「カフマン」という男 X
第1話
湿った長いコンクリートの廊下を歩き、鉄の扉の前で足が止まる。
鉄の扉の前には武装した200㎝はある男が右手で静止する。
「無礼のないようにお願いします。」
野太い声と共に鉄の扉が音を立てて開く。
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微かに香る紅茶の香りと鼻歌。
部屋の中に入ると一人のスーツ姿の男が椅子に座りニッコリと微笑んだ。
「やあ、君が超常現象調査委員会の…。おっと名前は聞いちゃいけないんだったね」
スーツ姿の男は紅茶を優雅に飲む
「あなたに聞きたいことが、いくつかあります。」
スーツ姿の男はニッコリ笑い頷く
「聞きたいことは、わかってます。」
「では、”極秘事項”の正体についてです。」
スーツ姿の男は真顔になり、紅茶をテーブルに置く。
「私はカフマンと呼んでくれ。」
カフマンは立ち上がり部屋にある古びた本を取り出し読み始める。
「”極秘事項”は600年前から、我々の敵だ。そして人間の手によって親玉が封印された。」
カフマンは紅茶を飲み笑う
「名前が無いのは不自由だな。では、君をルイカと呼ぶとしよう。」
ルイカは名前に納得がいかないのか
咳き込み話を始める。
「カフマン、話の続きを。」
カフマンは話の続きを話し始める。
「なぜ君達は、その正体を知りたいんだね?ああ、わかったぞ。解き放ったんだな。」
ルイカは首を横に振る
「我々ではありません。滅びた村人達が解き放った可能性が。」
カフマンは笑いながら話す
「なるほど”極秘事項”は、こちらで対処しよう。」
「しかし、政府が対応していますが…」
カフマンは様々な本をテーブルに置いて
「それは問題ない。我々の仲間に協力してもらう。武器も用意する。」
ルイカは書類を読みながら
次の質問をする。
「カフマン、あなたのことについて教えて頂きたい。」
カフマンは驚きニッコリ笑う
「私は君達に誤解される種族である。だが、我々の種族は人間とは友好関係にあり、他の種族との均衡を守ると誓った種族である。とでも言っておこう。」
カフマンはiPadをいじりながら
「我々の種族は満月に暴れ、銀の銃弾、杭が効くと思われがちだ。」
紅茶を飲みニッコリ笑う
「だが、それは大きな間違いだ。我々の種族は自由自在に変身できるし、人間の姿のまま超人ハルクの様な怪力を発揮することもできる。」
カフマンはルイカの顔を覗き込み
「だが、我々にも弱点はあるが…この話はしないでおこう。」
ルイカは真剣な表情で話を聞きメモを取りカフマンに視線を戻す。
「では、なぜ!友好関係にある我々が、なぜ満月の夜だけ人間を襲うのか!と思ってるだろうが、我々と似た種族が生まれたからに他ならないからだ。」
ここからは話が長くなるが付き合ってくれ、紅茶とお菓子は沢山ある。
今から300年前、”極秘事項”と戦争状態に入った当時、戦争に勝つために人間を食べて力を付けていた。
しかし、それが原因で人間との争いも勃発した。
このままだと、どちらかの種族が滅びるまで戦うことになるだろうと判断し、そこで私は人間に罪のない人間は襲わないと誓いを立てた。
それから罪人だけを見極め襲い、その肉を食らった。
だが、我々の仲間が捉えた人殺しは拘束から上手く逃げ出した。
首に傷を負いながらも逃げ出した人殺しが、我々と似たモノに変貌し、村人を襲ったことが原因で、あの伝説が生まれた。
満月の夜に現れる怪物伝説として。
今の現代にも存在する。
我々と彼らとは少々面倒臭い関係になっているがね。
我々は変身する際には自我は失わないが、彼らは自我を失い目の前の人間を殺していく。
話はこれで終わりだよ、ルイカ君。
カフマンは紅茶を飲み干しグラスをテーブルに置く
「それから”極秘事項”が生きたまま捕獲できるようであれば、捕獲するがいいかな?」
ルイカは、その必要性に疑問を投げかける。
「その必要がどこに?」
カフマンは手をテーブルの上で組み
「もう二度と奴らが地上を歩かないようにする為だ。”極秘事項”は死んでも魂は次の死者の体に宿る。」
カフマンは組んだ手を解き立ち上がる
「”極秘事項”だよ。言わば、精霊の類に属される怪物だ。その始まりである”極秘事項”を捕獲し、永久に地上から隔離する。」
ルイカは歩き回るカフマンを目線だけで追う。
「奴は…ある意味では不死身であるが、身動きを完全に封じ隔離してしまえば問題はない。捕獲が成功したら我々で”極秘事項”と協力し、封印する。それまで政府のほうには私から伝えておこう。」
ルイカは立ち上がる。
「カフマン、協力感謝します。」
カフマンはニッコリ笑い
「いやいや、困った時はお互い様だよ。死者が13名も出て、私の部下も君たちの調査に協力してるからね。」
ルイカはカフマンに敬礼し、部屋を後にする。
コツコツと湿ったコンクリートの廊下を歩き、真ん中で立ち止まり携帯を取り出し
「もしもし、吸魂鬼掃討作戦を実行に移す。サイキックヴァンパイアを狩るぞ!」
カフマンはルイカが出て行くと名簿を取り出して呟く
「次のお客さんは誰かな?ダンピールですか…厄介なことになりそうだ。」
作者SIYO
いつも読んで頂きありがとうございます( ^ω^ )
これから書いていこうとしている物語の舞台裏として
「カフマン」の男を書いています。
「死神と俺の日常」は、ちょっと遅れてます
∑(゚Д゚)
楽しみにしていた人が居たら、申し訳ないです(´・Д・)