忠告は素直に聞きましょう

中編5
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忠告は素直に聞きましょう

これは私の父が小学生の時に体験したお話です。

私の父は子供の頃、有刺鉄線のある所に入り込もうとして怪我をするくらいわんぱくな子供だったそうです。

そんな父が住んでいたところは近くに公園があり近所に同じクラスの友達もいて

学校から帰るとすぐに家を飛び出し夕方まで友達と遊ぶという生活をしていました。

その日も友人のA君とB君と3人で公園で遊び、日も暮れたので帰り道が同じのA君と一緒に公園を後にしました。

ちなみにA君は少し霊感のある子だったらしく父はまだそのことを知らず後々知ることとなりました。

父はよく石を蹴りながら歩いていたそうで父の父…(私からしたら祖父ですね)からやめなさいと叱られていました。

帰り道父はいつものように石を蹴りながらAとたわいのない会話をし家まであと100メートルくらいのところまできていました。

そこにはお墓がならんでおり父はお墓の近くにあった石の塊に蹴っていた石をぶつけてしまったそうです。

A君が「あ!」といった頃にはすでにぶつけたあとだったので

「○○君ちゃんとごめんなさいしたほうがいいよ!」

と父に言いました。

けれども父は

「ただの石だしお墓にぶつけたんじゃないから大丈夫大丈夫」

とA君の忠告を無視してそのまま帰宅してしまいました。

それからしばらくして夕飯、お風呂を済ませた父は床につきウトウトし始めました。

しばらくすると両足に激痛が走り動かないことに気付き隣の部屋にいた父親に

「お父さん!!お父さん!!足が動かん!助けて!助けて!」

と泣きながら叫びました。

「どうした?何があった?…ぅえっ!!」

部屋に入ってきた父親が目にしたのは泣いている父の両足をがっちり掴み父を睨みつけている女でした。

「なんだお前は!誰だ!」

そう怒鳴りつけた瞬間女は父親の方へ振り向きニヤリと笑ってすぅ〜と消えました。

「○○!○○!大丈夫か?何があった?」

「何って…ぅっく…急に…足が痛くなって…動かなくなった…ひっく…」

そのあとすぐ今日どこで何をしたか一通り話を聞いたが

こうなるキッカケがわからず父親は一緒に遊んでいたA君の家に電話をして何があったのか話してもらいました。

A君「実は帰り道のお墓のそばにある石に○○君が蹴ってる石が当たって…」

父親「それで?」

A君「実はその石に女の人が座っててその人の足に石が当たってたんです。」

父親「…」

A君「僕、ちゃんと謝ったほうがいいよっていったのに…大丈夫って帰っちゃって…っく…○○君のあとを女の人がついていってること怖くて言えなかった…ごめんなさい…」

父親は血の気がサーっと引く感覚がしてA君は何も悪くないから心配しなくていい。

話してくれたことに感謝すると言って電話を切り

近くに住む霊媒師のもとへ痛みで気を失ってる父をおぶって走りました。

道中軽いはずの父が少しずつ重くなり霊媒師のもとへ着く頃には大人をおぶっている感覚にまでなっていました。

霊媒師は父を見るなり

「息子さん…このままだとあちらに連れてかれるよ!ここまでこの女を怒らせるなんてよっぽどのことしたんだね。」

「この子はもう自分ではどうしようもないから、あなたがこの子の代わりに辛い道を歩くことになるけどそれだけの覚悟はあるかい?」

と言いました。

霊媒師の言葉に一瞬驚きはしたが父親は我が子を助けるためならと力強く頷いた。

霊媒師によると今から家へ戻るまでが勝負で、守らなければならないことが5つあり

これを1つでも破った場合2人とも命はないと思えと言われたそうです。

まず、ここから出て家に入るまでは絶対に振り向いてはいけない。

後ろから知り合いの声が聞こえても絶対に返事をしてはいけない。

すれ違う車や人がいても目を合わせてはいけない。

息子がどんなに重くても家に入るまでに地に息子の足をつけてはいけない。

最後に無事家にたどり着けたら日が昇ると同時に女性が座ってた石まで息子を連れて行き心から謝ること。

父親はそのことをしっかりと頭に叩き込むと背中でぐったりしている息子に

「もう少し…もう少しで助かるから待ってろ」

と言いきた道をまた歩きはじめました。

歩きはじめてしばらくすると後ろから

「○○さん!こんな時間に何してるの?子供さん病気か何か?大丈夫?」

と隣に住むおばあさんの声が聞こえました。

父親は親しい人の声につい振り返って返事をしそうになりました。でも、霊媒師の言葉を思い出し慌ててまた歩き出しました。

そういえば、お隣さんは旅行中なのでこんな時間にこんなところにいるわけがない…

親しい人の声を使うことでうっかり返事をさせる相手の手段にその時は肝を冷やしたそうです。

その後もあの人この人と人を変え集中力が切れそうなときを狙って声をかけられたり、社用車や会社の制服、最終的には妻までも利用され父親がヘマをするのを今か今かと楽しんでいるようでした。

疲労感もピークになったとき見慣れた我が家が目の前にあることに気付きホッとして気が緩みました。

すると急に父が鉛のように重くなり危うく落としそうになりました。

どちらかといえば細身で力もない父親が自分よりもはるかに重い息子を背負い長く歩き続けたので急な重さの変化に身体が悲鳴をあげました。

こんな所で負けるわけにはいかない…そう思いバランスを崩した体勢を立て直そうとしたとき視界の端でほんの少し父の足が見えました。

その時…あ!振り返るなとはそーゆーことか。と父親は震えながら最後の力を振り絞り家の中へ入りました。

家の中へ入ったと同時に父はいつもの重さに戻り、足も元に戻っていました。

夜明けまでまだ少しあったので父を布団へ運び居間で寝ずに待っていた妻へ事の経緯を話しました。

そして夜が明け父を起こし母親も連れて3人でお墓のそばにある石まで行き

「息子が大変失礼なことをして申し訳ございませんでした。2度とこのようなことはさせません。そしてきちんと謝る事のできるように躾もいたします。どうかお許しください。」

と石に手を合わせ

父は

「ごめんなさい。これからはきちんと親の言うことを聞き真面目になります。本当にごめんなさい。」

と泣きながら何度も謝っていました。

すると

「わかってくれればそれでいい。でも次は助かるかわからないから気をつけなさい…」

と耳元で囁かれました。

それからの父は真面目に生き私たちを育て頑固で偏屈な人になってます(笑)

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