こんばんはMakoto1000です。
今回は私の体験談をお話しようと思います。
なお、話の中で言葉遣いが乱れることをご容赦ください。
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俺には霊感なんてものはない。でも、霊感のある友人曰わく受信し易い体質らしい。
幽霊をがっつり見たことはないが、視界の端を何かが横切ったり、何かに足を触られたりということはたまにある。
オカルト大好きな俺は、不謹慎だがそんな現状を楽しんでいた。
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俺が高校に入学して間もない頃
休み時間のこと
教室である事件が起こった。
ううぅぅぅ…キャン…キャンキャン…キャンキャンキャンキャンキャン!!!
何かの鳴き声?が俺の間近でけたたましく響いた。
クラスメイト達のおしゃべりで騒がしい教室のはずなのに、その声ははっきり聞こえたんだ。なにか直接頭に届いてるみたいな感じで。
驚いて声がした方向を見ると、隣の席のTさんが何食わぬ顔で次の授業の準備をしている。
「…あの、Tさん、今何か聞こえなかった?」
彼女は頭上に?を浮かべる。
どうやら俺にしか聞こえなかったようだった。
こんなにはっきり霊?の声が聞こえたのは初めてだ。
まだはっきり決まった訳ではないが、同時の俺はそう確信していた。
「ごめん、なんでもない…」
変な奴と思われたかな?
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次の日
昨日のことがどうしても気になっていた俺は、1つの仮説を導き出した…と言えば大袈裟だが、それについてTさんに質問してみることにした。
「Tさん、ちょっといいかな?」
「どうしたの?」
「Tさんってさ、昔犬飼ってた?」
しばしの沈黙の後、彼女は答えた。
「え?飼ってた?今飼ってるよ?」
「じゃあ、ちょっと変なこと聞いてもいい?…嫌だったら答えなくていいからさ」
こんな事を聞くのは誉められたことではないが、俺は好奇心に負けてしまった。
「うん」
「その犬は何代目?」
「え?…前に飼ってた子が死んじゃたから、二代目かな。」
マジか…本当にこんなことあるんだな…
俺の中で仮説が確信に変わった。
「前飼ってた犬は、小型犬?」
「…どっちかっていうと中型犬。」
ここだけは予想とは違う答えだった。
「そうなんだ…あ、じゃあ鳴き声ってどんな?」
「え?鳴き声?」
「低い声でワンワンとか、高い声でキャンキャンとか…」
「あ、そんなかんじ。高い声。」
中型犬もけっこう高い声で鳴くのかな?
俺は犬を飼ったことがないので犬の鳴き声には詳しくない。
「でも何でそんなこと訊くの?」
「実は…」
Tさんに、昨日起こったことを包み隠さず話した。
彼女は狐に摘ままれたような顔をしている。
「それ本当?」
「たぶん…俺の幻聴じゃなきゃ。」
「そっか、教えてくれてありがとう、Makoto君。今度お墓の掃除行ってくるよ。」
なんだか、優しい気持ちになれた。
俺得でしかなかったこの体質も、人の役にたつことあるんだなぁなんて、その時は思ったよ。
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ここで終われば、よく心霊特集とかで目にするちょっといい霊体験だよな。
でもさ、俺、聞こえたもののことでもう一つ気になっていたことがあったから、ついでにTさんに訊いたんだよ。
あまり恐がらせたくないから冗談混じりに…
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「Tさんて昔、ううぅぅぅって唸る女の人も飼ってた?」
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話がありがちだし、落ちも安っぽいしで真実味がないけど実話。
あれは犬の唸り声なんかじゃない。女の声だ。
俺には、「ううぅぅぅ」という女の唸り声に向かって犬が吠えていたように聞こえた。
それとあの犬の声には、飼い主の危険を誰かに知らせようって意味もあったのかもしれない…考え過ぎかな?
女の声の方は俺の聞き間違いだと思いたい。
Tさんあの時、一人で家にいる時誰かの気配を感じることがあるって言ってたな…
なんとかしてあげたいけど、俺にはお祓いとかそんなことはできないし、あの犬に頑張ってもらうしかない。
作者千月
皆様、今まで私の茶番劇にお付き合いいただきありがとうございました。
私は今まで、より人々に恐怖を与えられるお話とはどのようなものか試行錯誤してきました。
今までにはなかったパターンの話。
意味がわかると怖い話。
始まりをできるだけ穏やかにすることで後半とのギャップを持たせた話。しかしこれは、登場人物に肩入れするあまり怖さを逆に半減させてしまいました。怖いお話を期待してくださった方々には本当に失礼なことをしたと感じております。
また、そんな作品でも興味をもって読んでいただいた方には深く感謝いたします。
今回この王道中の王道である怪談の投稿を節目とし、Makoto1000最後の作品とさせていただきます。
一皮むけて帰って参ります。