【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編5
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さつい

皆さんは過去に戻ってやり直したい出来事はありますか?

おそらく誰でも一つや二つあるでしょう。

でも、やり直した結果が今より良いとは限らない

そう思いませんか?

私はあの時どうすべきだったのでしょうか?

過去に戻れたなら結果を変える事は出来たのでしょうか?

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私は中学2年の時にA子とB子という友達と仲が良くいつも3人で遊んでいました。

しかし、3学期始めにA子が転校する事になってしまったのです。

私達は3人で過ごせる残された日々を毎日大切にしようと約束し、今まで以上に一緒にいる時間が長くなりました。

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ある日3人で下校している時、いつも元気なB子がその日に限って大人しく、A子にはみえないように私に不審な目配せをしてきている事に気が付きました。

私は3人の間での隠し事が嫌だったので、その場でB子に尋ねました。

しかしB子は驚いた表情を私に見せ、その後何も話さなくなってしまいました。

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その日の夜にB子から電話がかかってきました。

B子はまず帰り道での事を私に謝り、それから帰り道、A子の様子に気が付かなかったかと私に尋ねてきたのです。

もうすぐ転校だから元気はなかったよね。と私は答えました。でもだからこそ私達は…と言いかけた私の話を遮り、そうじゃない!本当に気付かなかったの?と泣きそうな声で私に言うのです。

私は意味のわからない話をするB子に段々苛立って、はっきり言いなよ。とB子に強く詰め寄りました。

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今日A子の顔おかしかったの

B子はとんでもない事を言いだしました。

私はいよいよ頭にきて、どういう意味か尋ねました。幾ら何でも友人の顔が変だなんてひどすぎます。

そうじゃない!そうじゃないの。

B子の弁解を私は聞かず電話を切りました。

当然こんな話A子にはできません、私は3人の仲に少しでも亀裂が入ってしまったらもう元に戻す時間がないのに。それなのになんであんな悪口を言うんだろうと悲しくなりました。

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次の日も私達は3人でした。私はB子に腹を立てながらも、A子にはいい思い出を残してあげたかったのです。いつも通り楽しくしようと、必要以上に冗談を言ったり場を盛り上げようと務めていました。

その日の休み時間、トイレに行った私をB子が呼び止めました。

昨日はいきなりでごめん。できたらちゃんと話したいから、今日電話していいかな?

私はいいよと答えましたが、今思い出しても冷たい言い方をしてしまったなぁと覚えています。

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その日の電話で、B子から信じられない話を聞かされました。

それはこんな内容でした

おとといの休み時間に3人で噂話をしていた時に、B子が言った話を聞いて私とA子は大笑いしました。その時B子は見たそうです。

A子の両方の目玉が違う方向に動き、一瞬口の中から2本の指の様なものが出てきたと

その異常は放課後もずっと続き、A子を見る度に目玉がなかったり白目だったり、ひどいものだと顔が粘土を潰したようにぐにゃぐにゃに

見えたりしたそうです。

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私はその時この話を不思議と信じていました。

B子の話し方や勢い、そして何よりA子を心配する気持ちが強く伝わってきたからです。

なんとかしよう

2人で誓いをたて、次の日から私も注意してA子を観察する事にしました。

しかし結果は無駄でした

私にはいつものA子にしか見えないのです。B子はただひたすら怯えていました。最近ではもうA子の本当の顔は見えないようでした。

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それから何日かして、A子が学校を休みました。

先生は風邪だとみんなに話していましたが、私達2人を職員室に呼び、A子は転校まで学校に来られないかもしれない。

A子は重い病気の可能性があると私達に告げました。

やっぱり良くない前触れだったんだよ。B子は帰り道私に想いをぶつけてきました。

何も見えない私はどうしていいかわからず、とにかく明日御見舞いに行こうよ。とB子を慰めながら家に帰りました。

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翌日A子の家に行くと、A子は少しつらそうにしながら私達を迎えてくれました。

私はちらっとB子の方を見ました。

そしてB子の表情で察しがつきました。A子の顔はまだおかしいままなのでしょう。

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B子はおばあちゃんにもらった御守りをA子に渡し、早く良くなってね。と泣きそうな顔で優しく何度もA子に言っていました。

B子は怯えながらもずっとA子の顔を見つめていました。もう一度だけでもいい、私の友達の本当の顔がみたいと言わんばかりに口を強く結びながら

その時、戻った…と言う声が聞こえました。

戻った!戻ったよ!

大声で何度も言うのです。

A子はぽかんとしていましたし、私はとても驚いてB子の方を振り向きました。信じられなかったのです。

帰り道B子はとても喜んでいました。

もうA子は大丈夫…戻ったんだからとしつこいくらい私に言っていました。

私はまだ不安でした。とても怖かったのです

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その言葉通りA子は回復し、学校にもどりました。

そして…B子は交通事故でこの世を去りました

私はわかったような気がしました。

B子が見ていたA子の顔にいたそれはB子を迎えにきたなにかだったのだと。

そのなにかは最初からB子を狙っていた、だから私には見えなかった。B子にしか見えなかった。

だってA子の顔が戻ったと叫んだ時からB子の声が全く違う人間の声だったから。帰り道も他人の声で話し掛けてくるB子が怖くてしかたなかったのです。

戻った。というのはどっちの意味なんでしょう

誰の言葉なのかな?もうB子には聞けません。

私はA子の家からの帰り道をよく思い出します。

あの時私が何かをしていれば、私は友達を失わずにすんだのかな…

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あの耳障りな男の戻ったという叫び声を私は忘れません。

私の友達を奪ったあいつ

私はあの化け物を今も探しています。

見つけだして必ず殺してやる

この世のものでないとしても

必ず殺してやる

まっていろよ

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いえいえ♪他のゆなさんの作品も拝見させていただきましたが、暗く深く湿った雰囲気のでた良い作品だと思います。新しい雰囲気も好きですが、どちらかというと自分はこういった古風な雰囲気の作品が好きなもので。これからも執筆楽しみにしております。

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