私の実家は横浜の旭区にある。
実家のそばには横浜動物園ズーラシアがあって、大型連休は大勢の家族連れやカップルで賑わい、テレビカメラが取材に来ることもあった。
その実家に行くために乗るのが相模鉄道。
横浜〜湘南台/海老名を繋ぐ私鉄である。
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私の降りる駅は、運転免許を所持している神奈川県民なら誰もがお世話になる運転免許試験センターのある駅のお隣。
その反対隣は、飛び込み自殺者数全国ワースト18位な駅。
ちなみに結婚して今、夫と暮らしいてるのは川崎市である。
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JR川崎駅は飛び込み自殺者数全国ワースト3位。
おまけに、かの有名な中学1年生殺害事件でも有名になってしまった土地でもあり、犯人の少年Aはうちのご近所さんである。
…これだけでも十分に怖いが、相模鉄道沿線の踏切はもっと怖い。
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何が怖いって、事故の多い踏切が点在していて、しかも「出る」と噂もあるからだ。
私が紹介するのは、そんな「出る」と言われている踏切の1つ。
その踏切そばには乳製品工場がある。
民家も多いので、それなりの車通りもある。
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この踏切は、以前ここで書かせていただいた『死神』を見てしまった場所でもあるのだ。
問題の踏切は、私の実家の最寄り駅と運転免許試験センターのある駅の間に存在する。
ネット等で出回っている心霊スポットに挙げられてはいないが、地元人からしたら、ちょっとした心霊スポットになる。
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踏切周辺に住んでいる人ならともかく、私や友人達はまずその踏切を使わない。
…特に夜は。
私の場合は弟に運転してもらってる車を遠回りさせて帰るくらい、通りたくない場所なのだ。
踏切自体は何の変哲もない。
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踏切の幅もそれなりに広くて、車が2台すれ違えるように走れるし、歩行者用のラインも引いてある。
車通りも昼夜問わずにそれなりにあるから、飛び込みしようとするのもなら誰かに止められたりしそうなものだが、なぜか事故が多い。
だからなのか「死者が呼び込んでいる」なんて言われてたりもする。
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自殺者は寂しがり屋である。
なぜなら、看取られることなく死の瞬間は確実に1人ぼっちだからだ。
だから仲間を増やしたくて呼び込むらしい。
同じ地元に住む友人は、深夜にこの踏切を車で通った時に血塗れの女に手招きされたと話している。
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死んで寂しいというくらいなら自殺するな!と言いたくなるが、自殺に追い込まれた人間は周囲が見えなくなって死ぬことしか考えられなくなっているから仕方のないことなのかもしれない。
鉄道会社でも異なるのだろうが、最近は人身事故の構内放送をオブラートに包んだ言い方をしないらしい。
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『えー、ただいま遺体回収中のため、今しばらく時間かかると思われます。お急ぎのところ大変申し訳ありませんが…』
こんなリアルな言い方の構内放送があったと、ネットで検索すると出てくる。
普通なら『救助活動のため…』とオブラートに包むものなのだが…。
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何はともあれ、事故や自殺の多い踏切に興味本位で行くなかれ。
「呼ばれてしまって」からでは、遅いのだ。
…後悔先に立たず。
[おわり]
作者ゼロ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
全国にも、こんな踏切はたくさんあるんじゃないかと思いますが、地元にあるのっていい気持ちしないものですね。
よく使う路線は特に。
川崎近くにもJRの事故が多い踏切はありますが、そこも「出る」らしいです。
ただ、踏切の雰囲気が実家の方の踏切とは違うので、怖さ加減も違うんじゃないかな、と。