短編2
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標本の行方

理系の繋がりで生物学部の友人から聞いた話。

怖くはないから不思議話。

その研究室は教授がずさんな事もあり標本がなくなるという事が稀にあったらしいが

ある時、大型の標本が立て続けに無くなるという事件が起こりさすがにこれはおかしいという事でみんなで探すも部屋の中からは見つからなかった。

そうすると今度は研究室内で犯人探しが始まったらしい。

最後に触ったのが誰かとかあの日残ってたのは誰だとか。

しかし、どうしても院生の中にはいないようだと分かると今度は研究室に出入りしてる大学生を調べ始めた。

暫くして、パキスタンから留学してる学生が怪しいということになり

いきなり怪しむのもなんなので交渉上手な学生を使って飲みに誘いそれとなく聞いてみたらしい。

すると、意外にもあっさり白状して

今事情があっていっとき借りているだけで

すぐに返すので見逃してほしいと泣き出した。

しかし、いくら事情を聞いても答えないで許してほしいと言うばかり

先輩たちは質屋にでも入れたか既に売り払ったんだろうと問い詰めると「自分の部屋にある」と言う

「分かった。それならみんなに言わない代わりに今からこのメンバーでお前の部屋に行ってそれを見せてもらおう。」という話になった。

パキスタン学生も嫌々ではあったが、最終的に承知した。

彼は学校近くの凄くボロいアパートに住んでいた。

勇んで4人で中に入ると4畳のワンルームだ。

彼を含めて5人も入りきれず、中に二人が入ることになったが先輩は突入組に漏れて外に待機することになった。

二人が入ってしばらくしても中からは物音一つしない。

5分ほど待っているとやがて中に入った二人が俯いたまま出てきた。

彼らは顔面蒼白そのものでまるで死人みたいな顔をしていた。

彼らを見て残った三人はかける言葉がない。

どうして彼らはこんなにも憔悴しているのか、中で一体何が起こったのか

先輩は何やら薄ら寒い思いをしたと。

とにかく、何かまずいことでもあるのだろうとその場からとりあえず離れてファミレスに入った。

開口一番彼らは「彼に関わるのは危険だ」というような内容を語ったらしい。

部屋での様子は語られなかったけど、口では表せないようなひどい惨状だったと。

いったい彼の部屋には何があったのか。

その後、そのパキスタン人は留学を終え、

彼の部屋からは無事大型標本が無傷のまま回収されたらしい。

部屋に入った二人の学生は結局何を見たのか語らず終いだったとか。

Concrete
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