースでした。
TVのニュースや新聞の写真はトンネルの入り口角に、
V字型に曲がった運転席が映し出せれました。
おばあさんはそれを見るとTVに向かい手を合わせました。
「お不動様のおかげだ」とつぶやきました。
果たしてそのトラックが本当に父に当て逃げしたトラックかは
誰もわかりません
しかし上り坂を登るトラックが
どうしてトンネルの入り口の角にぶつかるのか?
それは運転手が死んでしまったので、わからないことです。
警察の事故の発表は、わき見運転によるトンネルの発見遅れでした。
お不動様にお願いしたおかげなのか?もし本当だとしたら?恐ろしい事です。
おばあさんは信じてました。
その事故を見た次の日、おばあさんはお不動様にお参りに行くと言って
大きな風呂敷を背負い夕方まで帰宅しませんでした。
呪いは本当にあったのかはわかりません。
しかしおばあさんは本当に信用して居ました。
山形県の心霊スポット。上山温泉の霊場、不動滝の話でした。
作者退会会員
この事があるまで、私は呪うと言う事を知りませんでした。
しかし、おばあさんは死ぬまで、私には呪いをかける呪文を教えませんでした。
教えてくれたのは呪いを避ける呪文でした。