私が小学校5年生の時。今日のような寒い冬の日...それは突然訪れました。
かねてより肺を悪くして療養していた、母方の祖母の容態が急変し...そのまま帰らぬ人となってしまいました。
母が仕事を早退して駆けつけた時はもう既に、祖母は息を引き取っており...それなのに病院側は管も取らず、精一杯やりましたと言わんばかりの表情で、母はそんな病院側に腹が立ったと今でも言っております。
その死の前日の会話も...私が立ち会っておりましたのではっきりと覚えております。
2005年1月19日 H病院
「お母さん、なんか買ってきて欲しいもんあるね?」
「はちみつレモンば...」
「いつもんとね。明日買ってくるけんね。」
...なんか色々思い出してきちゃって...ばあちゃんは本当に優しくて、ばあちゃんが一人暮らししてたアパートに遊び行くといつも「おなかすいたろ」って震える手でなんでも作ってくれて...お金ないのに毎回姉と二人で500円ずつくれたり...すみません...続き書きますね。
結局最期に、大好きだったはちみつレモンを渡せずにばあちゃんは亡くなってしまいました...それ以来命日には仏前にはちみつレモンを供えてあの優しかったばあちゃんに想いを馳せております。
そのばあちゃんの通夜の後、泣きながら帰った私はその夜、不思議な夢を見ました。
当時、私達家族が住んでいたアパートで、夢のなかでは、ばあちゃんも一緒にいて...家族4人で出かける時にばあちゃんだけ留守番で、玄関から出て行くときに見たばあちゃんの顔はどこか寂しそうで、大好きだったタバコをふかしながら涙を堪えているように見えました...。
この夢は葬儀が終わるまで3日くらい続きました。
母の故郷でもある石川から連れて来た時、両親もまだ我々姉弟を育てるだけで精一杯で、一緒に暮らす選択はしませんでした。
ただいつでも様子を見れるように歩いていける距離にアパートを借り、そこにばあちゃん一人で暮らして、我々姉弟はしょっちゅう遊びに行っていました。
でもやはりばあちゃんは一緒にいたかったんでしょうね...ずっと孤独で...そんな想いを夢の中で伝えてくれたのだと思います。
その後、四十九日も終わった頃、父が居間でくつろいでいると、何かに肩をポンポンと叩かれて驚いていました。
その意味は家族全員、何も言わずとも分かっていました。祖母が父に、これから母を頼んだぞ、と言いに来たんだ...と。
その後大きな怪我や病気もなく、家族が幸せでいられるのはばあちゃんが見守ってくれているからでしょうか...。
作者ゆっぴー
怖くない話です。
もうすぐ命日なのではちみつレモンを買ってこようと思います。